小児科 すこやかアレルギークリニック

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よだれかぶれな話
2013年07月02日 更新

最近、県外からの受診が時々あります。

実際には、里帰り出産やご実家に戻ってきている時に、アレルギーのことを当院に相談に来られるというパターンです。

先日受診されたのは、何と70キロ離れた長岡市から来て下さったのですが、もともとは関東のY市在住の方でした。

当院の診察室の机の左側には、小さな本棚があります。

そこによく使う本が数冊置いてあるのですが、いつも強調している各種ガイドラインが並んでいます。小児ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーの最新のガイドラインを用いて、患者さんに説明する時にすぐに使えるようにです。

アレルギーで困った患者さんは、だいたい近くの小児科や皮膚科に通っています。それでも良くならなければ、上越市内のみならず市外からも、当院に相談に来て下さるケースが目立ちます。

患者さん側からすれば、キチンと診てくれる小児科医や皮膚科医がすぐ近くにいるとは限らず、多少離れていても自分のお子さんを正しく診断し、適切に治療してくれる医師が“味方”なのだと思います。

とは言え、ラーメン屋などを初めて訪れるときは「この店、ハズレじゃないといいな」とやや疑いつつ入ることが多いと思いますが、どういう訳か医院の場合は、無条件で信用して受診されることが多いことと思います。

でも、アレルギーに力を入れていて、逆におかしな診断や有り得ないような治療をされているケースも結構見かけます。それでも患者さんは信用するしかないのか、“誤診”や“適切でない治療”を受け入れています。

それがガイドラインと異なる場合は、翻意してもらう必要があります。口で説明するよりは、根拠を示すべきで、そのためにガイドラインが手元に必要になるのです。

その患者さんは口の周りに慢性の湿疹があり、Y市の皮膚科で「よだれかぶれ」と診断されていました。診察室の椅子に座るなり、私は「アトピーだな」と感じました。更に、これまでの経過を聞いて、アトピーであることを確信しました。

いつも通り、ガイドラインを示して説明しようかと思いました。いろいろ話を聞いているうちに、お母さんに納得してもらえる“もっと良い方法”を思いつきました。

実は、このお子さん、双子で二卵性双生児でした。話を聞くと当日受診されなかったもう1人の子は湿疹もないのだそうです。しかし、2人一緒に口の周りはよだれまみれなのだそうです。

もうお分かりでしょうが、2人とも赤ちゃんで、よだれの多い時期なのに1人はよだれにかぶれて、もう1人はかぶれないのはおかしいですよね?。この状況で「よだれかぶれ」と診断してしまう皮膚科医の神経がよく理解できません。

話をよく聞いてみての私の判断は、1人はアトピー性皮膚炎があり、もう1人はアトピーがありませんでした。二卵性なので、こういう差が出てしまったのでしょう。

よく経験することですが、口の周りにアトピーがあるとよだれの刺激で悪化しやすいのです。もう1人の子をみても明らかですが、アトピーがないとよだれの刺激を受けにくいことが分かります。

実は、こういった診断は氷山の一角で、当院に来られる「よだれかぶれ」と診断されている患者さんの多くがアトピー性皮膚炎を見逃されているようです。

乳児ではなくなっているのに「乳児湿疹」、よだれがあまり出ていなくても「よだれかぶれ」と診断されているケースは、これをお読みの方々の周囲にも意外にも多いのかもしれません。ご注意ください。