小児科 すこやかアレルギークリニック

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もう一つの目的
2013年08月29日 更新

当院の負荷試験は、月、火、木、金曜に実施しています。

水曜と土曜は半日で午後が休診なので、やっていません。負荷試験をやった場合、たいてい昼過ぎまでかかります。こういう半日の日に、遅れてアレルギー症状が出た場合、対応できないと困るので水と土曜はできないのです。

今年の夏は、例年よりも負荷試験がやや多く実施しているように感じます。実際に実施数を集計している訳ではないですが、そういう印象を持っています。

負荷試験の目的は、診断確定のためと、食べられるようになったかを確認するためのことが多いと思います。例えば、とろろソバを食べて、アレルギー症状が出たとします。ヤマイモもソバもアレルギーを起こしやすかったりするので、どちらが原因かを突き止めるためです。

一方、耐性獲得というのですが、食べられるようになったかを調べる時に負荷試験を実施します。当院の場合は、こちらがほとんどです。

実は、もう一つ目的があると言われています。いわば「リスクを探る」というものでしょうか?。

小学校に上がると、これまでの保育園や幼稚園の丁寧な対応から、今度は数十人に担任の先生が一人となり、園生活よりは手厚い守られ方ではなくなると思います。

食物アレルギーがあっても、担任は給食の時もその子のことだけを見ていればいい訳ではないので、重症であればある程、誤食など何かの起きる確率は高くなるのだろうと思います。小学生になると大人になってくるので、ある程度のことは自分でできるようになるのかもしれませんが、特に小学校の低学年だとまだまだ子どもなので、やはり不安は拭えないと思います。

負荷試験は通常は、「除去しなくていいかもしなくなったのかな」ということで行ないますが、症状が出ることを覚悟で負荷試験を行なうことがあります。どれくらいの量を食べるとどんな症状が出るのかを知っておくことは、無駄ではないと思っています。

ピーナッツでも牛乳でも、ほんの少量でアナフィラキシーショックを起こしてしまうのか、それとある程度食べても思った程の症状が出ないのかと把握しておくことは、親御さんにとっても大切だろうと思うのです。

ずっと除去していると、何も起きないので何がどうなっているのか全く分かりません。もしかしたら、食べられるようになっていることもあるかもしれません。一方、アナフィラキシーを起こすかもしれない。小学校に上がるのを契機に、敢えて負荷試験を勧めるというタイプの負荷試験もあるのです。

少量のピーナッツや牛乳で強い症状が出れば、完全除去を継続することになります。少し食べられるようであれば、完全除去から部分除去に除去の度合いを緩めることができるかもしれません。

小学校に上がるくらいになっても完全除去をし続けなければいけないお子さんは、この先も厳しいだろうと思っています。時には「リスクを探る」負荷試験をやり、やはり症状が誘発されることが確認されれば、その事実を家族のほか、学校側と共有することができると思います。

「この子は牛乳アレルギーが重症です」と言うよりは、「負荷試験で牛乳1ml飲んだら、アナフィラキシーを起こした」と言う方が一般の方にも重症度というか、切実さが伝わると思います。こういう具体的な情報は、重要だと思っています。

調布市の死亡事故に関しても、もしかしたらこういう感じでお子さんの重症度が伝わっていたら、事故は避けられていたのかもしれないと思ったりします。

本人も何度かアナフィラキシーを起こし、痛い思いを繰り返しているのであれば、負荷試験を拒否することもあるでしょう。親御さんにしても、症状が出ることを分かっていて、負荷試験をやるのは忍びないと思うと思います。本人や親御さんが「したくない」と言えばそこで話は終わってしまうのですが、理解が得られた場合には、こういうタイプの負荷試験は実施されてもいいと思っています。

ただ、こういうリスクのある負荷試験は、医師の方もしたがらないと思います。当院も、例えばピーナッツの数値があまりにも高いと、負荷試験はやりません。魚や甲殻類など数値が高くても、意外にも食べられることもあり、負荷試験をやってよかったと感じることもあります。

こういうタイプの負荷試験もあると知っておいてもいいかもしれません。