調布の食物アレルギーの事故は、ニュースでも繰り返し報道され、多くの方の知るところとなりました。
「食物アレルギーで死ぬこともあるんだ、怖いな」と思う方が多かったと思います。その事は知っていても、我々食物アレルギーの専門医にとっても大きな衝撃でした。
食物アレルギーの患者さんは多く、ともすると1歳で10%近くいるというデータもあります。多くの患者さんが動揺し、今後どうしたらよいかと戸惑っていると思っています。
そんな状況だからこそ、食物アレルギーの専門医にやれることがあるのではないか?と考えています。
例えば幼児で、かかりつけの小児科からアレルギー検査で卵の値がクラス2とか3で、“卵アレルギー”と診断されているとします。いつもこの場で強調しているように、卵アレルギーでないかもしれないのです。
卵を食べて、アレルギー症状が誘発されて、それが卵が原因であることが分かれば、卵アレルギーと診断できます。食べて症状が出なくて、検査だけでは卵アレルギーの診断はできないのです。
多分、このような卵アレルギーではないのに、除去を指示されているような患者さんの家庭では、今回の事故を受けて尚更、「卵は絶対に食べさせちゃいけないからね」という会話が繰り返されていると思っています。
世の中の食物アレルギーと診断されているお子さんの中で、正直食物アレルギーでない患者さんもいます。しなくていい除去をやっている親御さんもいるのが現実です。その他が本物の食物アレルギーとなりますが、その中には軽症で治りやすい方と、重症で治りにくい方がいます。
もちろん治りやすければ、1歳、2歳、3歳と低年齢のうちに食べられるようになってしまいます。治りにくければ、小学校に上がってもほんの微量であっても食べられないことになります。治ってしまう患者さんが多いので、食べられないままの患者さんの頻度は相当低くなります。
食物アレルギーの専門医は、いつも言っているように「食物負荷試験」で食べられる、食べられないの判断をしています。「食べさせてあげたい」という気持ちが強いので、アナフィラキシーショックを起こすかもしれないというリスクを背負って、そういう検査を実施しています。
ですから、もし重症な患者さんの場合は、微量で症状が誘発されてしまうことが分かるのです。先日の記事で、小さいお子さんでしたが、小麦アレルギーのお子さんに加工品であるクラッカーを使って負荷試験を行なったことを書きました。ほんの数枚食べてもらうつもりでしたが、それでも途中で蕁麻疹が広がってきました。
小麦アレルギーの患者さんに、食べられるかどうかシロクロつけるには、うどん100gを食べさせるのですが、到底無理だと思っていたので、クラッカーを食材に使用しました。そして、わずかな量で蕁麻疹が出てしまいました。
それは、現時点では事実なので、その子の通う園の先生に、「この前、負荷試験をやったらクラッカーをちょっと食べただけで、蕁麻疹が出ちゃったんですよ」と言えば、その重症さが伝わるのではないでしょうか?。
多くの患者さんが負荷試験も受けておらず、ちょっとくらいなら食べられるのか、微量でもアナフィラキシーショックを起こしてしまうのかも分からない状態です。ましてや、食物アレルギーのことをよく知らない園や学校職員の方が多いくらいです。油断など、病気のつけ入る隙は多いのだと思っています。
そこで「クラッカーで蕁麻疹が広がった」という情報があれば、園や学校の先生方も「この子にはミスは許されない」という緊張感は保たれると思っています。
より一層、「食物負荷試験」の重要性が高まったと思いますし、患者さんの保護者の方々に「食物負荷試験」の存在を知って頂く必要が強まったと感じています。


