最近は、通常以上に外来が混雑してご迷惑をお掛けしています。
開院当初はアレルギーの医院と思われていたようで、感染症や予防接種での受診はかなり少なかったのですが、最近はようやく“普通の小児科”であることが認知されてきたようです。
夜尿症や便秘、長引く下痢などの相談を受けたりします。夜尿症は、病態によって治療法が異なりますので、病態を区別することから始めないといけません。それもガイドラインがあるお陰で、だいぶ楽になりました。連日のように“失敗”していたのが、治療を開始すると、それがかなり減ってくれます。
先日、長引く下痢のお子さんが受診されました。既に別の小児科で治療を受けていました。よくあるパターンが整腸剤のみ、もしくはアドソルビンという水分を吸着し、下痢を改善させる薬が出されるケースです。
そういった処方がされていましたが、効果はなく、ロペミンという下痢止めが処方されていました。腸の動きを強力に抑えますので、私は力づくで下痢を止める薬だと患者さんには説明しています。これまでの使用経験から、ダラダラ続く下痢の患者さんに結構有効という印象を持っています。
長引く下痢の患者さんだったので、ロペミンを使おうかと思っていたら、既に前医で処方されていました。それも効かないというのです。前医の小児科医も苦労されているのが、お薬手帳から見て取れます。
そんな状況で、当院を受診されました。急性胃腸炎の時に嘔吐や下痢が見られますが、これは身体からウィルスを放出するための重要な行為ですので、無理に止めることは生体防御の反応を抑えることにつながります。“止めてはいけない下痢”が存在すると認識していますが、もう10日も続いていては、赤ちゃんの成長にも影響してくる恐れがあります。これは、止めなければいけないと判断しました。
ロペミンを数日分出して、下痢を止めきれなかったため、もう一回り処方し、それで止まったこともあります。それでも止まりません。
赤ちゃんの場合、「乳糖不耐症」という病気があります。よく見かけるのは、乳糖を一時的に分解できなくなり、下痢が止まらなくなる方です。これは普通ミルクや母乳でも起きますが、よく聞くのは「飲むたびに、ピッと下痢が出る」パターンです。
もう離乳食もだいぶ進んでいるような月齢で、「飲むたびに…」ではないと親御さんがおっしゃっていたので、乳糖不耐症ではなさそうだなと思っていました。他にも下痢の長引く病気はありますが、頻度的にはかなり稀となります。正直、「どうしたら止めることができるだろう」と悩んでいました。
1日で軽いものまで入れると10回近く下痢をしているそうですが、これは普通は有り得ない頻度です。こういう時は、見落としがないか、再度問診が大切です。よく刑事もののドラマで言っていますが、聞き取り調査を最初からやり直す、という感じでしょう。
そうすると、離乳食もある程度は与えていると思っていたのですが、下痢が長引くものだから、“消化のよいもの”をと言うことで、ミルクと母乳しか与えていないことが判明しました。
それで、乳糖不耐症の可能性が一気に高まってきました。乳糖不耐症の治療ミルクの試供品があったため、それを渡して経過をみさせて頂くことにしました。
自分が診ていて、咳でも熱でも長引いている患者さんは、強く記憶に残ります。親御さんは症状を速やかに改善させたくて、一生懸命通院されます。良くなっていないのに、同じ薬を出し続ける医師は「ヤブ」だと思っています。症状を改善させるために、あらゆる努力をしなければ、患者さんの期待に沿えていないことになります。
それから数日して、予定より早く受診されました。当院の電子カルテの表示に、その子の名前が挙がっていたのです。「まだ治っていないんだ。どうしよう…。」と内心焦りました。
実は、受診目的は予防接種でした。最近の赤ちゃんは予防接種のスケジュールが立て込んでいるため、受診されたのです。
順番になり、いの一番に下痢の様子を恐る恐る聞いてみると、下痢は「ピタリと止まった」そうです。よくぜんそくを見逃されている患者さんが、困り果てて当院を受診される話をしています。風邪ではないので、当然のごとく風邪薬は効きません。ぜんそくの治療をすると、正しい対応をすることになるので、症状はピタリと止まるのです。
熱の続く患者さんで、その原因がウィルスの時は「待つしかない」と言うことがあります。細菌なら抗生剤が有効ですが、ウィルスはインフルエンザくらいしか特効薬がありません。例えば、1歳前後の赤ちゃんが突発性発疹になりますが、3~4日熱が続きます。発熱に対し、解熱剤の座薬を使いますが、対応はそれくらいで、基本的には「待つしかない」ですよね?。
それ以外は、だいたい正しい治療をすれば、正しい効果として、改善がみられるものだと思っています。私の中に聞き漏らしがあったせいではありましたが、「ピタリと止まった」と笑顔で言われると嬉しいものです。
今日の午後は、市内の園の先生に大勢集まって頂き、アレルギーの講演をする予定になっています。症状が良くならなくても、同じ薬を出し続けられているという話はよく聞きます。よく考えて、正しい判断をすれば、治療もそれに応えてくれると感じています。
アレルギーに関しては、特に親御さんは必死にお子さんの症状を改善しようと通っているのに、肝腎の医師の対応がそれに応えようとしていないことは、しょっちゅう経験します。「医師を代えるのが一番の薬」と指摘する所以でもあります。
アレルギーの基礎知識、最近の考え方を分かりやすく伝えるのが第一ですが、医師のかかり方についても知って頂く努力はしようと思っています。


