小児科 すこやかアレルギークリニック

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「同じだった」
2013年06月21日 更新

昨日、午後を休診にして新潟市に行ってきました。

会場である教育センターをナビで設定して運転していくと、到着しました。ちょっと驚きましたが、来たことのあるところでした。

3年程前に新潟の教育委員会が主催したのだったと思いますが、アレルギーに関する研修会が行なわれました。その時、経緯は忘れましたが、私が窓口となり、福岡から私の恩師を呼ぶことにしました。

その会もさすがに福岡から講師を呼ぶとは想定しておらず、交通費が足りないということになりましたが、折角集まって頂いた養護教諭の方々にプロ中のプロの話を聞いて頂きたいと思い、足りない分は自腹を切ったものです(汗)。

300~400人収容できる大きな会場が一杯となり、有意義な研修会が行われたと思います。その研修会と同じ会場だったのです。私としては、今度はその場に私が立つということで、感慨深いものがありました。

当日は午前中の診療が早めに終わったこともあり、少し早めに着きました。会場の隣の部屋で待機していたのですが、私の前に食中毒の話をされた講師の先生の話し振りがとても熱く、やや圧倒されました(笑)。

ほどなく私の出番となりました。ここ最近、時々今回の研修会について触れていましたが、栄養教諭の先生が中心のようです。アレルゲンの特徴を話そうと思ったのですが、多くの方が知りたいのは調布の死亡事故の経緯でしょう。

学校では、栄養教諭の先生が除去食について考えて、対応されるのだろうと思います。食物アレルギーの基礎知識もある程度はお持ちでしょうが、多分誤解も少なくないでしょう。残念ながら多くの患者さんが、アレルギーが専門でない医師から診断書を書かれているでしょうから、中には“胡散臭い”診断書もあると思います。

例えば、今は少ないでしょうが、鶏卵にアレルギーがあると、鶏肉も魚卵もダメとか、大豆アレルギーがあると豆類、小麦アレルギーがあると穀類は除去とか言っている医師は沢山いました。多分未だに多いのが、魚で症状が出ると魚介類、ピーナッツで症状が誘発されるとナッツ類全般という過剰気味の除去でしょう。

また、「ある、ある」という声が聞こえてきそうですが、家ではプリンやマヨネーズを食べているにも関わらず、「卵を除去してください」という指示が出ていることもあります。

食物アレルギーは、子ども達の命や健康がかかっている訳で、一石を投じるつもりで「専門医とそうでない医師では大きな差がある」という事実もお話ししてきました。また、日本の第一人者の書かれたものを読むと、1年に100件以上の負荷試験をやっている医療機関は、プロであるとされています。そうなると、新潟県内は当院を含め2カ所くらいでしょうか?。

その辺を曖昧にしておくと、いつまで経っても新潟県の食物アレルギー事情は変わらないため、医療側の現状を知っておいて頂けるよう、話の端々で触れてきました。

食物アレルギーの診断は、食物負荷試験なしにできないと言われています。となると、食物アレルギーについての基礎的なことを頭に入れた上で、学校側に提出された診断書を見直してみると、「おかしいな」と思うことが出てくると思うのです。それって、専門医からするととても大事なことです。

今は必要最小限の除去と言われているため、過剰な除去が行なわれていれば、身近な影響教諭の先生方が「おかしい」と感づいてあげる必要があるのです。中には、食べられるのに一生食べられないものと思い込まされているケースもあると思うのです。

その辺りにも配慮した話をさせて頂きました。食べられるものは食べさせるようにし、症状が誘発されてしまう場合は、残念ながら除去が必要になります。それを誤食させてはいけません。

ただ、人間はミスをする動物です。当院で経験した誤食のケースを提示し、調布市のケースが人ごとではないことも理解して頂く必要がありました。エピペンを含めた、誤食時の対応を知っていないといけません。

最近は、エピペンの使い方を学ぶ研修会も多いようですが、いつも言っているようになるべく医師が説明すべきです。打ち方を把握したら、あと最も大切なのは打つタイミングだからです。

せっかく学ぶのなら、理論で覚えれば皆が理解しやすくなります。打つべきところはなぜ大腿部で、外側に打たねばならないこと、お尻に筋肉注射使用として脂肪に入ってしまったらどうなるかなどなど話してきました。

学校でエピペンを打つのは、だいたい校長か養護教諭の先生だと思いますが、これらの人達が出張でいない状況でアナフィラキシーショックが起これば、場合によっては栄養教諭の先生が打たなければならないのかもしれません。誰でも打てる状況を作っておかなければならないのです。

あと、内服薬も効果的であり、そもそもじんましんが全身に広がってもそれだけではエピペンの適応にならないことも話してきました。

となると、エピペンばかりが注目されていますが、抗ヒスタミン薬やステロイド薬も扱えて初めて誤食時の対応ができると言えると思っています。

私は話下手なのでどこまで伝わったのか心配していました。今月、昭和大の今井先生を招いての講演が新潟市であり、今回主催の件の職員の方も参加されたそうです。新潟の学校関係者の方々の耳も肥えてきているのだろうと思います。

日本の第一人者の先生の話と比べられると、見劣りや聞き劣りするのは仕方ないのですが(汗)、係の方から話の方向性は同じだったと太鼓判を頂きました。まあ、私も伊達に学会に参加している訳ではなく、啓発にも力を入れているつもりです。

最後に、新潟県の患者は新潟の小児科医が守るべきであるということもお話ししました。今井先生も全国各地を回っていらっしゃるようですが、こういう先生の話を機会を作ることは大賛成です。ただ、全ておんぶに抱っこでは新潟の食物アレルギー医療が成熟していかないと思うからです。

また、今年9月末に三条市で行なう当院独自のイベント「すこやか健康フェア」の宣伝もしてきました。講師の伊藤節子先生の力を入れておられる食品の抗原を考えながら、除去や制限を解除する話は私にはまだちょっと難しいと思っています。それこそ栄養教諭の先生方にはうってつけの内容と思われ、参加者の方々と一緒に勉強させて頂こうと思っています。

とりあえず、目先の講演がひとつ終わりました。あとは、いつもとは違うタイプの講演が6月30日と7月6日にあります。どういう風に話を持っていこうか、これから考えます。

昨日の講演が成功したかどうかは、私でなく参加者の方々が決めることだと思っています。ただ自分の持っている情熱は、だいたいはぶつけられたと思っています。