小児科 すこやかアレルギークリニック

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大人のアナフィラキシーの場合
2013年03月15日 更新

先日、知り合いの先生から成人のアナフィラキシーに関する相談を受けました。

過去に2回アナフィラキシーを起こしているようです。地元の方ですが、仕事先でN市とK市にいた時に発症してしまい、それそれの市内の病院を緊急受診されています。

いずれのエピソードも、体の広範囲に蕁麻疹が出て、のどが腫れ息苦しくなったそうです。その時の状況をみていませんが、危険な状態であったことがうかがい知れます。

最初に症状が出た時に、対応した医師から「もう30分受診が遅ければ、死んでいたかもしれない」と言われたそうです。つい先日の2回目のエピソードの時も、「アレルギーの専門医を受診しなさい」とアドバイスがあったそうです。

その言葉を聞けば、切実さがより伝わるのですが、何か物足りなさを感じていました。情報は患者さんの証言のみで、もちろんご本人はアナフィラキシーを起こしているので、冷静に何が起きて、どういう治療をされたのかはよく分からないのは、当然と言えましょう。

実は2回目のエピソードは、当院を受診される前日のことでした。アナフィラキシーだったのか、アナフィラキシーショックだっかのかは、子どもの場合と違って血圧は測るでしょうから、血圧が明らかに低ければアナフィラキシーショックと診断してもいいと思っています。ところが「血圧がやや低い」という情報しかないのです。

患者さんの話では、ステロイドの点滴を受けたそうで、症状が落ち着いてきたため、帰宅を許され、帰りにアレルギーの専門医への受診を勧められたくらいのことしか分かりません。

本来なら、どういう状況で受診され、何が疑われ、どう処置したかを簡単にでも書いた紹介状を患者さんに持たせるべきと思うのですが、こういうものなのでしょうか?。風邪なり、胃腸炎なりありふれた病気ならそこまで必要ないでしょうが、1回目の時もそうですが、2回目も紹介状すらないのは不思議に思ってしまいます。

確かに、大人のアナフィラキシーは受け皿が少ないと言えます。

この患者さんはアレルギーの専門医を受診するよう言われていました。一般的に「アレルギー科」を標榜する内科医は、呼吸器内科の先生でしょう。どちらかと言えば、ぜんそくがご専門です。

皮膚科かと言えば、以前も明らかなアナフィラキシーを起こした患者さんが、総合病院の皮膚科と、開業皮膚科の二つを受診していて、エピペンすら処方されていませんでした。ただ、某市の皮膚科の先生はエピペンを何本か処方されているという話を聞いたことがあります。ハチ毒の患者さんが中心のようです。

今回のケースは、呼吸器内科の先生経由で、当院に紹介されてきました。基本的に大人のアレルギーは、当院では診ていません。大人のぜんそくやアトピー性皮膚炎は、それなりに対処できるくらいの知識は持っているつもりです。しかし、受け入れ始めれば、どんどん受診希望者は増えると思います。時折、相談を受けるケースは、ガイドラインに沿った治療がなされていないことが多く、私が診た方がまだマシと思ったりします。

医院の経営のことを考えれば、どんどん引き受けた方がいいのでしょうが、私の場合は儲けようと思って開業した訳ではないし、大人の患者さんの対応に時間を取られて、子どものアレルギーの患者さんを診る時間が減ってしまえば、本末転倒と言えます。

相談を受けた場合は、信頼できる呼吸器内科や皮膚科の先生のところを受診するようにアドバイスさせて頂いています。ただ、今回の場合は、適当な紹介先が見つからず、私が引き受けなければいけないようです。

大人のアナフィラキシーですと、茶のしずく石けんで話題になった「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」もありますし、食事は関与していない「運動誘発アナフィラキシー」という病気もありますが、運動らしい運動はしておらず、いずれも否定的です。

いずれのケースも、患者さんの記憶によると痛み止めを飲んでいたそうで、消炎鎮痛薬によってアナフィラキシーを起こす場合もあるため、精査をしていこうと思っています。

原因は何であれ、いずれも呼吸困難を起こしており、のどの奥が腫れていたのであろうと思っており、エピペンは持っていてもらった方がよさそうです。エピペンを処方することにしました。

当院は、エピペンを処方したら、その子の通う園や学校に出向いて職員全員がいつでも打てる状況にしておきたいと考え、そう働きかけていますが、今回の場合では、ご家族と職場の人に説明しておく必要があるのかなと思っています。

今回は何とか当院に辿り着いて下さいましたが、先程も述べたように、大人のアナフィラキシーは受け入れ先がとても少ないため、他の患者さんはどうなっているのだろうと心配になってきました。

たまに、診療していると親御さんから「私も食物アレルギーがあり、エビが食べられない」なんて言われることもあり、少ないながらも大人にも食物アレルギーは認められます。食物アレルギーで、原因食品が分かっていれば除去するのみで、日常生活が送れます。

今回のようにアナフィラキシーで命に関わる病態だと、エピペンは所持しておいた方がいいし、できれば原因を究明しておきたいところです。例えば、新潟県なら上中下越地方の3つに分けられますが、それぞれの地方のどの医療機関を受診した方がいいのか、分かるようにしておきたいところです。そうでないと、たらい回しにされたり、次のアナフィラキシーを待つだけなんてことになってしまいます。

今日は、大人のアナフィラキシーを診る受け皿が非常に少ないという問題を挙げておきたいと思っています。