先日、ある小児科の先生から食物アレルギーの患者さんの紹介がありました。
今年亡くなられたそうですが、日本の誇る「アレルギーマーチ」の提唱者である馬場先生が、アレルギー体質のお子さんがアレルギー疾患の発症の仕方を解明されています。つまり、0歳でアトピー性皮膚炎と食物アレルギーを発症し、1歳になったらぜんそくも発症してくるというものです。
当院で診ている患者さんも、そういう目で見ていますし、実際にそうなることが多いのです。発表されたのは相当昔の話になりますが、馬場先生の観察力に頭が下がります。
今回の患者さんも、食物アレルギーで相談に来られた訳ですが、生後間もなく湿疹が出ていたそうです。「アトピー性皮膚炎があるんじゃないか」と思いながら、問診を進めることにします。
まず市内の皮膚科を受診し、その後某小児科に通院するようになったそうです。話を聞くと、やはりアトピーが見逃されていると判断されました。
そんな中、卵豆腐を食べて、じきに全身蕁麻疹が出たため、病院の救急外来に駆け込んだそうです。そこで卵アレルギーと診断されます。これは半年前の話ですが、「負荷試験が必要なんでしょう」ということで、当院に紹介になりました。アトピーを診ていたベテランの小児科医よりは、よほど正しい判断をしてくれたと思っています。
私の場合、これまでの経過でぜんそくやアトピー性皮膚炎が見逃されていれば、「見逃されていますよ」と言うようにしています。
多くの患者さんが、自宅から近くの小児科に通っていると思いますが、病気に対する知識が乏しいため、言い方は悪いですが、医師にすべて“丸投げ”の状態だと思っています。
その小児科医がアレルギーの専門的知識を持っていればいいのですが、多くのケースでそうではないので、いつもの繰り返しになりますが、“誤診”され、治療も誤っていることがかなりの頻度で見られます。
親は、お子さんの病気のことはよく知っておく必要があります。いや、それを望んで小児科を受診されるのだと思います。前医が誤った診断や指導をしていれば、間違いを正すのも専門医の役目ですし、患者さんや親御さんのためだと思っています。医師のレベルによって医療内容が大きく異なることを知ってもらうことが、ひいては地元の医療のレベルアップにつながるのです。
まず、見逃されていたアトピー性皮膚炎の話から始めました。昨日も言いましたが、手垢にまみれたアトピー性皮膚炎のガイドラインを手に取り、アトピー性皮膚炎の診断基準を説明しました。
お母さんは、ポカンとした感じで話を聞いていたように感じました。その理由が最後に判明します。アレルギー科を名乗る小児科医から「絶対にアトピーではない」と言われていたからです。
この世にガイドラインというものがあるにもかかわらず、よくもまあ「絶対に」なんて言葉を気安く使うなと思いました。それこそ、そこまで強く言うなら根拠を示すべきでしょう。こういう悪質な判断をするから、地元の医療レベルは改善しないのだとつくづくそう思います。逆に、正反対のことを言われると、「地元の医療レベルがよく分かるでしょ」と言っています。
アトピーでないと考えて治療をするのは、それは仕方ありません。その時にそう思ったのですから。これが医師の“裁量権”というやつでしょう。しかし、治療しても良くならなければ、「自分が誤診しているのではないか?」と考える必要がありました。そう考える医師はそう多くない気がしています。
私の言う“ダメ医者”というか、“ダメな医療”とは、誤診を続ける医療にあります。誤診の事実を知り、その医院さんにはもう行かないでしょうから、医師は自分が誤診していたことすら知らずに、延々と誤診を繰り返すことになります。紹介状を書く習慣のない医師ほど、自信満々にこういうことを繰り返しています。医療って、こんなにも怖いものなのです。
ちなみに、食物アレルギーに関しては、「食物負荷試験」をやることになりました。現在は卵を完全除去されていますが、私の手応えとしては、完全除去は必要ないと思っています。親御さんもそれを望んでいます。
12月に入りましたが、「早いところ、シロクロつけましょう」と親御さんには伝えました。「完全除去」の呪縛?から早く解放されるよう、お手伝いをしたいと思っています。
と同時に、“ダメな医療”とは戦っていかなければならないと決意を新たにしているところです。


