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年功序列!?
2013年02月27日 更新

先日、中越地方のある街から患者さんが受診されました。食物アレルギーの相談でした。

遠路遥々受診された場合、それだけ「何とかして欲しい」という気持ちが強いとお察しします。地元の医師では「どうにもしてもらえない」という思いが強いのだろうと感じています。

食物アレルギーにはアトピー性皮膚炎が合併することが多く、どちらが先に発症するかと言えば、アトピーの方だろうと思います。乳児期に湿疹について話を聞くと、アトピーらしい湿疹があったようです。

N市やS市の小児科や皮膚科をいくつも受診したようですが、いつものことですが、アトピーとは診断されていませんでした。県内の広範囲で、アトピー性皮膚炎のガイドラインがいかに利用されていないかがよく分かります。

親御さんは、お子さんに病気がある場合、そのすべてを知る権利があります。というか、お子さんを守るために、「敵」(病気)を把握しておく必要があります。「敵」が分からなければ、攻略のしようがありません。アトピー性皮膚炎にはアトピー性皮膚炎の治療法や注意点があるため、診断がつかなければ有効な対処法が分からなくなります。

ましてや、最近は「経皮感作」といい、皮膚から食物アレルギーが起こるのではないかと考えられていて、食物アレルギーを悪化させないためにも、皮膚を速やかに改善させる必要があるとも言われています。

話をよく聞いてみると、どう考えてもアトピー性皮膚炎があり、治療も現在推奨されるやり方からすると不十分なものだったようです。いくつか小児科や皮膚科を回れば、ひとつくらいはまともに診断や治療をされても良さそうなものですが、それすらままならないのは問題があります。

多くの患者さんが、本来受けられるべき医療を受けられておらず、泣き寝入りしていると思うと、もっと当院を頼って欲しいと思ってしまいます。

この患者さんは、今は皮膚症状はかなり落ち着いていました。普通なら、相談に来られた食物アレルギーの話のみを聞くのでしょうが、先ほど述べたように、親御さんにはお子さんに何が起こっているか知る権利がありますので、まずはアトピーのことから説明をしています。

それから食物アレルギーの話に進んでいくのですが、いつもワンパターンですみません。「食物負荷試験」の話が隠蔽されていました。時折アレルギー検査の採血が行なわれており、ずっと「インタール」という抗アレルギー薬が飲まされていました。以前も触れましたが、私はというか、専門医はこういったケースでは「インタール」は使いません。理由を話し、中止させて頂きました。

ただ漫然と除去が続けられており、徐々に親御さんにかかりつけの小児科医に対して不信感が芽生えてきたそうです。多くの患者さんが、かかりつけ医にぞっこん(?)で、あまり疑うことをしませんが、食物アレルギーに関しては多くの場合、アレルギー専門医のそれとは異なる指導がなされています。もっと患者さんは疑うことを覚えるべきでしょう。

親御さんは、その地域で最も大きな総合病院を受診します。セカンドオピニオンというつもりだったようです。

ところが、「〇〇先生のところで診てもらっているんだから、間違いない。引き続き診てもらって下さい。」というようなことを言われたそうです。多分、若い先生がそう言ったのだろうと思いますが、前医に気を遣ったのか、本当にそう思っているのかなんだろうと思います。

私であれば、仮に私より年上の小児科医がこれまで診ていようと、治療や指導がガイドラインに沿ったものでなければ「正しくない」と言います。同業者に気を遣うことは意味のないことではないとは思いますが、同業者に重きを置いて、患者さんを裏切るなら本末転倒と言えます。

そもそも、医療は年功序列ではありません。確かにベテランになると、いろいろな経験をされているのだろうと思います。ただし、私がよく言うガイドラインはぜんそくやアトピー性皮膚炎にもありますが、ここ最近になって充実してきており、逆にベテランの医師の方が時代の流れについていけていないことが多いようです。

周囲ではベテランで、食物負荷試験の存在を知らせてくれる医師はほとんどいないのではないように思います。ですから、年功序列は有り得ず、若くても専門的知識を持っている医師の方が正しいことをやっています。親御さんも「食物負荷試験の話は初めて聞きました」と話していました。

これまでは“経験と勘”でやってこられたのかもしれませんが、今の時代は「医学的根拠」の方がよほど大事で、重視されるべきでしょう。“経験と勘”では正しいこともあれば、正しくないこともあります。そういう反省に立ち返って、「根拠」が重視される時代になってきたのです。

医師は“経験と勘”でやっており、患者さんはそれを一方的に“信用”しており、その結果、多くの患者さんがガイドラインから外れた指導を受けているのではないかと考えています。

現状を打破するには、医師がもっと良心的になるか、患者さんが新しい知識を持つしかないのでしょうが、前者は困難としか言いようがなく、後者が現実的な対応でしょう。

医療は年功序列ではないことから、まずは知って頂きたいと思っています。