レックリンハウゼン病という病気があります。
14日、15日と東京で日本小児皮膚科学会がありました。参加するといろいろと学べるので、この3年は毎年参加しています。
私にしては珍しく(?)アレルギーに特化した学会ではありません。昨日も触れましたが、水イボやとびひなどの皮膚の感染症も含まれます。また、神経の病気で皮膚に症状が出るものも取り上げられるようです。
第一会場と第二会場の2カ所で、同時並行で講演や発表が繰り広げられるのですが、学会のスケジュール表を見れば、だいたい迷うことなく「こっちに行って話を聞こう」と決まります。
昨日は学会2日目でした。2つの会場をどちらに行こうか少し迷っていました。第一会場では川崎病や血管性紫斑病といった日常診療で時々診る病気の話で、第二会場は結節性硬化症や冒頭に述べたレックリンハウゼン病といった学生時代に勉強した稀な病気で、これまで診たことのない疾患の話が聞けるという状況でした。
数日前の私なら全く迷うことなく第一会場行きを選んでいたはずです。自分が診る機会が多い病気についての知識を高めておきたいと思うからです。
ところが、ほんの数日前に診察室で、ある患者さんからレックリンハウゼン病の可能性があることを聞きました。
レックリンハウゼン病と言われても、ピンとこない方が多いと思います。赤ちゃんの体に茶色の斑点(カフェオレ斑)が多いと良くないという話を聞いたことがある方は少しはいるのかもしれません。
こういうアザの見られる赤ちゃんは時々いますが、6個以上あるとレックリンハウゼン病が疑われるのだそうです。この患者さんは、6個以上ありました。
最初、小児科に相談に行ったのですが、あまり詳しく説明してもらえなかったのだそうです。今は某市の大きな病院の皮膚科に通っています。レーザー治療で目立たなくする治療を行なっているそうです。
お母さんからすれば、レックリンハウゼン病が心配される状況なので、皮膚のプロである皮膚科の先生に勇気を出して聞いてみたのだそうです。
そうしたら、こんなことを言われたそうです。お母さんがインターネットで病気について調べ、かかるべき病院も探して、自分でかかりなさいとのことでした。
医師のモラルもここまで落ちたのかと思ってしまいました。「金、返せ」ってレベルの話だと思います。
私だけでなく、多くの親御さんが全く逆のことを考えていると思います。医師は病気のプロなんだから、医師から病気の説明を受け、その医師があまり詳しくないのなら、皮膚科医ならそういう皮膚疾患に詳しい医師を知っているでしょうから、紹介状を書いてもらい、専門の先生に受診するという手順を取らないと路頭に迷ってしまうことになります。
医者と言っても、皮膚のことは何でも分かる医者はいないはずですから、分からなくても恥ずかしいことはなく、逆にこんな愚かなことを言ってしまうことの方がよっぽど恥ずかしいことでしょう。
実は、一昨日、学会会場でスケジュールをもらい、15日にレックリンハウゼン病の講演があることを知りました。最初は迷いましたが、この患者さんのためにも第二会場に行くことに決めました。
講師は、当然というか日本の第一人者の先生でした。最近は遺伝子診断もできるようですが、いろいろとレックリンハウゼン病について知ることができました。
皮膚科でカフェオレ斑にレーザー治療を受けていることは知っていましたが、私はその子が別に持っているアレルギーの病気を診ており、アザについてはお任せで、あまり深く考えていませんでした(汗)。
レーザー治療を受けてはいますが、また出てきたりするそうです。お母さんは藁にもすがる思いで、レックリンハウゼン病について私が詳しくないとしりつつ、相談してくれたのであろうと思うと、何とかせねばと思いました。
この手の病気についてはほとんど知識がなく、どの先生が詳しいかさえも分かりませんでした。ただ学会で講演されるくらいの先生ですから、「あぁ、あの先生がこの病気のことは詳しいんだな」と思った次第です。
講演が終わり、急いでその先生のもとに歩み寄りました。私の患者さんの皮膚病変について、経験豊富な先生に聞いてみようと思ったからです。
レックリンハウゼン病のことについては、ほんの先週聞いたばかりでしたので、ちょうど良い巡り合わせだったと思います。
これでこの患者さんについて、少しはまともなアドバイスが送れると思いますし、県外ではありますが、お母さんさえその気になれば、その先生に紹介状を書くこともできるし、一度日本の第一人者に診てもらうこともできます。
自分で言うのも何ですが、もう少し各医師が良心的になれば、日本の医療はもっと良くなるのだろうと思っています。


