食物アレルギーの検査では、特異的IgE抗体を調べる方法が有名です。
田舎の開業医から都会の大学病院まで、食物アレルギーを疑ったら採血を行ない、このアレルギー検査を行なっています。
いつも言っているようにアレルギー検査は、これだけで食べられる・食べられないの判断はできません。ただし、参考にはなると言われています。確かにクラス0~6までの7段階で示されますが、数値が高ければ食べて症状の誘発される可能性は高まります。
「食物負荷試験」がファイナルアンサーとなるのですが、負荷試験をせずにある程度目安を付けたい時に、専門医ならプリックテストといわれる皮膚テストを実施すると思います。
やり方は至って簡単ですが、多くの小児科医が実施していないのが実情です。専用のエキスを腕に1滴落とし、小針で皮膚を傷つけてそこからエキスをしみ込ませ、アレルギーがあればそこが腫れるというものです。
やはり大きく腫れるか、小さく腫れるかでは、大きく腫れる方が症状の誘発されるリスクは高まると思います。生身の身体で検査しますので、その食品に対する過敏性をみるにはいい検査と言われています。
ただし、この検査で腫れなければ、食べられる可能性は高いのですが、腫れても食べられないとは限らないようです。このように「ハズレ」もあるので、最終的には負荷試験での判断となります。
以前、軽いアトピー性皮膚炎があり、アレルギー検査をやっていた赤ちゃんが、ミルクがクラス1という結果でした。一般的にはクラス2以上が陽性ですので、クラス1という値は“微妙”です。
クラス0なら「家でミルクを飲ませてみて下さい」と言ってもいいのでしょうが、クラス1だと同様に言ってしまうか、飲ませないよう指導するかは、医師によって異なるのだろうと思います。
幸い、母乳栄養でミルクを飲む必要がなかったため、ミルクは結果を説明した時点では、家で飲まなくてもいい状況でした。
状況が変わって、秋から園に赤ちゃんを預けることになったそうです。ミルクを園で初めて飲ませて症状が出てもらっても困りますから、シロクロ付ける必要が出てきました。
ここで、冒頭に記した皮膚テストをやろうと考えました。先ほど述べたように皮膚テストが陰性なら、飲んでアレルギー症状が誘発される確率はかなり低いので、家で少しずつ試してもらう方法を取ろうと思いました。
皮膚テストをやってみると、何と陽性。大きめに腫れてしまいました。もしかしたら、ミルクアレルギーがあるかもしれないということを表しています。
園に通うのは来月からだそうで、今月中にシロクロ付けなければなりません。ということで、先日ミルクを使って負荷試験を行ないました。多分、同様なケースでは、多くの小児科医が「家で試してみて」という状況だと思います。
結果論でしょうが、負荷試験で何も起きなければ「負荷試験なんて必要なかった」となるでしょうし、起きてしまえば「慎重にやって良かった」ということになると思います。
私は慎重な方法が好きですし、調布市の事故以来、食物アレルギーに慎重な親御さんも増えたように思っています。負荷試験以前のというか以外の検査として、アレルギー検査のほかの皮膚テストももっと活用されるべきと考えています。
繰り返しになりますが、皮膚テストが陽性だったため、家で試すには患者さんにリスクを負わせてしまうと考え、医院で食物負荷試験をやることになりました。
慎重に少量のミルクから飲ませていきます。途中、口の周りにちょっと発赤も認められましたが、じきに消えてしまうため、検査を続行しています。使用したミルクは160mlのお湯に溶かすタイプだったため、160mlをゴールと設定しました。
飲み進めると、発赤は出なくなり、無事に160mlを完食してくれました。
もし症状が誘発されてしまえば、アレルギー用ミルクを使用することになったと思います。普通ミルクを使えたに越したことはありません。お母さんも無事に飲めたことを喜んで下さいました。
結果的には、完食できたので、負荷試験は家でやっても同じだったのかもしれません。ただ、ちょっとした発赤も出たため、それが出た時にどう対処していいか分からなかったのだろうと思います。
小児科医は、必要以上に患者さんにリスクを負わせるべきではないと思っています。かなりリスクが高いにも関わらず、「家で試してみて」と小児科医が指導するケースを時々目にします。結局、症状が出てしまえば親御さんの責任となってしまいます。
心配でアレもコレも食べさせられないとおっしゃる親御さんも多く、負荷試験をすることで背中をそっと押してあげられるのだと思います。
リスクを医師が肩代わりする「食物負荷試験」はもっと広まらないといけないと思っています。


