小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

負荷試験の結果
2013年08月27日 更新

先日、こんな風に誤診されているケースもあるという例を挙げたことがあったと思います。

ある患者さんが給食後にアナフィラキシーを起こし、呼吸困難もあり危険な状態に陥りました。

最初に運び込まれた開業医で処置を受け、アレルギー症状は改善しました。そこまでは良かったのですが、エピペンを処方されることもなく、原因検索も行なわれることはありませんでした。

見切りをつけてか、別の総合病院を受診するのですが、その日に食べた給食の中にカシューナッツが含まれていたことを理由にカシューナッツが原因だろうということになり、血液検査が行なわれました。

確かに最近はカシューナッツでアナフィラキシーを起こすお子さんもおり、私もこの状況ではカシューナッツを原因食品の一つとしてピックアップしていたと思います。

ところが、検査結果はカシューナッツはクラス0でした。0だから絶対に違うとは言い切れないと思いますが、ただ原因でない可能性も相当高まると思います。

しかし、その病院の小児科医はカシューナッツを原因とし、ナッツ類もすべて除去と指示しました。もし、原因が別にあれば、アナフィラキシーをまた起こす可能性は高まると言わざるを得ません。

確かに、私が診たから何でも原因を特定できる訳ではありません。私ならここで「カシューナッツが原因ではないのではないか」と考えます。

自分なりに理詰めで考えて、「今回の原因はカシューナッツで間違いなかろう」と結論づけられて初めて、患者さんをアナフィラキシーの再発から救うことができるのだと思っています。多くの医師がやらない皮膚テストもカシューナッツは陰性でした。

患者さんにしてみれば、カシューナッツが原因で、それさえ除去すればアナフィラキシーから解放されると信じ切っているはずです。ただ、信じ切るには根拠不足でしょう。

前医の判断の仕方に申し訳ないですが疑問を感じ、皮膚テストも陰性だったことから、カシューナッツが原因ではないだろうと考えた私は、親御さんに「カシューナッツで負荷試験をやりましょう」と提案しました。

食べさせて「またアナフィラキシーを起こしてもしたらどうするの?」と心配される方もいるでしょうが、プロとしてカシューナッツではない可能性が示された今、シロクロを付けるしかありません。

いや、私がそこまでやらなければ、患者さんは一生カシューナッツを除去し続けることでしょう。原因でないものを除去しつづけ、別にある原因でアナフィラキシーを起こす可能性が結構あるなら、誤診によって患者さんにご迷惑をお掛けすることになります。

先日の負荷試験の結果、カシューナッツを食べても明らかなアレルギー症状は誘発されませんでした。となると、他に原因があることになりますが、給食のメニューをみても普段食べているものばかりです。

確かにこれまで食べられていたものが、途中で食べられなくなることもあります。私の力不足か、今のところ当たらな原因食品は見つけ出せずにいます。それでも大事なことは、患者さんの立場にたって、原因を究明しようと努力することだと思います。

敢えて言えば、カシューナッツの検査がクラス0で前医自身も「あれっ」と思ったはずです。そこで「違ったのでは?」、「では原因は何だろう?」と考えることだったと思うのです。

それをカシューナッツが原因で、必ずしもセットで除去する必要のないナッツ類まで除去と言い切ったことに、同業者としてとても残念というか、「何でそこで思考停止しちゃうの?」と思います。しかも、持つべきはずのエピペンすら処方されていません。

私は親御さんに謝りました。「すみませんが、現時点では原因は特定できません。分からない分、またアナフィラキシーを起こす可能性はあり、それに備えてエピペンは持つべきでしょう。」と言いました。更に、「職員がいつでも誰でも打てるように、学校にエピペンの打ち方の説明に行きましょう。」と説明しています。

現在の状況では、私のできることはここまでです。ただし、前医のやっていることとはレベルも、良心も違うつもりです。

患者さんはアナフィラキシーの不安からは解放されませんが、今後何らかのヒントが得られるかもしれず、原因が明らかになる望みは捨てていません。現在の状況は正直心苦しいのですが、もっと力になりたい、そう思っています。