以前、本のタイトルだったと思いますが「鈍感力」という言葉が話題になったことがあったと思います。
その本を読んだ訳ではないので、筆者の真意はよく分かりませんが、勝手なイメージとして思っているのは「神経質」と真逆のことだろうと捉えています。
今日も、70キロ離れた街へ食物アレルギーの話をしにいきますが、需要が多く2カ所をハシゴすることになっています。
先日、その街からアナフィラキシーと診断されたお子さんが受診されました。クルミバターを触っていて、目と唇が腫れたそうです。その後咳が出てきて、ゼーゼーも聞かれたそうです。
近くの小児科を受診したら「軽いアナフィラキシー」と診断されたようです。言っていることは、一応分かります。ショックに至る危険な状態が「アナフィラキシーショック」であり、よく言われるのがじんましんと咳やゼーゼー、じんましんと嘔吐、腹痛というように二つ以上の症状が重なるのが「アナフィラキシー」とされます。呼吸困難になったようではないので、そこまで重くないため、「軽いアナフィラキシー」と診断したのだろうと思います。
多分、少し口にしたのだろうと思いますが、もし口にしていない、もしくは微量を口にして“軽いアナフィラキシー”を起こしたのなら、多めに食べたらどうなるでしょう?。それこそアナフィラキシーショックを起こしたかもしれないのです。
私なら、「これは大変だ」と考えます。エピペンの処方を考えないといけませんが、このお子さんは体重が10kg少々しかないので、エピペンは出せない状況です。となると、抗ヒスタミン薬やステロイド薬を処方し、いざという時は内服させ、ゼーゼー言うようなら急いで病院を受診してもらうよう説明しますし、周囲の理解も得られるように努力します。
前医では、内服薬が数日分出されただけだったと言います。今回は「鈍感力」というタイトルなので、それにからめると、医師がこの状況にやや「鈍感」だったと言えると思います。
このケースでは、母がクルミが好きで、また同様のことが起きる可能性が十分あり、次回はアナフィラキシーショックを起こしかねないので、小児科医がもっと「敏感」になるべきだと思っています。
一方、昨日市外から受診した患者さんに卵入りのお菓子を使い、負荷試験を行ないました。ちなみに、このお子さんの卵白の値はクラス6でした。
私の中では、「クラス6」=「絶対に食べられない」という構図はないので、「加工品なら何か食べられるはず」と思い、負荷試験を行ないました。
実際、当院のデータでは、そんなに症例数は多くないですが、過去にクラス6の患者さんに卵の加工品を負荷し、8割弱の確率で食べられることが分かっています。ですから、そういう意味ではクラス6という数字に「鈍感」であると言えるのかもしれません。
もちろん、クラス5以下の数字に比べれば症状が出るリスクは高いため、油断してはいけません。ただ、過去の実績から「クラス6」=「食べられるかもしれない」と考えている自分がいます(笑)。
このケースでは、食べても、少しじんましんが出るが広がらないため食べ進めましたが、最終的に徐々に蕁麻疹が出たため、抗ヒスタミン薬を飲みました。
もしかしたら親御さんは、「全く食べられない」と思っていたのかもしれませんが、少しは食べられ、出てもじんましんのみで、アナフィラキシーには至りませんでした。もう少し卵の含有量の少ないお菓子なら、食べられそうです。
食物アレルギーの対応には、「鈍感」すぎてもいけませんが、「鈍感力」は求められているのかなと思っています。


