小児科 すこやかアレルギークリニック

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案の定
2013年03月18日 更新

当院のある街は、上越市と言って新潟県の南側に位置しています。

新潟県は結構広いので、県庁所在地の新潟市からは120キロ離れています。いろいろな面で、新潟市は県内ではリーダー的存在と言えます。

先週の土曜に告知していた通り、地元ではメジャーな新聞である新潟日報に食物アレルギーの記事が出ました。取材は受けましたが、どんな内容になるかは聞かされていなかったので、うちでは新潟日報は取っていないため、コンビニに買いに行きました。

一般の方の間に誤解の多い食物アレルギーという病気にスポットライトを当てて頂いたことは感謝しますが、私にとって“有り難い内容”になっているかどうかは読んでみないと分かりません。

私にとって有り難い内容とは、食物アレルギーの対応が行政によって大きく変わっており、県内には医師や行政側の努力不足に起因する、非常に遅れた対応をしている街が多く存在しており、情報がその地域住民に伝えられておらず、我慢を強いられている、必要なサービスを受けられていないのです。

2年前の春に、厚生労働省が保育所におけるアレルギー対応ガイドラインを公表しました。そこには、食物アレルギーには誤食も起き得るため、園が誤食に対処する術が書かれています。

私は自分の患者さんを守るために、園に通う低年齢児にエピペンを処方したケースでは、園にエピペンを預かってもらえないか、エピペンを処方するたびに園や行政に打診してきました。もちろん、園や行政もやらなくてもいいことはやりたくないはずです。ただし、先のガイドラインが公表されたあとであったため、ガイドラインを引き合いに出し、園でのエピペンの管理をお願いしてきました。

新潟県内でいち早く市をあげて園でエピペンの預かりを決めたのが、柏崎市であり、妙高市であり、上越市だと認識しています。私の働きかけもあったでしょうが、行政側に理解があったことと、市民を守りたいという気持ちがあったからだと思います。

新聞記事には、やはりというか新潟市のことしか触れておらず、今から1年も前に食物アレルギーの体制づくりを完了していた、これらの市のことは書かれていませんでした。読者からは新潟市がようやく始めたことなので、他の地域は対応が遅れていても仕方ないと受け取られ兼ねないのです。不満と言えば不満です。

私のもっとも力を入れている個別対応というか、要はエピペンを処方している園や学校に出向いて職員全員にエピペンの取り扱い方を説明していますが、そのことも取材の時に記者さんに強調しましたが、やはり触れられていませんでした。

エピペンの講習会がわずかながらでも行なわれるようになってきましたが、参加者が休みの日に子どもがアナフィラキシーショックを起こしたら、何も対応できなくなってしまいます。やはり大切なことは、職員全員が知っておく必要があると確信しています。エピペンを処方された子どもが在籍している園では、そうでない園よりはエピペンを使う可能性があるのだから、個別指導が必要ないはずがありません。

調布市での死亡事故を受け、私自身もエピペンの処方の適応が少し緩くなりました。というか、親御さんもあの報道を受け、不安を感じており、そういったケースでは処方しておいた方がいいと考えています。

医師が園や学校に出向いてエピペンの講習を行うことは、全国的にみてもまだほとんど行なわれておらず、一部に限られると思っています。これまで私自身がエピペンを処方してきた患者さんの通う園や学校の多くには、既に説明に行っています。更に最近、新規処方が増えていると言いましたが、そういった園や学校に私が出向いて話をする旨を親御さんを通して伝えてもらっています。

私の体も一つしかないし、出掛けるとなると当院が休診である水曜の午後くらいしかありません。そんな中、やりくりしていますが、ほとんどの園や学校で「それではお願いします」という返事を頂いています。

新潟県では、この地域が一番レベルが高いし、行政側の理解も深いと自負しています。上越の地に開業して5年半になりますが、これだけの時間をかけて、ともに歩み、今の状態に育ってきています。こういう早くから取り組んでいる行政のためにも、こういう地域があることに触れてもらっても良かったのではないかと思っています。

こういう地域がある一方で、何も動こうともしていない地域があります。同じ新潟県民であっても、住む地域が異なるだけで、食物アレルギーという場合によっては命のかかわる病気に関して、受けられるサービスが雲泥の差くらいに変わってくるのは大きな問題です。

新聞記事では、その辺りをしっかり書いて欲しかったのですが、「案の定」って感じです。

私は、この分野でこだわって診療しているため、ある程度は知名度を上げたいと思っています。近隣の街でなくても、困っている患者さんはとても多く、そういう患者さんの力になりたいと常日頃から思っています。そういう意味では、メディアに取り上げて頂くのも手だと思っています。

今回、食物アレルギーで困っている方々の為になればと、1月末に何とか時間を取り、やや体調の悪い中、2時間ほど取材に応じました。どういう訳か、私の名前は出てこず、「県内の専門医」というのが私のようです。正直、「あれ!?」って感じました。

それはいいとして、新潟県内の食物アレルギーの患者さんに、“格差”が伝わるいい機会になってなって欲しいと思っていました。なかなか難しいものです。

やはり自分の力で、地道に進んでいくしかないんだと実感しています。