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“大人の事情”
2012年10月03日 更新

先日、診療していたらあるお母さんから「RSを調べて下さい」という希望がありました。

RSとは、巷で流行中のRSウィルスのことです。高熱が続く、生まれて間もない赤ちゃんでもかかってしまう、痰が絡み呼吸困難を起こしやすい、ゼーゼー言う、といった症状がみられやすく、入院の可能性が結構高い病気です。残念ながら特効薬がなく、一度かかってもまたかかります。

「医療」ってとても閉鎖的だと思います。いつも強調している「食物負荷試験」も食物アレルギーの診療に不可欠と言われているにもかかわらず、多くの患者さんがその存在を知りません。その責任は、医師にあります。

何故なら、医療のプロなら、ましてや小児科医なら、子どもの成長を願う気持ちが最も必要です。食べられるかもしれないものを「食べるな」と言うことは極力避けなければなりません。患者さんに「食物負荷試験」という検査がこの世に存在することを教えられる唯一でもあり、身近な存在です。

あまりにひどいと、「朝鮮半島の某国と同じで、“情報操作”されているのと同じだよね?。都合の悪い情報は伝えられていない。」と言うようにしています。私なら、自分を頼ってくれる患者さんになるべくベストなことをしたいと思っています。自分でできなければ、できる医師に紹介するようにしていますが、上越はそれがないのです。

私にはそれが理解できず、開業医なら「経営のためか」と思っており、それくらいしか思い浮かびません。患者さんは、病気を良くしてもらえるのなら、別にかかりつけ医でなければならないことはありません。

例えば、当院が休診の日に具合が悪くなり、他の小児科にかかったとします。その症状が改善すれば、日頃の当院での診療にそれなりに満足してくれているなら、患者さんは戻ってきます。それなりの信頼関係があれば、そうなるのが普通です。

もし、その医院さんで「食物負荷試験」ができず、その目的で当院に紹介してくれたら、負荷試験が終われば、その医院さんに戻るかどうかは、患者さんが決めることです。多くは戻るだろうと思います。子どもはよく体調を崩しますので、距離的、時間的に有利でかかりやすい医療機関にかかることが多いからです。

自分の診療に自信があれば、自分の患者が戻ってきてくれるはずですから、「負荷試験だけお願いします」とだけ言えばいいのです。中には、やはり“経営”だと思うのですが、あらゆる手を使って手放そうとしない医院さんもあり、「もっと患者さんのことを考えたらどうか」と思い、苦笑いするしかないケースもあります。やはり「医療は“密室”だな」と思ってしまいます。

話がだいぶ逸れましたが、冒頭の「RSを調べて下さい」と言われ、私もその可能性が高いと思ったので、調べることにしました。1歳以上のお子さんでしたので、検査費用は自腹を切って調べることになります。

患者さんが部屋を出ていった時に、スタッフから「5年前なんてRSウィルスを調べて、なんて言う患者さんはいなかったですよね」と言われました。「確かにそうだな」と思いました。

RSウィルスは、以前も書きましたが、昨年から0歳に限り外来で調べられるようになりました。それ以前は、とにかく検査すれば、病院の赤字となります。昨シーズンから、積極的に調べるようになった医院さんもあるはずで、まさに「現金だな~」と思ったりします。

そういう医師の言い分は、「慈善事業でやっている訳ではないので、それは当たり前だ」となるのでしょう。しかし、熱が続き、ゼーゼー言って、小児科医ならRSウィルスが頭にあっても、RSウィルスのことをおくびにも出さない医師も多かったはずです。いや、今でも1歳以上なら知らんぷりをする医師も多いことでしょう。

その感覚が、私にはよく分からないのです。自腹を切ってでもRSを調べ、患者さんに原因を伝えることが何よりも安心を与えることではないかと思うのです。これを“大人の事情”と言うのでしょうか?。

5年前の時点で、RSウィルスを調べる方法がありましたが、多くの医師が検査すらしていませんでした。上越に開業し、親御さんはもちろん、園長クラスであってもRSウィルスのことすら知らない現実に驚いたものです。

大流行した年に「RSウィルスという病気があり、とても感染力が強く、注意して下さい」と園に手紙を書きました。それからRSウィルスの認知度が上がってきたように感じています。

先日も、RSウィルスの検査希望で患者さんが当院を初めて受診されましたが、お母さん仲間から当院だと調べてもらえると聞いて受診したそうです。確かに、テレビでもRSウィルスに関して注意を呼びかける報道がなされています。ただし、インフルエンザのように鼻水をもらえば、医院でも簡単に調べることができるということは伝えていませんし、この場でも繰り返し触れているため、当院の啓発が効いているのだろうと思っています。

RSウィルスのことを知らせるのは、あまり調べたくない医院さんにははた迷惑な行動だったかもしれませんが、それもそもそもは「食物負荷試験」のように患者さんなら伝えられるべきことだったはずです。これまで見苦しいくらいにRSウィルスを調べなかった医院さんも(仕方なく?)、調べるようになったようです。少しは地元の感染症情報も正しくなってきたようです。そう考えると、5年前と比較すると、地元も進歩してきたものだとつくづく感じます。

医療には、時にして“大人の事情”が存在し、それが正しい情報の広まりを邪魔しているようです。

医療は、正々堂々とやるものだと思っています。自分の医院の患者が減るとか、損だとか、患者さんにはどうでもいいことです。もし患者が減れば、自分の診療に魅力がなかったからであり、自分の努力不足を悔い、また患者さんが自分の方を振り向くようにすればいいだけのことです。

「もうちょっとオープンにならないものだろうか?」と思っています。