小児科 すこやかアレルギークリニック

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現状打破
2013年02月01日 更新

厚生労働省の出している死亡原因のデータによると、食物アレルギーでの死亡は1995年から2008年までの間に0~5人/年であったというものがあります。

これは、大人も含めたものですが、見る人によって受け取り方が異なるようです。医師から「強いアレルギー症状を起こして死ぬかもしれない」と言われたりしている場合は、「意外と少ない」と思うかもしれませんし、「ゼロじゃないんですね」と多いと捉える方もいらっしゃるでしょう。

あまりに心配し過ぎる親御さんに対し、「滅多に死ぬ病気ではない」なんて声を掛けたこともありますが、死亡事故のニュースが国内を一気に駆け回ると、こういうことも言えなくなってしまいます。

私の中でも、かなり大きな衝撃だったのは事実で、未だに11歳前後の患者さんの診療をした時に、「これくらいのお子さんの命が奪われてしまったんだ」と悲しい気持ちになります。

食物アレルギーの専門医が少ないため、新潟県内の対応はかなり遅れています。ここ最近触れているように、いつ県内で第二の事故が起きてしまうのか?という危機感さえ持っています。

同業者のホームページのブログなどを見ることもありますが、死亡事故のことに触れている医師はおらず、やはり専門でないと危機感も薄いのかもしれません。

多くの医師が負荷試験もしておらず、「除去、除去」と言うのみですが、最近は除去している程、体に慣れていない訳で、強めのアレルギー反応を起こす可能性が示されているようです。

人間はミスする動物ですから、これまでは園や学校の現場で一生懸命除去されていたから何も起きなかったものの、これからも何も起きない保証はないのです。除去するのみでなく、誤食時の対応もセットで指導されるべきでしょう。

アレルゲンを食べて重い症状を起こしたことがあれば、その患者さんは重症ということになります。エピペンの適応なのですが、それでも処方さえ医師の頭に浮かんでいないケースも多いと思います。専門医に紹介されることもないのが問題です。

「第二の事故を起こしてはいけない」、多くの大人に突きつけられた課題だと思っています。これまで食物アレルギーに大して興味のなかった医師や園•学校職員も変わらなければならない、そう思っています。

文部科学省は、今回の事故を受け、教育委員会と各学校へ児童生徒の状況に応じた対応を要請したとネットニュースで読みました。

言い方は悪いですが、通達の紙切れ一枚だけだとしたら、何が変わるのだろうと思っています。実際の文面は分かりませんが、「状況に応じた対応」と言われても、分かりにくい文章です。何をどうしたらよいのか、それだけでは「各々で考えろ」ということなのでしょうか?。

先日、ある患者さんの親御さんから情報を入手しました。私も教育委員会などの構造がどうなっているかなどよく分からないのですが、各地区に教育委員会があり、その上に県の教育委員会があるのでしょうか。食物アレルギーの対応は、学校現場に任せてあるようなニュアンスだったようです。ハッキリ言えば、“丸投げ”ってやつですね。

要は、そういう患者さんのいる園や学校だけで対応すればいいと捉えている節があります。それは地域の問題であり、地域全体で取り組んでいくべきものだと思っています。

これまで、いくつかの教育委員会と接する経験がありましたが、良いところと、そうでないところがあります。教育と医療は別ですから、食物アレルギーのことはよく分からないはずです。私の知識を頼って下さった地域では、研修会を行い、養護教諭等を中心に知識のレベルアップに協力してきました。良好な関係のところもあります。

一方、そうでないところは、そういうことが一切ないのです。地元に専門医がいないから、働きかけても、逆にそれを排除しようとするところすら存在するのです。閉鎖性がそうさせるのでしょう。子どもの命を守ること以上に大切なことってあるでしょうか?。こういう地域の園や学校の現場が気の毒でなりません。

文部科学省の通達が、どれだけの効力があるのかは分かりません。でも良い教育委員会もあり、今度講演に行くところでは、「死亡事故の詳細も話し、検証するつもりです」と言うと、周囲の行政の担当者にも声を掛けて下さるそうです。

残念ながら、多くの地域では専門医の協力も得られず、通達も素通りしてしまうことを危惧しています。先ほど述べたように、今後も“丸投げ”を続けるのでしょう。新潟の現状を目の当たりにしている者として、一部を除き、総じて何も変わらない可能性が高いと予想しています。

私はどこでも協力したいと思っていますので、協力してくれる医師がいないという言い訳が通用しないようにしたいと思っています。