小児科 すこやかアレルギークリニック

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使い方が分からない?
2013年04月08日 更新

春休みと言うこともあってか、中越地区からの受診が多いようです。

100キロほど離れた街から、園から紹介で患者さんが受診したりしてくれています。それはそれで有り難いのですが、逆に当院までの100キロの間に、キチンと誠意を持ってアレルギーを診療している医師がいないの?って思ったりします。

先日、N市から高校生が受診されました。一見してアトピーと分かる患者さんでしたが、気の毒なことに顔中心に湿疹が出ていました。

その街で名の通った皮膚科に行っていたようですが良くならず、別の皮膚科にも行っていましたが、改善が得られないということで,当院に救いを求めて受診されたのです。この患者さんも、周囲の勧めだったようで、これも有り難い話です。

ただ、70キロの距離をかけて受診されている訳で、この年齢ですと小児科と言うよりは、皮膚科に行くことが多いでしょう。この辺では、あまりアトピー性皮膚炎に強い「皮膚科」は聞きません。皮膚科の先生には頑張って頂かなければいけません。

あくまで当院を受診されている患者さんですが、当然これまでの医療に不満があって、医者を代えようと思い立たれています。私の知っている小児アレルギーの専門医は、「絶対に何とかしてやる」という熱い気持ちを持ち、責任感あふれる診療をされています。新潟県内には、そういうタイプのドクターが増えないといけないと思います。

これまで重症なアトピー性皮膚炎の患者さんが受診された際に、過去にかかってきた皮膚科医の治療方針などを聞いたりしますが、「絶対に何とかしてやる」という気持ちを持った医師に出会ったことはまずありません。良くならなくても、サラって感じで診察が終わり、同じような軟膏と内服薬が出し続けられています。逆に、一生懸命やっている皮膚科からは、そういう不満も出てこないから移ってこないだけなのかもしれませんが…。

ステロイド軟膏に対し、不安を感じる患者さんもいまだにいらっしゃいますが、現在の医療水準で、アトピー性皮膚炎は基本的には対症療法です。つまり、アレルギーの体質を根本的に治す方法はないので、軟膏を塗布し、“皮膚の状態を安定させるよう心掛ける”というのが基本姿勢と言えます。

まず、その理解から始めた方がいいと思います。そういう意味では、ぜんそくの治療も吸入ステロイドを使い、“発作を起こしにくいクセをつける”というスタンスになっています。

ステロイド軟膏の選択や使い方も、見ていると皮膚科医によって様々です。

弱すぎる薬が使われるケースや、「おいおい、ちょっと強すぎるんじゃないの?」という薬が選択されているケースもあります。延々と塗り続けられていたり、「良くなったら塗るのを止めて」と数日で止めさせている場合もあります。更に、「できるだけうすく塗るように」と言っている医師もいます。

皮膚症状が良くならなければ、良くならない理由がある訳です。私も一部の重症な患者さんには手を焼いているケースも正直ありますが、多くは短期間に改善させることは難しいことだとは捉えていません。

今回の患者さんの場合は、「おいおい、そんなの効かないよ」というくらいの弱い軟膏が出されていました。更に、その後の治療がいけません。

過去にたまに触れていましたが、プロトピック軟膏のことです。少なくとも、当院に逃げてこられる患者さんで、プロトピックが既に処方されていたケースはほとんどありません。使っている患者さんの間では「ライフチェインジングドラッグ(人生を変える薬)」とさえ言われる、評価の高い薬です。

免疫抑制剤のため、発ガン性が取り上げられることがありますが、「問題ないであろう」とされています。ただし、日本のルールでは、一応はこの辺のことは説明しておく必要があると言われています。

過去に2、3人はプロトピックが処方されていたことがあったと思いますが、誰一人として先のルールが守られていたことがありません。

見られやすい副作用として、皮膚の火照りやピリピリ感があります。それを避けるには、ステロイド軟膏で一旦皮膚の状態を良くし、それからプロトピックに移行すると、先ほどの副作用は見られにくくなると言われています。傷やジクジクしているところには、塗ってはいけないとされているのは、そういう理由からです。

一旦きれいにしても、最初の数日は火照りがでることもありますが、ちょっと我慢して頂いていると治まると言われてます。この辺もよく説明しておく必要があります。アトピー性皮膚炎の治療は、ステロイド軟膏以外にある数少ない「武器」を有効に使いこなさなくていけません。

今回の患者さんの場合、効果の乏しい極めて弱い軟膏が選択されており、引っかき傷が多いところにプロトピック軟膏を塗るよう指導されていました。

もうお分かりでしょう。患者さんは、あまりの火照りやピリピリ感に「もう使いたくない」とその薬を毛嫌いしてしまっていました。「ライフチェンジングドラッグ」にもかかわらずです。

つまり、アレルギー専門医の間では常識になっていることが、常識になっていなかったのです。正直、呆れたし、「プロトピックの使い方を分かっているのだろうか?」と思っています。

弱過ぎて一般的にはほとんど使用されていないステロイドから、適切であろう薬に変更し、ステロイド軟膏に対する不安を取り除けるよう説明し、更に薬の塗る目安を説明し、後日再診して頂きました。

年頃の患者さんで、顔に赤くゴワゴワした湿疹があったため、初診時は表情も曇りがちでしたが、そんな顔の皮膚はかなり良くなっており、痒みも軽減していました。私の親父ギャグ?にも時折笑ってくれています。

私の経験では、この状況でプロトピックに移行しても、刺激感は最小限であろうと思いますので、毛嫌いしていたはずのプロトピックに再挑戦して頂くことにしました。ほんの数日はピリピリ感を感じるかもしれませんが、その後は大丈夫だと思っています。

これまで学んできた知識を駆使すれば、これまで何件も皮膚科に行っていたようですが、より専門的な治療が提供できるであろうと思っています。ただ、こんなことは氷山の一角であり、この街には専門医とは異なる軟膏の使い方をされて、改善が思わしくな患者さんが大勢いると思うと心が痛みます。

典型例であっても、アトピー性皮膚炎とすら診断されていない患者さんが多いことに心を痛めています。患者さんは、医者に通っても皮膚症状が改善しないのは、病気が重いからだと思っているでしょうが、そうではなく、薬の使い方に問題があるケースも少なくことは知っておいても損はないと思っています。