毎週水曜の午後に県内各地を駆けずり回っています。
県内各地というと大袈裟かもしれませんが、長岡市、小千谷市のほか、来月は新発田市にも出向きます。
エピペンの取り扱いについて、園や学校の現場では明らかに情報不足の状態に陥っています。食物アレルギーの専門医が絶対的に不足しており、エピペンが処方されるべき患者さんに処方されていないケースも見受けられ、適正に処方されたら更にどうしてよいか分からない園や学校が増えることになると思われます。
今でさえ大変なのですが、更に大変になってしまうと思います。私と同じような活動をする医師が増えてくれることを願うしかありません…。
さて、エピペンの研修会の時に調布市での死亡事故のことにも触れています。エピペンの話をする時、「不整脈を改善させるAEDと同じだと思ってください」ということがあります。あれは一見“医療行為”ですが、一般の方でも操作が可能であり、実際に救われた命も少なくないと思います。
ただ、AEDとは決定的に違うことがあります。脈の不整は機械が自動的に判断してくれますが、エピペンはアナフィラキシーであることを人が判断しなければならないのです。
誰もが誤食させようとして誤食させている訳ではないため、気付くのが遅れることがあります。調布市のケースはまさにそうです。アナフィラキシーは、一般的には二つ以上の臓器に症状が出たものとされます。9割は皮膚に症状が出て、あとは咳やゼーゼーなどの呼吸器症状、嘔吐や腹痛などの消化器症状が出ます。圧倒的に皮膚に症状が見られるのです。
アナフィラキシーの時はじんましんのほか、「紅潮」といって赤い発疹が出ることが多いのですが、その上で呼吸器や消化器に症状が出れば、園や学校の先生にも分かりやすいと思います。じんましんは食物アレルギーのみが原因という訳ではありませんが、園や学校でじんましんが出ると、「食物アレルギーではないか?」と慌てて受診されることも多く、皮膚症状=アレルギーと捉えている人は多いようです。
調布のケースでは、判断が難しかったとされますが、エピペン投与のタイミングが遅れたのが死亡に至った主な要因と捉えられています。女児自身もアナフィラキシーで起きた呼吸困難をぜんそく発作と考えていたようです。
もし顔や身体にじんましんや先に述べた「紅潮」が広がっており、その上で呼吸困難が起きていれば、学校の先生もアナフィラキシーと気付きやすかったのではないかと思っています。
エピペンの研修会は既に何度もやっていますが、皮膚症状は見られることが多いのでポイントとなると言っています。ただ、園や学校の先生が知りたがる調布の死亡事故のケースでの皮膚症状の有無は不明のままです。
いつそういう情報が公開されるのかと心待ちにしていましたが、待てど暮らせど発表はなく、エピペンの研修会の際に「調布のケースでは皮膚症状の有無は不明です」と繰り返し言うしかありませんでした。
女児が搬送された病院は分かっているので、皮膚症状があったかどうかを問い合わせるのも手だと思いました。ただ、私のような地方の開業医が問い合わせても、教えてくれないかもしれず、大事なことなのでアレルギー学会として問い合わてもらえば、真実が分かるのではないかと思いました。
私は福岡の専門病院で研修を受けましたので、恩師にその辺のことをメールで聞いてみることにしました。先々週のことでした。恩師は日本アレルギー学会の理事長だったので、間違いなく力になってくれると思いました。
そうしたら「来週、有識者会議があり、当然そのことも調査することになる」とお返事を頂きました。「誰も同じことを考えるのね」と思いましたが、恩師がその有識者会議の座長をやるらしく、お任せするしかないですが、真実の公開を待つことになります。
この有識者会議のニュースはテレビでも報じられました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130523/k10014794941000.html
学校では当初はアナフィラキシーショックを考えておらず、皮膚症状がないか服をまくり上げて確認していないようです。となると、病院に搬送された時点で皮膚症状があったかどうかということになりそうです。
ただ、アナフィラキシーショックを起こしてやや時間も経過しているため、皮膚症状を確認できるかどうかも何とも言えないのかもしれません。
中には、皮膚症状の見られないアナフィラキシーショックもあり、そうなると医師でも判断が難しいと言われます。確かに1~2割の確率で、そういうことはあるようです。
何か分かりましたら、この場で報告したいと思っています。


