週末、つくば市に行ってきました。
日本小児難治ぜんそくアレルギー疾患学会があったのです。この学会は、小児科医だけでなく、看護師、薬剤師、養護教諭、患者会などアレルギーで悩むお子さんを取り囲む大人がいかにサポートしていくかという毛色のちょっと違った学会と言えると思います。
ただ、ぜんそくのガイドラインの普及とともに、ぜんそくで死亡する子どもはほぼいなくなっています。専門医でなくても、吸入ステロイドを処方するようになってきているからと言われています。
ただ、乳児ぜんそくといって、ゼーゼーを繰り返す0~1歳の赤ちゃんの治療が難しく、頻度も結構あるということで、こういうケースが問題になっています。それでも、吸入器を使って吸入するタイプの吸入ステロイド薬のお陰で、以前よりは治療しやすくなっています。
先日も、市内の子どもの医院に通院していた赤ちゃんが、治療しても一向に改善しないと当院を初めて受診されました。一見して苦しそうです。聴診器を当てる必要もないくらいゼーゼーしています。しかも呼吸がはやいのです。つまり、我々が1回呼吸している間に2、3回呼吸しているようです。
1回息を吸っても充分な酸素が取り込めないので、呼吸をはやくして酸素不足を補おうとする息の仕方をしているのです。「これは入院が必要だ」、そう感じました。
親御さんもただ事じゃないと思い、「医者を代えよう」と思ったのだと思いますが、入院を勧めず様子をみていた小児科医と全く逆のことを言うと、私が疑われかねません。
以前もぜんそくの大発作で受診した患者さんを、「入院が必要です」と言ったら、「これくらいなら〇〇医院さんなら点滴で治療してもらった」とおっしゃいます。
いつも言っているように、ぜんそくにもガイドラインがあるのです。皆がガイドラインを守れば、医師によって言うことが変わるということはなくなるはずです。ハッキリ言ってしまえば、この医師が全くガイドラインを守っておらず、ぜんそくの長期管理もしていなく、ガイドラインといういわばぜんそくの“法律”を守っていなかった訳です。法律違反をしていない私が、おかしな判断をしていると思われてしまいました。
そんな苦い経験があるので、酸素も不足しており、速やかに病院に紹介したいのですが、その気持ちをやや抑えつつ、理論的に説明し、ガイドラインに沿った治療をすべきであると説きました。
最近は、食物アレルギーと“湿疹”で受診されるケースが多いのですが、咳が長引いても当院をご指名で受診してくださるケースもあり、「正しい医療をしてもらえる」という期待を持って受診されるように感じています。説明し、私の言うことを理解してくださり、入院の勧めに応じてくださいました。
ちなみに、後日兄弟が当院を初めて受診されて、そういうことからも「私の言うことを信用してくれたんだ」と感じます。下のお子さんの状況を聞くと、酸素不足が著しく、酸素テントに収容されているそうです。話を聞いた限りでは、イソプロテレノール持続吸入もやっているようで、最重症な患者さんへの治療をやられていました。もっと早く入院して治療してもらった方が良かったことが分かります。
敢えて言いますが、これだけ具合が悪ければ、前医が適切は判断をしなければいけない状況だった訳です。ガイドラインがあっても、我流の判断をする医師もおり、自分の子どもを守るためには、当てにならない医師がいることも患者さんは知っておかなければならないと思います。本当に情けない限りです。
先週末、学会で勉強してきました。もちろんというか、ガイドラインを守らない医師ほど学会に参加すべきですが、参加していないから医療レベルもそういうことになってしまうのです。せめて、アレルギー科を標榜するなら、参加すべきでしょう。
でも、かく言う私も情けなく思ってきました。
学会に参加すると、要は日本の第一人者の先生から最新情報を入手できるのですが、知らないことが多いのです。もっと勉強しなければいけないと思い知らされました。
確かに何でも知っていれば、学会に参加する必要はないのでしょうが、「自分が知らないこと」に気付かなければ、参加することもないでしょう。自分の無知さを思い知らされた格好です(大汗)。
昨日も食物アレルギーの講演を聞いてきましたが、日本の第一人者の先生は、アレルギー検査を駆使して、負荷試験をせずにこういう値なら「家で食べさせる」、これ以上なら「除去を続ける」という目安を理論的に解説してくださいました。
私にしてみれば、負荷試験をやることでシロクロ付ければいいと考えていますが、血液検査である程度事前に分かっていれば、やりやすいと言えます。逆に負荷試験をやらない医師にとってとても参考になる話だったのですが、負荷試験を日頃からやっているような専門医が会場には多かったようです。
ある程度、知っている話でも知識の再確認ができますし、お恥ずかしい限りですが、自分の知識から抜けていることを新鮮味を持って聞くことができることもありました。自分を情けなく思う瞬間です。
一般演題も聞きましたが、やはり食物アレルギーの死亡事故を受け、全国のアレルギー専門病院が啓発的な活動をやっていて、参加者も多いという話が目立った気がします。あの事故は専門医にとっても衝撃的でしたから、どの専門病院も第二の死亡事故を出さないために、一生懸命活動しているのです。
新潟県から参加の先生も見かけましたが、ほんの数名でした。新潟県に限らないでしょうが、食物アレルギーに興味を持つ小児科医が非常に少ないため、少しは参加も増えてくれればと思っていましたが、代わった印象はありませんでした。
いろんな意味で情けなさを実感した学会でした…。


