今年は例年になく、マイコプラズマが流行しているようです。
かかりはじめの時は風邪と区別が付かないので、診断が難しいのですが、熱が続く、咳がひどくなるなどの肺炎を思わせる症状があれば、見逃さないようにしなければなりません。
学童期以降に多いとされますが、保育園児でもマイコプラズマを強く疑われるケースも経験します。先ほど述べたように、ある程度症状が進行して初めて「おかしい。肺炎があるのでは?。」と疑える状況になるため、それまでの間に家族や周囲にうつしてしまうこともあるのだろうと思います。
先日、お子さんのついでに、お母さん本人の診察を任されました。咳がひどいのだそうです。当院は基本的には大人は診ていません。呼吸器内科という受け皿があるし、大人を診ることで、アレルギーで困っている子どもを診る時間がなくなれば、本末転倒と言わざるを得ないからです。
このケースは、お子さんのついででしたので、対応させて頂くことにしました。聴診してみると、背中の右側で肺炎を思わせる異常な音がします。肺炎を見逃すと困るので、レントゲン写真を撮らさせて頂きました。幸い、肺炎像は認めませんでしたが、気管支炎は間違いなく、今どきの気管支炎、肺炎と言ったらマイコプラズマが強く疑われます。
そうなると、それに有効な抗生剤を選択し治療に移ることになります。後日受診して頂いたのですが、症状は改善傾向にありました。前回、背中で異常な音が聞かれましたので、再度聴診してみました。まだ、音が残っていました。
実は、その間に職場の健康診断があったのだそうです。咳もかなり改善していたので、健診に参加したそうですが、医師から聴診も含めた診察を受けたそうです。何も指摘されなかったようです。
その数日後に、背中で肺炎特有の音が残っていることを確認しています。健診当日も聞こえたはずだと思います。親御さんも症状は改善しており、「咳がひどい」などとは言わなかったでしょうから、聞き逃されたのであろうと思います。確かに、咳がひどいとなると入念に聞くのは当然です。ただ、私もそういうこともあるかもしれず、人のことは言えませんが、丁寧に聞けば聞き逃さないであろう程度の音がしていました。
先日、県外の患者さんが上越に来られていて、咳が増えてきたと当院を受診されました。普段、地元ではA医院とB医院を使い分けているそうです。A医院からは「ゼーゼーしている」と何度か指摘されたことがあるそうですが、B医院からはそのような指摘を受けたことはないそうです。
話をよく聞くと、ぜんそくが隠れていました。咳のひどい時にA医院にばかり行く訳ではなさそうですから、B医院よりA医院の方が真面目に、よく聴診してくれているのだろうと思います。
こちらでも、ぜんそくが見逃されていることはよく経験しますが、往々にして、医師が「咳」=「風邪」と思い込んでいるようで、そういう思い込みが“誤診”を生みます。もしかしたら、これまで指摘されたことはなかっただけで、入念に聴診していれば、B医院でもゼーゼー言うのが確認できたかもしれません。
親御さんには、ぜんそくがあるであろうこと、B医院よりもA医院の先生の方が信用できそうなことを話しました。異常を見つけるために聴診などの診察を行なっているのであり、見逃しているのならただの“儀式”にしか過ぎないのです。
今の保険診療の制度では大勢診た方が有利なため、スピード重視の医院さんもあるでしょうが、まともに聞かないような聴診は、それこそ本末転倒と言えます。聴診の能力も個人差があると思われますが、ミスをしない、「聞き逃さない」姿勢が診療には求められると再認識させられました。


