月曜日の外来は混雑していました。
新患も多かったのですが、その中に「母が先生の講演を聞いて、来ました」とおっしゃる患者さんがいました。
話を伺うと、早速土曜の講演の効果のようです。昨日触れた10日の講演の話を、患者さんの保育士をされているおばあちゃんが聞きにこられたそうで、当院を受診されたのだそうです。
これまで某クリニックさんに言っていたようですが、祖母からの強い後押しがあり、すぐさま当院を受診されたのです。こういうところからも、当院がまだ知名度が高くないことが窺い知れます。
まだ産まれて間もない赤ちゃんですが、頭部に湿疹がありました。両親ともにアレルギーがあり、母にアトピー性皮膚炎もありました。家族歴からは、アトピーがかなり疑える状況です。
厳密には、診断基準を満たし切っておらず、アトピー性皮膚炎の確定はできませんが、間もなく診断を確定できそうです。
おばあちゃんが私の話を聞き、「これは孫の湿疹に参考になる」と感じて下さったのでしょう。つい、「おばあちゃん、何か言っていましたか?」と聞いてしまいました。
「ステロイド軟膏は悪くない」と言っていたとのことでした。確かにそう言いました。ステロイド軟膏は保湿剤と混ぜないこと、指の第1関節までチューブから出したら、大人の手のひら2枚分に塗れることも説明しています。
他に何か聞いていないか聞いてみると、「昨日から私が卵を除去しています」と言われました。「おいおい、そんなこと言ってませんけど」と思いました。
残念ながら、こういった感じで「伝言ゲーム」のように情報は伝わるのですが、正しく伝われば良いのですが、誤って伝わることもあるのだと感じました。
答は、アトピー性皮膚炎と診断できたら、まず軟膏治療を実施します。食事は変えないことにします。その訳は、食事を変えては、軟膏による治療効果か、食事の除去の効果か分からなくなるからです。
軟膏で治療し、皮膚症状が悪化が見られなければ、食事の影響はあまりないのではないかと考えるのです。確かにアトピー性皮膚炎には食物アレルギーを合併しやすく、食物アレルギーの中では鶏卵が最多です。確率で言えば除去するなら卵の可能性が高いことになるのですが、皮膚の治療もせずに、しかもアレルギー検査もせずに「卵を除去」と言うには乱暴過ぎます。
確かに、地元では皮膚科医がアトピー性皮膚炎の診断もせずに「卵を除去しなさい」なんて言っているものですから、患者さんにすごく迷惑をかけているのです。昨日も触れましたが、地元には根拠のないことを言う医師が少なくありません。
その辺をガイドラインを片手に、説明し直さなければなりません。誤った情報を刷り込まれては、今後の治療に悪影響を及ぼしかねないと感じたからです。まず、頭皮の湿疹が中心ですから、ローションタイプの薬を使い、治療させて頂くことにしました。経過を見ながら、アレルギー検査をさせて頂く予定です。
私としては、地域で唯一のアレルギー専門医ですので、私が診なければならない患者さんも少なくありません。ただし、同業者からの紹介は期待できないので、なかなか当院に辿り着けない患者さんも多そうです。
ガイドラインを指し示しながら理論的に説明しました。何はともあれ、当院を受診された場合、時間をかけて説明すれば「この人の方が信用できそう」と思って頂くことは、それ程難しいとは思いませんが、私もせっかく受診して下さったので、医師を転々と代えるような患者さんにはなって欲しくないのです。
市内には、何と“1分診療”の皮膚科もありますが、私は困っている患者さんの手助けをやりたいと医療に取り組んでいますので、説明に時間がかかろうがそれは必要なことなのです。
地元の患者さんを救うためにも、当院が真面目にアレルギーの取り組んでいることを知って頂く努力もより一層必要そうです。


