小児科 すこやかアレルギークリニック

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卵が多いが、早いのは…
2012年12月18日 更新

先日、市外からアレルギー用ミルクを使っている患者さんが来られました。

園の先生が、当院への受診を強力にプッシュして下さったとのこと。そこには、専門的に診て持った方が良いとの判断があり、医師よりも園の先生の方が良心的なのだと思ったりします。

まずどんな状況で、どういった症状が出たのか。一般的なアレルギー反応と合致する反応が起きたのか、そうでないのか、再現性があるのかどうかなどをお母さんに聞いていきます。

生後2か月でミルクを飲ませて30分くらいして、顔や身体に蕁麻疹が出たのだそうです。この時点で、普通ならミルクアレルギーを考えます。

近くの小児科を受診したところ、アレルギー検査を実施されたそうです。結果はミルクはクラス0だったそうです。「おかしいな」と言われて、家でまたミルクを飲ませてみるように言われたそうです。そこで、また同様な症状が出て…と話してくれました。

話を聞いていて、途中でストーリーが分かってきたので、「家で飲ませてみて」と言われた時点で、段々こちらがヒヤヒヤしてきました(汗)。

予想通り、“再現性”がありました。つまり、1回目のエピソードでミルクアレルギーはほぼ確定なのに、アレルギー検査が陰性だったので、かかりつけ医が納得いかなかったのでしょう。もう一度飲ませてみた訳です。アナフィラキシーに至らなくてよかったと思っています。

アレルギー検査のことを、もう少し知っていれば、ヒヤヒヤを減らせたはずだと思っています。

私にこんな経験があります。生後1か月の赤ちゃんが、その日はミルクを飲ませたら、飲んだ直後に全身が真っ赤っかになったそうです。夜だったようで、救急外来に駆け込んだそうです。その時は、蕁麻疹を抑える薬を出されたそうです。

後日、精査のために私の前勤務先の柏崎の病院を受診されます。その時のアレルギー検査はミルクがクラス0でした。皮膚テストもやりました。皮膚にミルクのエキスを1滴垂らし、小針で傷をつけ、エキスを染み込ませます。アレルギーがあれば、そこが蚊に刺されたように腫れるという検査です。この皮膚テストも、陰性でした。

私としては、アレルギー検査が出ないのは予想していましたが、皮膚テストは腫れると思っていましたが、腫れませんでした。要は、ミルクアレルギーの2種類の検査をして、両方ともミルクアレルギーを否定するような結果が出たのです。

ただ、私はミルクアレルギーと診断しました。普段は母乳を飲んでいましたが、ミルクを飲ませ、全身が真っ赤っかというアレルギー症状を起こし、それがミルクによるものと判断したからです。検査で裏付けしようとしても、それができなかった訳ですが、“検査の限界”を知っていたので、ミルクアレルギーと診断するには充分と考えました。

ちなみに、生後4か月頃、二つの検査を再度やってみると、アレルギー検査はミルクがクラス6、皮膚テストも大きく腫れました。3か月前には、全くの陰性だったものが、こうも変わってしまうのです。

メカニズムまではよく分かりませんが、生後1~2か月頃にアレルギー検査をやっても陰性のことはよく聞く話です。その後、段々それらしい値を示してくると言われています。残念ながら、これはあまり専門医でない医師の間では知られていないことだと思います。

ですから、先日こられた患者さんは、2か月の時点のアレルギー検査は陰性なのは予測できたことです。私なら、「家でまた飲ませてみて」とは言わなかったと思います。何か納得いかない部分があれば、医院で少し飲ませてみるという、負荷試験をやったと思いますが、そこまでやる必要のなさそうな状況でした。

私がその時に診ていれば、先ほど述べた皮膚テストをやったと思います。私の過去に経験した子のように陰性だったのか、それとも大きく腫れたのかは分かりませんが、ミルクを飲ませると言うよりは安全なので、皮膚テストを優先していたと思います。

その患者さんは、生後半年を過ぎていたので、アレルギー検査は陽性になっていると思いますが、2か月のエピソードがあった時以来、検査はしていませんでした。今回、採血させて頂いたので、結果がどう出るのか待ちたいと思います。

皮膚テストは、その食品に対する過敏性をみることのできる検査です。疑陽性といって、食べられるのに、大きく腫れてしまうこともあるので注意が必要ですが、負荷試験をするよりは安全ですし、陰性であれば、摂取できる可能性が高まるので、もっと普及していい検査でしょう。県内では、アレルギー科を名乗っていても、多くの小児科で行なわれていない検査です。

この患者さんのアレルギー検査は採血したばかりで、結果が出るまで1週間程お待ち頂くことになりますが、皮膚テストは15分後に判定します。ミルクは予想通り大きく腫れました。ちなみに、皮膚テストはミルクだけでなく、卵も一緒に調べました。結果は、ミルクとほぼ同等に腫れています。卵アレルギーも疑われる状況と言えます。

一般的に、食物アレルギーでは卵が頻度が圧倒的に多いのです。ただ、卵を食べるのは離乳食が始まってからですから、生後6か月以降に発症してくると思います。頻度はミルクアレルギーの方が少ないものの、今回の2つのケースが生後1か月と2か月で発症しているように、早く飲ませることも多いので、発症は早いことも多いのです。

この患者さんは卵はまだ食べていませんでした。食物アレルギーで頻度が多いのは卵ですし、ミルクばかりに目がいって卵に注意がいかなければ、離乳食で茶碗蒸しなどを一口食べさせたら、アレルギー症状が誘発されたいたかもしれません。卵アレルギーがないか、検査も一緒にさせて頂いています。

この辺りのことを知っていれば、今回のミルクアレルギー騒動で、かかりつけ医が「おかしいな」と思ったことが、おかしくはなかったりします。

この患者さんは、アレルギー用ミルクを使っていました。ミルクメーカーも慈善事業でアレルギー用ミルクを作っていないので、ミルク自体が結構高価だったりします。私であれば、アレルギー用ミルクを使う場合は、本当にミルクアレルギーで、高価であっても普通ミルクが使えない状況と判断されれば、薦めています。無駄な出費を避けるのも、小児科医の役目だと考えています。ミルクアレルギーの診断に自信がなければ、専門医に紹介があっても良かったのかなと思っています。

ミルクアレルギーは、アレルギーが専門でない小児科医が診る可能性も高く、抑えておきたいポイントはいくつかあることを知っておきたいものです。