6日の「すこやか健康フェア」はお陰さまで大成功に終わったと思っています。
「情報不足で困っている方々に正しい情報を伝えたい」というのがコンセプトですから、対応の遅れている長岡市で、大勢の参加者に一流の先生の話を聞いてもらうことができて、肩の荷が降りた気がします。「何とか成功させたい」とずっと願ってきたので、正直、かなりの達成感はありました。
ちょうと7日、8日と連休となり、燃え尽き症候群じゃないですが、特に7日は家でダラダラ過ごしてしまいました(汗)。8日は何かをしなければと思っていました。
今年の夏は、講演ラッシュなどで家族をどこかに連れていくと言うことがほとんどできなかったので、新潟市の温水プールに行きました。連休に割に、思ったほど混雑しておらず、結構楽しめたと思います。
新潟市に行ったのは、もう一つ目的があります。ジュンク堂書店に行くためです。次のことを考えて、先に進んで行かなければなりません。
数日前に、某市の救急隊員の方から「アナフィラキシーの話をして欲しい」、「時間は90分くらい」、「全ての職員が聞けるように、2回講演して欲しい」というものでした。2回と言うのは、救急隊の仕事の性格上、講演会に全員参加なんてできません。有事に備え待機したり、事故があれば出動しなければならないからです。裏を返すと、いかに本気で取り組もうとしているかが伺えます。
最初は、食物アレルギーの話をすればいいのかと思いました。この街の患者さんに何人もエピペンは処方しており、救急救命士の方は食物アレルギーによりアナフィラキシーの陥った患者さんに代わって、エピペンを投与することが認められています。そういうケースに遭遇することも十分想定されます。
ただ、食物アレルギーの話だけを90分するには、ちょっと違和感を覚えます。深読みすれば、いわゆる緊急事態である、アナフィラキシーの話を希望されている訳で、アナフィラキシーの原因は、食物だけではないのです。
私の患者さんで、食物依存性運動誘発アナフィラキシーに陥り、実際に血圧低下を認めたケースがあり、救急救命士がその患者さんに処方してあるエピペンを投与したという事例があります。多分、県内で食物アレルギーの患者さんにエピペンの投与がなされたのは、他にはほとんどないと思います。多くの救急救命士の方が、エピペンの知識はあっても、実際に打ったことはないでしょう。
ですので、私が診療の中でエピペンと同じ成分のアドレナリン注射を投与した経験などを踏まえ、食物アレルギーの話は必要だと思っています。普段から園や学校に出向き、保育士や教師の方々にエピペンの取り扱いの話をしているため、大きく話の内容を変える必要はないと思っています。
ただ、「食物負荷試験という検査があって…」という食物アレルギーに特化したいつもの講演をやったのでは、先方の目的からややズレているのではないかと思っています。
エピペンは、0.15mgと0.3mgの2規格あります。0.15mgが使われるのは食物アレルギーがほとんどで、0.3mgはハチ毒が多いそうです。私はハチ毒の患者さんは診たことがなく、実際には内科や皮膚科の先生がこれらの患者さんにエピペンを処方していると思われます。
中には、薬剤でショックに陥ることもあるし、稀なケースですが食物の関与しない、運動誘発アナフィラキシーという病態もあります。消防隊の方々を対象にアナフィラキシーの話をするとなると、食物アレルギーの話が中心でも構わないでしょうが、これらの他のアナフィラキシーをきたす病態にも触れる必要があると思っています。
場合によっては、私の診たことのないケースの話もしなければなりません。引き受けたからには、それなりのクオリティーで話すのがプロだと思っています。ジュンク堂に行く必要があったのは、アナフィラキシー関連の本を探すためです。私の手元には小児の食物アレルギーの本は沢山ありますが、大人の食物アレルギーやハチ毒、歯科医の麻酔薬、その他のアナフィラキシーに触れたものはほとんどありません。
本屋で探し始めて、いきなり見つけました。その名も「アナフィラキシーQ&A」。パラパラ見てみると、ハムスターに噛まれたり、造影剤でショックを起こしたりするケースにも触れられています。私の目的に叶った本のようです。
「すこやか健康フェア」が無事に終わり、ちょっと幸せを感じたのも束の間、9日はインフルエンザの予防接種が始まったこともあり、外来はごった返し、200人を超える受診がありました。こうなると、生きた心地がしません。若干恍惚としていたところ、一気に現実に引き戻されました。
診療が忙しく、ただでさえ不活化ポリオワクチンが開始され、さらにインフルエンザワクチンも本格的になってきます。その上で講演会の準備もしなければなりません。ほんの数日前の「すこやか健康フェア」の成功も、過去のものとなりつつあります。
頑張れば頑張っただけ、それはいずれも患者さんや地域貢献にプラスになりますから、気持ちを切り替えてこれからの多忙さを乗り切っていこうと思っています。


