小児科 すこやかアレルギークリニック

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ハチ
2012年11月22日 更新

昨日、消防隊員の方々へのアナフィラキシーの講演の1回目が終わりました。

1時間半の予定のところを、若干時間オーバーしました。最初は時間は90分と言われて、食物アレルギーのいつもの話なら2時間でも話せるのに、アナフィラキシーに特化した話をそれだけの時間話せるのかと心配もありましたが、足りないくらいでした。

会場に着いてみて、いつもと雰囲気がだいぶ異なります。何故なら、普段は園やお母さん方に話す機会が多く、そういう意味では園は“女の職場”なのでしょう。確かに保育園や幼稚園の先生はほとんどが女性ですよね。会場はほぼ100%が男性です。消防隊は、やはり“男の職場”と言っていいでしょう。

話の構成は、アナフィラキシーの定義や病態、治療を話すのですが、私の経験するアナフィラキシーは食物アレルギーがほぼすべてなので、自分の経験を踏まえた話になります。ただ、多くの患者さんや一般の方がご存知ない「食物負荷試験」の話も絶対に組み入れたいところです。いつものように採血によるアレルギー検査のみでは、食べられる・食べられないの判断はできないという話もしてきました。

小児科でアナフィラキシーを起こすのは、やはり食物アレルギーの中でも食物依存性運動誘発アナフィラキシーが多く、市内外からそういう患者さんが受診されています。これは、初回の時はご本人も専門医でさえも、その患者さんがアナフィラキシーを起こすなんて思ってもいませんから、最初からアナフィラキシー症状で発症します。

その後、専門医にかからないとエピペンを処方してもらえないことが多いようですが、私の目に留まれば、処方しています。私の患者さんで、再度アナフィラキシー症状を起こした際に、エピペンを使用し更なる悪化を防げたであろう患者さんが2名おります。その辺の話も貴重なエピソードとして、消防隊の方々に有用だと思っています。

食物依存性運動誘発アナフィラキシーは茶のしずく石けんで有名になりましたが、実は「運動誘発アナフィラキシー」という運動のみがアナフィラキシーを誘発する珍しいケースもあります。私もそういうケースを経験しており、そういう患者さんが救急要請される場合もあるでしょうから、お話ししてきました。

アナフィラキシーは、結構いろんなもので引き起こされます。治療や検査に用いられる薬が誘因になってしまうこともあります。造影剤、抗生剤、非ステロイド系消炎鎮痛剤(痛み止め)、麻酔薬、ガンマグロブリン製剤といった血液製剤もそうです。あとはハチ毒によるアナフィラキシーです。これらは、大人が多いでしょうし、私自身も幸いというか、経験がありません。

子どもの食物アレルギーで救急要請がある場合もあるでしょうが、特に重症な場合は、親御さんが必死に除去して下さっていますので、そうそうアナフィラキシーショックを起こすものではありません。予想するに、様々な原因で大人がアナフィラキシーを起こし、救急搬送されるケースの方が多いのであろうと思っています。

ということで、大人のアナフィラキシーも勉強していき、本の中で報告されている様々な誘因のケースもご紹介することにしました。海のある街ですと、クラゲによる刺傷でアナフィラキシーを起こすこともあるでしょう。テレビのザ、世界仰天ニュースでやっていましたが、ハムスターによる咬傷からのアナフィラキシーも起こり得ます。あとは抗生剤、造影剤、歯科の麻酔薬によるケースも紹介しました。

今回勉強してみて、アナフィラキシーショックを起こす場合は、薬物、ハチ、食物の比較では、薬物が圧倒的に早くショック状態に陥ります。そういうデータも出ています。つまり、私の経験したことのないスピードでアナフィラキシーが進行することもあるんだなと思いました。

そういうケースを記載を見ると、例えば造影剤なら検査直後から具合が悪くなり、ショック症状を呈しています。もちろん、多くの方が何ともない検査ですので、ごくごく一部の患者さんが前触れもなくこういう状況に陥ってしまうということです。

新潟は山も多いため、ハチ毒によるアナフィラキシーのケースを消防隊の方はご経験されるのであろうと考え、ハチ毒についてより丁寧に解説をすることにしました。

今回勉強してみて、結構課題を見つけました。エピペンを処方されるべき患者さんにエピペンが処方されていないのではないか、という疑問です。これは食物アレルギーにも同じことが言えるのですが、それについてはこの場で何度も指摘しています。

実際、講演を終えて、質問を受けたのですが、2件ともハチ毒の件でした。先日、誰かからハチ毒で死亡された事故があったと聞きましたが、ネットで調べてみると、長岡市と十日町市で先月死亡例があります。魚沼市や村上市、新発田市では複数の人がハチに刺された報道もあったようです。

やはり、県内の消防隊の方にとって、ハチは救急搬送の原因に挙げられるべきものの一つのようです。アナフィラキシーショックに至ったご老人のケースでは、これまでハチに刺されたようなエピソードもなかったようです。もしかしたら、ハチ毒といえば、スズメバチやアシナガバチが挙げられますが、同じハチ同士ということで、既にアシナガバチに刺されて、軽い症状で済んでいたのだけれど、それでハチに対する抗体を持つことになり、今回スズメバチに刺されてアナフィラキシーショックを発症したということなのかもしれません。

来週も、同じ会場に出向き、今回は勤務で参加できなかった消防隊員の方へお話しする予定になっています。同じ話をしないと不公平になってしまいますが、担当の方には「何か他に聞きたい話があれば、次回はそれを付け加えて話をします」と言ってあります。

やっと講演の準備から解放されたと思っていましたが、まだ終わりはないようです(汗)。

ハチ毒は、内科で救急の先生がお詳しいのだと思います。私が小児科医として子どもに多い食物アレルギーの啓発に力を入れていますが、ハチ毒でアナフィラキシーショックの可能性のある患者さんに対し、もっとエピペンを処方された方がいいのではないかと思われ、内科の先生が中心になってハチ毒の啓発活動を進めていって頂きたいと思っています。