当院を初めて受診される患者さんは、困り果てており、藁をも掴む思いで受診されるケースが多いようです。
咳が長引いているのに、ぜんそくと診断されていないケースや、乾燥のせいかアトピー性皮膚炎の悪化したケース、新学期を迎えるに当たり食物アレルギーの診断書を希望されるケースなど、いろいろです。
先日、咳が長引いているというお子さんが当院を初診されました。
これまでは内科にかかっていたようです。内科の先生は「内科・小児科」を標榜していることもあり、家から近いということも手伝い、通っていたそうです。
長引く咳を“風邪”と診断されており、“風邪薬”が処方されていました。何度も通ったそうです。お薬手帳を見ると、同じ風邪薬が出し続けられていました。
ここで考えて欲しいのは、「風邪じゃないから、“風邪薬”が効かないのではないか?」ということです。
本来、風邪はウィルスによることが多く、インフルエンザに対するタミフルのように、特効薬はありません。治療と言ったら、咳が出れば咳止め、鼻が出れば鼻水止めといった対症療法が主体で、あとは自分の免疫力で対処すべき病気と言えます。
実際、数日で治ってしまうことが多いはずです。この患者さんの場合、咳が1か月以上も止まりませんでした。しかも、咳込んで目覚めてしまうことも繰り返していました。「どう考えてもおかしい」と捉えて頂きたいところです。
ここでおかしいと考えるべきは、医師の方です。病気のプロなのですから、「風邪薬が効かないのは何故だろう?」、「風邪じゃないんじゃないか」と考えるべきところです。
残念ながらそうは考えてもらえずに、患者さんの方が不安になって耳鼻科に行きましたが、それでも咳は止まりませんでした。そんな状況で当院を受診されました。
まず問診をしたのですが、話を聞いただけで診断が分かりました。ぜんそくでした。
申し訳ないですが、医師の間にはそれだけの実力差があります。内科の先生は大人の病気なら、私が知らないこともいっぱいご存知でしょうが、この分野に関しては私の方が専門です。
内科の先生は、手に負えないなら小児科医に紹介すべきでした。ただ、小児科医でも診断できないこともあり、できれば早く当院に知らせて欲しかったというのが本音です。
最近は、ぜんそくの治療法が確立されてきて、かなり有効で、確実に症状を軽減させることができます。1週間後に再診して頂きましたが、診察室に入るなり、親御さんから「お陰様で眠れるようになりました」と感謝の言葉を頂きました。
「ということは、お母さんも夜眠れると言うことね?」と返すと、ニッコリとし「はい」とおっしゃいます。
内科と耳鼻科にかなり通い、お辛い期間だったと思いますが、専門的知識を駆使し、症状を好転させることができました。医者冥利に尽きるというか、これが「あぁ、人助けをしているんだな」と思う瞬間です。
最初に当院を受診した日は、これまでぜんそくなんて言われていなかったものですから、少し驚かれたかもしれません。もしかしたら、信じたくないという気持ちもあったかもしれません。
ぜんそくとしか診断しようがないという状況でしたので、根拠を示しながら説明しましたが、ぜんそくの治療をして症状が改善した訳ですから、ぜんそくという診断は事実であり、誰を信用すべきかは理解して頂けたと思っています。
小児科医で、子どものぜんそくを診断できない医師は論外だと思っています。今回は内科の先生だったので、悪気はなく、致し方ない部分もあると思いました。
その先生も、「まさかぜんそくだなんて」と思われるだろうと思います。また同じようなケースでミスをしないように、「また行ったら、うちからぜんそくと診断されました」と伝えてもらえますか?と打診しました。紹介状があれば、ぜんそくと診断した根拠や治療を書きますが、紹介状がないので返事は書けないのです。
親御さんからそう伝えて頂くことで、地域のレベルアップを図りたいと思ったのですが、「行きません」と言われてしまいました(汗)。
我が子の症状を治そうと信用して通っていた訳ですから、そう考えるのも無理はありません。ただ、子どもの調子が悪ければ小児科医に行くべきだということを理解してもらえたことは、お子さんにとっても親御さんにとっても悪いことではないと思います。
私の“作戦”は失敗してしまいましたが、この患者さんは当院で診ていくのがベストと感じますし、親御さんからの信用もそれなりに得られたと思っていますので、症状を落ち着かせることに力を注ぎたいと思っています。


