小児科 すこやかアレルギークリニック

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ひどい話3
2013年02月13日 更新

当院は、市内外から患者さんが受診されます。

中学生が給食後に運動して、蕁麻疹が出てきたと言うことで、それまでは開業皮膚科を受診していたそうですが、学校側の勧めもあって、当院を初めて受診されました。

中学生が給食後に運動してアレルギー反応というと、食物依存性運動誘発アナフィラキシーの可能性を考えなければなりません。当院で診ている患者さんも、意識をなくしたり、血圧が60台に低下したりというように、生命の危機的な状態に陥った患者さんもいます。

今回は、アナフィラキシーというそこまで強いものではありませんでしたが、これで4回目なのだそうです。当院は初診ですので、問診票をみると1回目のエピソードでかなり重い症状が出たようです。

給食後、運動して、午後の授業があって、部活をした際にアナフィラキシーに至ったようです。初めてそんな状態になり、保護者が呼ばれ、母は「死ぬんじゃないかと思った」そうです。往々にしてオーバーな表現のこともありますが、全然オーバーでもなく、全身蕁麻疹の他に、手足が冷たくなり、立てなくなったそうです。呼吸困難、チアノーゼもあったようです。

血圧は測られていませんでしたが、これってアナフィラキシーショックという危険な状態です。救急車で搬送されるべきですが、車である地域の中核病院を緊急受診したそうです。

そこの皮膚科の先生らしいのですが、給食で食べたサバが原因と決めつけるようなことを言ったようですし、自宅近くの皮膚科開業医で血液検査を受けるように言われたようです。

確かに原因検索は大切です。ただ、血液検査だけでは分からないこともあります。今回のケースは、再検の検査をしっぱなしで、何に気をつけるかという指導さえもなされていませんでした。

もっと驚いたのが、アナフィラキシーショックを起こしているにもかかわらず、エピペンの話が全く出てこないことでした。

多分、県内に食物アレルギーに詳しい皮膚科医は相当限られるのでしょうし、こういうケースのご経験は少ないのでしょう。抗アレルギー薬が処方されているのみでした。ちなみに、ショック時に抗アレルギー薬を飲んでも、全くと言っていい程効かないはずです。

「二度あることは三度ある」じゃないですが、またいつアナフィラキシーショックの状態に陥るかもしれません。皮膚科医であれ、小児科医であれ、命を落とさせないようにする対応が必要です。

当院にはかかったばかりで、まだ食物依存性運動誘発アナフィラキシーかさえもハッキリしない状況ですが、なるべく原因を追及したいと考えています。

当時の状況を伺うと、アナフィラキシーショックを起こしたと考えるのが正しいと思われ、食べ物、ハチ毒、薬などが原因となります。蜂にも刺されておらず、薬も飲んでおらず、となると食物アレルギーの可能性を疑いますし、ここまで重い状態なら、食物依存性運動誘発アナフィラキシーを想定するのは不自然ではありません。

当院の知名度が高くないせいもあるのでしょうが、アレルギー専門医に紹介しなければいけないケースです。原因検索もなされないばかりか、ショックを起こしていながらエピペンも処方していないお粗末な対応に、衝撃を受けました。

食物アレルギーで死亡することが明らかなり、二度目を起こしてはいけないのに、こんなビックリするような対応がなされているようでは、私は新潟県で起こるのではと危惧しています。

患者さんを診る時は、「自分の子どもや身内だったらどう考えるだろう?」が基本だと思っていますが、残念ながらそう考える医師は少ないようです。

自分の子どもがある日突然、アナフィラキシーショックを起こしてしまった場合、今回の皮膚科医の対応では、何に気をつけたらいいか分からない状況だし、ショックに陥っても何もできないことになります。“他人事”のように思っていては、医師としての責任を果たせないと思っています。

食物依存性運動誘発アナフィラキシーだと、原因食品は小麦や甲殻類だけで9割を占めるというデータもあります。圧倒的に小麦が多いのですが、今回は皮膚科医からあまり根拠もなく「サバでしょう」なんて言われたものですから、サバだけ気をつけていたようで、過去4回のエピソードの際の給食に何が出たかさえも分からないのです。

私の認識では、サバは特にアレルギー反応を起こしやすい訳ではなく、食物依存性運動誘発アナフィラキシーの原因になったという報告はほとんど聞きません。原因を一から考える必要があります。

まだ原因が特定できてない状況ですが、二度目に備えてエピペンを処方する段取りをしましたし、学校側にエピペンの取り扱いを説明する機会を設けてもらいよう親御さんには伝えました。

こんな命が関わる問題なのに、悠長なことは言っていられないことを多くの皮膚科医、小児科の先生に分かってもらいたいと思っています。