小児科 すこやかアレルギークリニック

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「命がけ」
2013年07月01日 更新

石川県に行ってきました。

自宅からだと、富山県を横切り、金沢市に入って能登半島を北上するルートでした。ちょうど能登半島の背骨の部分を通ったのですが、「のと里山海道」と言います。この春に無料化になったそうです。

海岸線に沿って、まっすぐ高速道路のような2車線の道が走っており、左手は青々した海原が広がっていました。天気が良かったので気持ちもよく、ちょっとリゾート気分を味わえました。

今回は、目的地まで230キロでした。多分、私の中で一番遠い講演会場は、先週行った新発田市だったので、ものの1週間で記録更新ということになります。

会場は、おじいちゃん、おばあちゃんが中心で、2~30名程集まって下さっていました。高齢な方だと、周囲に食物アレルギーの患者さんが少なく、病気自体に理解が不足しているのかなと思っています。高齢でなくても、理解がない人もいらっしゃいますので、あくまで一般論ですが。

逆に、高齢者がアナフィラキシーショックで亡くなる病気と言えば、ハチに刺されてショック死するケースでしょう。これは若い世代ではなく、高齢者に多いので、身近な病気といえましょう。

この場で手の内は明かしていましたが(笑)、ハチ毒でアナフィラキシーショックを起こすところから話し始めました。

今回の講演の準備でいろいろ調べたのですが、アナフィラキシーショックでの死亡件数を見てみると、ハチ毒に関しては2000年以前と比べると、ここ最近では死亡数が減っているのです。具体的には45%ほども減っており、私の知識ではちょうどこの頃からハチ毒に対してエピペンが使われるようになりました。ですから、エピペンによるところが大きいのではないかと考えています。

エピペンは、まずハチ毒によるアナフィラキシーショックに対し処方されるようになりました。ほかにアナフィラキシーショックをきたす病気と言えば「食物」と「薬物」ですから、これらに対しても適応が拡大されています。

実際、アナフィラキシーを起こす原因は、ハチ毒より食物の方が頻度は高く、食物アレルギーでエピペンを使うこともあると話を進めていきました。

あとは、これも手の内を話していたと思いますが、ヒヤリハット、つまりこんなことで原因アレルゲンが口に入り、アレルギー症状を起こしてしまったという報告をいくつか紹介しました。

私の作戦としては、高齢者の方にとって身近な話題から始め、「へー、こんなこともあるんだ」というような症例を提示して興味を持って頂こうと考えていました。中にはアナフィラキシーショックのために血圧が60台、70台まで低下したケースも紹介しています。高齢だと血圧に気を遣っているでしょうから、血圧の話も身近だと思っています。

依頼者からは30分話してちょっと休憩をと言われていましたから、30分くらいして一旦休憩をしました。結構皆さん一生懸命聞いて下さったようです。

後半は、いつものようにアレルギー検査だけでは判断できないため、食べさせてみて食べられるかどうかを診断するしかないこと、アレルギー表示のこと、誤食時の対応として内服薬とエピペンがあることなどをお話ししました。

最後は、例えば小麦アレルギーがあると、子どもの好きなうどんやそうめんなどの麺類が食べられないので、ヒエやアワを使った麺類が売っており、患者さんはそれを取り寄せて食べる工夫をしていることにも触れました。除去品目が多いと、外食もままならず、他の子ども達が当たり前のようにやっていることを経験させてあげられない現状も話しました。

私の話の中で「命がけ」という言葉を何度も使わせて頂きました。食物アレルギーも重症だと、微量でアナフィラキシーを起こしてしまいます。しかも、ちょっとしたケアレスミスで口に入ってしまうこともあり、油断も隙もあったものではありません。

今回は高齢の方が対象でしたが、私が最も知って頂きたかったことは、結局は食物アレルギーで、しかも重症な子どもは日々「命がけ」で食事を摂っていることと言えると思います。

最初は「命がけ」だなんて大袈裟なと思ったかもしれませんが、最後には「大袈裟じゃなくてホントなんだ」と理解して頂ければ、成功と言えるのだと思っています。そして、誤食時に「命がけ」の命を救うのがエピペンであるということも頭の片隅に入れておいて頂けたらと思います。

皆さん、最後まで私の話を聞いて下さり、質問も思ったより出て、関心の高さが伺えました。自分では、合格点くらいは出してもいいのかなと思っています(汗)。

これはでは園や学校関係者に講演することがほとんどでしたが、こういう年配の方にも啓発することも結構大事なことなのかなと思っています。

こういう機会を与えて下さり感謝していますし、今後は聞く対象は園•学校関係者のみとせず、広い世代に啓発していく必要があるのではないかと考えながら、帰途につきました。