報道では、手足口病が大流行しているとされています。
ここ新潟でもそれなりに患者さんがいますが、「大流行」なのかな?という印象を持っています。
夏風邪には、ヘルパンギーナというものもあります。いわば手足口病の口だけバージョンといった感じでしょうか。口の中にブツブツができます。
熱が出て、喉が痛そうだと言うことで受診された患者さんを診察し、のどだけに所見を認め、ヘルパンギーナと診断していても、翌日に「手足にブツブツが出てきました」と再診される方もいらっしゃいます。たった1日で急に手足口病に様変わりしてしまうお子さんもいます。
ただし、いずれにしても特効薬はなく、成りゆきに任せるしかありませんし、解熱し、食欲が出て元気になれば登園、登校は可能です。時折「抗生剤は飲まなくていいんですか」と聞かれます。ウィルスで特効薬があるのは、インフルエンザと水ぼうそうくらいですので、ウィルス感染症である手足口病やヘルパンギーナは適応ではありません。抗生剤は、ばい菌が悪さをした時に使う薬ですし、この辺りも、医師の患者さんへの教育が足りない部分と言えます。
医師の言うことは“絶対”で、患者は医師に聞きづらい、医師は「言わなくても分かる」という思い込み、「いちいち説明する時間がない」という“一方通行”の対応の積み重ねがこういう事態を招いたのではないかと思っています。
ただ、この辺のことは少しずつ知識として広まってきており、おかしなことを言っていては医師とは言え、淘汰されかねません。
インフルエンザについては、親御さんは鼻水をもらい検査する「迅速キット」の存在を知っているため、「心配だから、検査して下さい」と言われることも少なくないですし、検査が陰性だと「検査のタイミングが早かったですかね」とあまりの早期の検査ではインフルエンザにかかっていても、陰性になることはご存知の方も多くなっています。それに、タミフルという特効薬があることも多くの方が知っています。
私としては、インフルエンザの検査や治療の知名度くらいに「食物負荷試験」を新潟県内に広めたいと思っています。
これだけ食物アレルギーへの関心が高まっていても、「食物負荷試験」という方法があること自体を患者さんへ説明している小児科医はかなり少なく、私の「夢」は遠く、はかないものと言わざるを得ません。
そんな中、例年よりは負荷試験を受ける患者さんが多いようです。先日は、5人負荷試験を実施し、うち2名が地元で、他の3名は新潟市、長岡市、魚沼市から来て下さいました。
新潟市の患者さんは、地元の複数の小児科からアレルギー検査でミルクがクラス2だからという理由で、ずーーーーっと完全除去を指示されていました。クラス5や6ならまだしも、クラス2程度なら加工品程度は食べられる可能性を考えるべきですが、医師は「とにかく食べるな」の繰り返しでした。
つい先日、今のやり方に疑問を感じ、はるばる当院を受診して下さいました。例の如く、食物負荷試験が“隠蔽”されていたので、「こういう検査がこの世に存在しますよ」という説明から始めなければなりませんでした。
一気に牛乳を用いた負荷試験をすることはせず、まず加工品を用い、食べることに自信を深めてもらいたいと考えました。初診された日の数日後に、負荷試験目的で受診されました。
食物負荷試験を繰り返しやって経験を深めておくと、だいたい「これくらいなら食べられそうだ」ということが予想がつきやすかったりします。ただ、思わぬ症状が出ることもあり、そんな時は「私もまだ青いな」と思ったりします(汗)。
結果は、持ってきた食材をいとも簡単に完食してしまいました。お母さんも、そして本人も喜んでくれました。
お母さんには、食品メーカーの「〇〇」という商品に、どれくらい牛乳タンパクが含まれているかという早見表をお渡ししました。この日の食材にどれくらい牛乳タンパクが含まれるか分かるので、少なくとも○mgを食べても症状が出ないであろうことは証明できた訳です。
早見表をみれば、他の商品にもどの程度含んでいるのか調べられるため、それを何個くらい食べていいか分かることになります。これからは、安全にある程度の乳製品を摂ることができるでしょうし、そもそも神経をすり減らす完全除去をしなくてもよくなったのは、大きな収穫だろうと思っています。
同様に長岡市と魚沼市から負荷試験に来られた患者さんも、多少の発赤が見られたものの、卵焼き1個、うどん100gを完食できました。笑顔で帰っていかれました。
患者さんの地元で負荷試験をやっていなければ、是非とも当院を頼って頂きたいと思っています。本当は食べられるのに、100%除去し続け、それにより疲弊してしまうのは、無駄なことと言わざるを得ないと考えています。そこに費やす「エネルギー」を別のところに向けて欲しいのです。
私自身も、遠路から受診されると本領発揮と言いますか、張り合いも出てきます。もちろん、地元の方でも食べられて見せてくれる笑顔は最高です。
すべての小児科医が良心的で、適確なことをやっているとは限らず、こと食物アレルギーとなると、かなり顕著となります。普段から、かかりつけ医を頼っていても、食物アレルギーに関しては、怪しいと言わざるを得ないのです。この夏休みを利用しご相談頂ければと思っています。


