小児科 すこやかアレルギークリニック

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迷ったら
2013年07月25日 更新

昨日も触れたように、調布市の食物アレルギーによる死亡事故を受けて再発防止策が打ち立てられました。

これも昨日この場で問題点を指摘したように、様々なクリアすべき課題がある訳ですが、学校側からすれば、兎にも角にも食物アレルギーを知り、エピペンの取り扱いを学んでおく必要があるのです。

今回の事故を受けて、専門医は「エピペンは迷ったら打って」と言っています。もちろん、この一言だけ取り上げると、無責任に聞こえると思います。専門医は「アナフィラキシーだ。この状態で打つべきか、打たないべきか?。」と考えますが、多くの学校職員は迷うだけの知識がないのです。

更に、エピペンはいわゆる“強い薬”なので、使わなくてもいい状況で「先走って打ってしまい副作用が出たらどうしよう?、責任も取れないし…」となると思います。

昨日もお隣の妙高市にエピペンの話をしに行ってきましたが、エピペンを打つタイミングのほかに、エピペンの有効性、効く確率、副作用、アナフィラキシーでもない人に打ったらどうなるか等を説明しています。これくらい情報を与えられていないと、ある程度の知識は得られないと思っています。

今の状況では、いざと言う時にエピペンを使えば、「打てば拍手喝采、打たなければ責められる」という感じでしょう。言い方は悪いですが、食物アレルギーの症状が出てしまえば「エイ、ヤー」で打つしかないと思っている方もいることと思います。

食物アレルギーで見られやすいじんましんも、身体の一部に出ているだけなら、慌てる必要はないですが、全身に広がると、相当あたふたしてしまうと思います。

それこそ「エイ、ヤー」でエピペンを使ってしまうケースもあると思います。ところが、じんましんが全身に広がったとしても、この状況は打つべきタイミングではないと思います。

一般的には、血圧が落ちてきている、のどの奥が腫れて息苦しいというようなショックや呼吸困難のある状況で使用するものです。じんましんだけなら抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬でも充分対処できると思います。

「迷ったら打って」とだけ言われていれば、内服薬でも対応できるケースにもエピペンを使ってしまう場合も出てくると思います。それが悪いかと言われれば、対応が遅くなるよりはよほどマシとは言えますが…。

できれば、「迷ったら打って」ではなく、もっと分かりやすい表現が必要だろうと考えていました。

一昨日、日本小児アレルギー学会のホームページを開いたら、添付画像のような「一般向けエピペンの適応」というものを見つけました。

「エピペンが処方されている患者でアナフィラキシーショックを疑う場合、下記の症状が一つでもあれば使用すべきである」と書いてあります。これです、これです。「迷ったら打って」よりも、具体的に表記してあるため、現場は対応しやすくなると思っています。

一般的には、呼吸器症状と血圧が低下しているであろうケースで使用するように言われますが、実はご覧の通り、消化器症状として「繰り返す嘔吐」、「持続する強い腹痛」もエピペンの適応とされます。

呼吸器症状としての「のどが締め付けられる」や「息がしにくい」という表現は、患者さんが自覚している症状と考えられ、要は意識のしっかりしているうちに使用を薦めていると言えるのではと思っています。

この図は、早速昨日の妙高市での講演に使わせて頂いています。できたてのホヤホヤなのであまり出回っていないでしょうが、是非とも有効に活用して頂きたいと思っています。