調布市での食物アレルギーの死亡事故は、多くの人々にとって衝撃的でした。
マスコミは何かあるとつっつくクセがあるようで、調布市の小学校でこの事故のあった2か月前にも別の卵アレルギーの男に子に卵を与えてしまい、大事には至らなかったものの、誤食があったとの報道がありました。
この学校だけがレベルの低い対応をしていたかと言えば、そうではないと思います。患者さんが5年生の11月までは何も起きていなかったからです。
当院は開業医なため、誤食で救急要請があると、病院に搬送されることが多いようです。ただ、誤食があり、マイカーで当院に駆けつける患者さんは時々いらっしゃいます。
食物アレルギーの講演に際に、園で牛乳アレルギーのお子さんにケアレスミスで乳製品が行ってしまい、アナフィラキシーを起こしたケースを紹介しています。この場合、マイカーで受診されていますが、ややぐったりしており、エピペンと同じ成分のアドレナリンの注射を行なっています。
市外の患者さんが誤食が起きた時には、当然地元の病院に搬送されています。それを後日、当院を受診した時に状況を聞くことになります。
先月のことですが、隣の某市で誤食事故がありました。この患者さんは、小麦アレルギーがあり、当院で負荷試験も行なっています。
その結果、わずかな量で強めの症状が起きて、完全除去を指導していました。本来なら米粉のパンを与えるはずが、他児が食べるはずの普通のパンを与えてしまいました。
お母さんには負荷試験の結果を踏まえ、少量で強めの反応が出てしまったため、その状況を園側に伝えてもらっていました。当院での負荷試験当日のことをそのまま伝えれば、いかに重症かを理解してもらえると思っていたからです。
負荷試験をやったのはこの春のことでした。私の意図が、園側には充分伝わっていなかったようです。
食べて間もなくじんましんが出て、ヒューヒュー言い出したそうです。園側も「これはまずい」と思ったのでしょう。母の到着を待たずして、近くの小児科に連れていったそうです。母もその小児科で合流しています。
一度気管支拡張薬の吸入をやり、その後、みるみる顔色が悪くなり、アドレナリンの注射を受け、救急車でその市内の総合病院へ移されました。
アナフィラキシーが強いと、アドレナリンを打ってもまたぶり返すこともありますが、それはなかったようです。翌朝にはピンピンしており、退院が決まったそうです。
小児科に着いた時点で、小麦の誤食があったことは園側も分かっていて、アドレナリン注射の背中を押したのだと思いますが、小児科の先生も肝を冷やしただろうと思っています。
課題としては、負荷試験での状況を伝えれば、その子がいかに重症かを理解してもらえ、「この子は絶対に誤食させられない」という注意力になると思っていたのですが、抑止力にはならなかったようです。
この子の体重が10kgそこそこで、こういうエピソードがあってもエピペンは処方できない状況です。こういうケースは、私も困ってしまいます。
また、かねてから抗ヒスタミン薬といった内服薬を預かってもらうように園側にお願いしてきたのですが、それがまだな状態でした。果たして今回の事故を契機に、速やかに預かりを導入してもらえるかどうかです。誤食があったのは先月のことですが、まだ預かってもらえていないようです。
私が誤食時の対応の話に行ってもいいのですが、講演ラッシュで身動きが取れないので、すぐという訳にはいきません。
大事に至らなくてよかったとつくづく思いますが、園や学校関係者の方々は「明日は我が身」と肝に銘じて頂きたいと思っています。


