小児科 すこやかアレルギークリニック

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1000分の1で
2013年04月12日 更新

当院の場合、3月から4月にかけて「食物負荷試験」が多くなります。

新年度にあわせて食物アレルギーの診断書の提出を園や学校から求められるからで、連日のように5件以上の負荷試験をこなしています。

外来は、「量より質」だと思っています。経営から考えると、いかに大勢の患者を診るかがポイントになるのでしょうが、どの小児科医にも診られるような病気を診るよりは、アレルギーで困っているお子さんを診た方がいいくらいに考えています。

当院は、他院で誤診やおかしな指導を受けている患者さんが来られると、本当に30分しゃべり続けることはよくあります。1日にそういう患者さんを10人診るのと、風邪などの軽症の患者さんを50人診るのでは、経営上は後者が有利なのは明らかですが、私なら前者を選ぶと思います。

とは言え、困り果てた患者さんが昨日も下越地方から来られましたが、そういう患者さんも含め、100名を超える患者さんを診るのは一苦労です。

一般診療をしながら、5件以上の負荷試験をやるのは、結構気を遣います。ましてや、アレルギー症状が出てしまうと尚更です。そういった患者さんを気にかけながら、診療をしており、スタッフに経過を確認しながら診療を続けることになります。

いつも言っているように、当院の負荷試験のポリシーは「負けるケンカはしない」ということであり、とにかく食べるものを増やしてあげたいと強く願っています。

いつの間にか、ここ最近でかなり重症な患者さんが集まってきています。「それでも何かは食べられるはずだ」とアレルゲン含有量の早見表を見ながら、食べられるものを探しています。

先日、重症な牛乳アレルギーの患者さんに脱脂粉乳の入ったお菓子を食べてもらおうと思いました。以前も書いたことがありますが、初回の食べてもらう量がその患者さんの限界量を超えていれば、一気にアナフィラキシーショックに至るかもしれず、初回の投与量が難しかったりします。

今回、選んだ食材はスティック状のお菓子だったのですが、1本の半分から始めようと考えました。実は牛乳タンパクとしては6mg含まれる計算になります。

当院の場合、慎重に負荷しているつもりで、初回量を食べさせて、アナフィラキシーになった経験はありません。食べ進めているうちにアレルギー症状が誘発されるのです。

ただ、今回は違いました…。

初回量を食べてまもなく、口の脇にじんましんが出始め、機嫌も悪くなってきました。それから身体に細かいじんましんが広がってきたのです。

対処としては、呼吸器症状が出なかったので、ステロイド薬の内服を行ない、症状はゆっくり軽快しました。正直、肝を冷やしました。

世の中にはもっと重症なお子さんもいるのでしょうが、牛乳200mlにはおおよそ6gくらいの蛋白質が含まれるとされているので、たった1000分の1の量でじんましんが広がったことになります。

ちなみに、ここ最近書いていたように、この患者さんも体重が15kgには大きく届かないため、誤食時にアナフィラキシーショックに至る可能性はあると思いますが、エピペンは処方できないことになります。10kg程度の幼児に適応したエピペンがあってもいいのではと思ってしまいます。

いずれにしても、乳については完全除去を続けてもらうしかありません。親御さんにしてみれば、厳しい現実を突きつけられた格好ですが、現実を見てそれに見合った対応を取っていくべきなので、それはそれで意味があったのだろうと考えています。

小麦でもアナフィラキシーの既往がありますが、それからしばらく経っているため、リベンジを図りたいと思いました。こういうことがあると、私も親御さんも凹むとは思いますが、気を取り直して小麦にも慎重な態度で挑戦していこうと思っています。