毎日、診療してると様々な問題にぶち当たります。
その中で大きな問題と言えば、医師のレベルの格差だと思っています。ガイドライン通りに診療すれば、多くの患者さんが救われるし、当院は市外からの受診も多いのですが、遠路遥々受診する必要もなくなるはずです。つまり、近所の医師から適切な医療を受けられるからです。
医療のモラルの低さを時々指摘していますが、ベストを尽くしていない医師が目に付き、アレルギーに関しては相当に多いのが現状でしょう。アレルギーは、軽いものから重いものまでありますが、自分がどこまでできて、どこから以上ができないかということを分かっている医師が少ない気がします。
当然、重くて手に負えなければ、専門医に紹介するのが筋ですが、専門医に紹介されていないケースが圧倒的に多いと思います。
慢性の経過を辿る病気ですから、誰が診てもすぐには良くなりません。病気を“手なずける”ように、症状をコントロールするのがコツでしょう。ところが、診断すら間違っており、治療もガイドラインからかけ離れたやり方で行なわれており、良くなるものも良くならいというケースをあまりにも多く見ており、私自身が“医療不信”に陥っているくらいです。
先日、市外から受診されている重症なアトピー性皮膚炎の患者さんが当院を受診されました。ステロイドに対し、とても心配性な親御さんで、いろいろ心配されているのですが、ガイドラインを示し、時間をかけて説明し、初診時からすると驚くほど皮膚症状が改善しています。
時折、悪化することもあるのですが、それは避けられないことであり、治療を強化して、また症状を落ち着かせるように努力を繰り返すことになります。最近、湿度が下がり、アトピーがやや悪化して受診される患者さんが増えています。その患者さんも例外ではなく、ややナーバスになっておられます。
顔のアトピーがやや悪化し、目をこすったせいか、目が赤くなったということで、ある眼科を受診されたそうです。
当然のことながら、アトピー性皮膚炎があって治療中であることを告げることになります。その眼科医が何を言うかと言えば、ステロイドは副作用が強く、使うべきではないようなことを話したそうなのです。
多くの眼科医が、アレルギー性結膜炎なら、まぎれもない専門ということになりますが、アトピー性皮膚炎となると、それこそ“専門外”のためアトピーのガイドラインはご存知ないでしょう。知らないことを「ああだこうだ」と言うべきではないし、言う権利もないと思います。
驚いたことに、その先生の出された薬がどんなものかお薬手帳を見せてもらいました。ネオメドロールEE軟膏というステロイドの軟膏と、フルオロメトロンというステロイドの点眼薬が出ていました。
それを指摘すると、親御さんはそれだけ悪口を言われたステロイドを含む薬が出されたことをご存知ありませんでした。結局、その眼科医のやることと言えば、自分の処方した薬について責任を持ってキチンと説明することだったのではないでしょうか?。
ステロイドの点眼薬はアレルギー性結膜炎の重症な時に使いますが、私は処方したことがありません。なぜなら、ステロイド点眼の副作用として、眼圧の上昇が挙げられますが、私は眼圧を測定できないため、責任を持って処方することができないからです。必要な場合は、「これ以上は眼科の専門領域なので、すみませんが眼科に行って下さい」と言っています。
ステロイド軟膏は、既に50年以上の歴史があり、良い作用や副作用はだいたい分かっていると言われています。最近はステロイド軟膏を「これでもかっ」と言うくらいビシッと使い、それで作り上げたツルツルの状態を維持するようにするのが最近のやり方です。逆に、週に2回ほどはステロイドを積極的に使うプロアクティブ療法が推奨されてきています。
症状を安定させるのが難しい患者さんもいますが、そのやり方でかなり安定する患者さんも多いのです。そうやっても、ステロイドの副作用は患者さんが心配するように出ないと言うか、安全に、効率的に使う方法が編み出されたと言うことなのだろうと思っています。
アトピー性皮膚炎は子どもにかなりの頻度で見られます。中には重症にも関わらず、診断が間違っており、ステロイドの使い方もガイドラインで推奨する塗り方とかけ離れた方法で行なわれており、それが症状が改善しない理由だったりします。当院には市内や市外からも「湿疹が治らない」という理由で受診されますが、残念ながら多くが医師側の問題だと思います。
今回の件で、医師でもステロイドについて理解が不足していることが露呈されたと思っています。私ももっと勉強が必要と思っていますが、ステロイドを使う医師は、薬や病気のことをキチンと理解した上で処方し、それでもダメなら専門医に紹介するという形を取らないと、救われるべき患者さんが救われないと感じています。


