小児科 すこやかアレルギークリニック

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継続は力なり
2013年07月22日 更新

「継続は力なり」という諺があります。

食物アレルギーは軽症から重症があり、重症であればある程、毎日が気が抜けないことになります。重症な患者さんに日々接していると、毎日の食生活にご苦労されているのがよく分かりますし、卵や乳製品といった1品目ならまだしも、完全除去するものが卵と乳製品、小麦となると疲労度が何倍にもアップします。3品目なら3倍かと言えば、そうではないと思います。

特に卵の除去するお子さんは多いですが、その場合、他のタンパク質でタンパク不足を補うことになります。小麦の場合は、子ども達が好きな麺類、パン、クッキーやクラッカーなどのお菓子が一切食べられません。

卵、乳、小麦を含む食品は世の中に溢れており、3大アレルゲンとされるこれらの除去を継続することは、口では言い表せない程のご苦労があると思っています。

「是が非でも何かを食べさせたい」、それが私のスタンスであり、この場でいつも書いているように加工品を使い、「完全除去」を避ける努力をしています。実際、この3大アレルゲンを完全除去しなければいけないお子さんは、当院では少ないと思います。

しかし、そうせざるを得ないお子さんもいるにはいます。「アレルギー検査がクラス6であっても食べられることがある」、それは負荷試験をやっている医師なら実感できると思います。

ただ、当院の得意の卵や乳にビスケットやクッキーを使う方法ですと、小麦アレルギーがないことが前提となります。お分かりの通り、ビスケットやクッキーには小麦を含みます。

今回の患者さんは、卵もミルクもクラス6であり、しかも小麦アレルギーが重症であり、二の足を踏んでいました。小麦はクラス2なのですが、小麦を使った小さいクラッカーは、1/2枚食べたところでじんましんが出るくらいだったのです。

最近は、「経口減感作療法」という言葉は使わないようになっているようですが、この患者さんには、「小麦は少しは食べる努力をして下さい」と指導していました。当院で診ている患者さん皆に言っている訳ではなく、3大アレルゲン除去でかなり苦痛をしいられる食生活を送っており、少しでも前に進みたいと思って、稀にこういう指導をするケースがあるのです。

最近は、クラッカー2、3枚をかなりの頻度で食べてるそうです。以前よりは進歩していますが、言っては悪いですが、高々クラッカー2~3枚です。では「今はどれだけ食べられるのか?」と疑問が湧いてきました。

クラッカー1/2枚で症状の出ていたお子さんが、2~3枚食べており、“少しは食べられるようになった”のは事実でしょう。もしかしたら4~5枚で症状が出てしまうのかもしれないし、もっと食べられるようになっているかもしれません。

そこで、小麦アレルギーの最終ゴールである「うどん100g」に挑戦することにしました。私の感覚としては、強い相手に胸を借りるという感じです。

最初は、少しずつ食べていきます。ところが、何も起きません。あっさりとクリアしていきます。徐々に増量していきますが、な、なんと最後まで到達してしまいました。つまり、うどん100gを完食してしまったのです。

これを自然治癒というのか、「経口免疫療法(最近はこう言うようです)」のお陰なのかは分かりませんが、微量でも症状が出ていたお子さんなので、後者の影響が大きいのではと思っています。

この戦略をとってもなかなか進まないお子さんもいて、どの患者さんにも使える方法ではないと思っていますが、こんなケースもあるのだと思った次第です。

先に述べたようにこの患者さんは、卵もミルクもクラス6ですが、小麦が食べられることが分かったため、当院の得意のパターンである卵や乳を含むビスケットやクッキーを使った負荷試験に持ち込むことができます。

最近は、「完全除去」はなるべく避け、「食べられる範囲」を考えることが重視されています。

先程も述べた通り、上手くいく人とそうでない人がいるため、今回のやり方を患者さんが勝手に真似してしまうことはしないで欲しいのですが、今回に限っては母の粘り勝ちというか、「継続は力なり」と言えるのだろうと思っています。

この言葉は受験生がよく使う言葉ではありますが、食物アレルギーの患者さんにも言える言葉なのかもしれません。