先日、ぜんそくで診ているお子さんが、定期受診に来られました。
最近、秋めいてきて、朝晩はやや肌寒い感じもあります。新潟では8月下旬になると、ぜんそく発作を起こすお子さんが徐々に出てきます。
例年通りと言いますか、今年も風邪を引いている訳でもないのにゼーゼー言って受診される患者さんも目につくようになりました。ただ、冒頭の患者さんは症状は落ち着いておりました。
その日、診療していると先程診たばかりの患者さんが、再度、診療を希望されて受診されました。名前を見て「あれれっ」と思いました。
スタッフに聞いてみると、誤食があったようです。
そのお子さんは、比較的最近から当院で診ている患者さんでした。牛乳アレルギーが重症で、本来当院で診るべき患者さんでしたが、それまで近隣の小児科に通院していました。
いつも思うのですが、特に重症であれば専門医に紹介するというシステムが全く働いていません。食物アレルギーは重症の場合は死亡することが示されている訳ですから、同業者にはもっと良心的になって欲しいのです。
少子化が進んでくれば、他院に紹介することは、かかりつけの患者が減ることになり、自分の首を絞めることにつながると思う医師もいるのかもしれません。でも、そういうレベルの話じゃないですよね?。その時点で、視線は患者さんを向いていないのです。
心臓の異常が見つかれば循環器に専門医に、神経の病気が疑われれば小児神経の専門医に紹介されることはあるでしょうが、こと食物アレルギーはそういうことはあまり見かけません。超有名な専門病院なら話は違うでしょうが…。
当院は、上越市内のほか、市外から受診される患者さんも多いですが、小児科医から紹介され受診された患者さんはほとんどいません。みな、患者さんが園や学校から紹介されて、そこで当院の存在を知り受診して下さるケースです。
この辺が、新潟県の食物アレルギーの医療レベルが成熟していない証拠だと思うのです。
話は戻りますが、重症な牛乳アレルギーのお子さんが、誤食をして当院を緊急受診されました。この子は体重が足りず、エピペンを処方したくともできなくらい重症な患者さんでした。
誤食の経緯はこうです。普段行っているパン屋さんでパンを買ってきて食べさせたところ、本人が違和感を感じたため、それで母が誤食に気付いたのです。ちなみに、パン屋さんにもその子が牛乳アレルギーがあることは伝えてあったそうです。
いくつか小さなパンを買ってきたそうです。その中にひとつチーズ入りのパンが混じっており、それを食べてしまったのです。完全に店側のミスです。
診察してみると、顔にじんましんが出てきています。ただ、重症の場合のポイントである呼吸器症状、ショックを思わせる症状は、その時点で出ていませんでした。
私はアナフィラキシーを覚悟しました。何故なら、春にやった負荷試験で、ミルククッキーを少し食べただけでアナフィラキシーを起こしたからです。エピペンと同じ成分のアドレナリンを使った治療を必要としました。
パンの中にどれくらい乳成分が含まれるのか分かりませんが、チーズが入っていました。チーズは調布市の死亡事故のきっかけにもなりましたし、乳タンパクが濃縮されているので、重い症状を起こす可能性が十分考えられました。
既に負荷試験で重症であることが分かっていたので、「何か起こるはず」、「時間をかけて経過をみなければ」という発想につながりました。
親御さんは、私が誤食時に出しておいた抗ヒスタミン薬を飲ませた上で受診されましたが、ステロイド薬を使った方がいいと判断しました。私が毎週のように行なっているエピペンの講演で、エピペンの打つべきタイミングを説明していますが、その条件を満たしていなかったので、アドレナリンを使おうとは思いませんでした。ただ、更なる悪化があれば使おうとは考えていました。
しばらく院内で経過をみましたが、思いの外、強い症状は出ませんでした。食べたチーズの量が少なかったからでしょうか?。やれやれと言ったところです。
繰り返しになりますが、重症な患者さん程、どれくらい食べるとどういう症状が出るのかということを知っておけば、誤食時の方針が立てやすくなると思っています。
新潟県内の現状では、そういうことを評価できている患者さんが極めて少ないと言わざるを得ません。本来、かかりつけ医がそれを心配して、専門医に紹介するのが筋ですが、望めそうもありません。
食物アレルギーを心配している親御さんは多く、多少遠くとも一度専門医を受診し、評価してもらうことをお薦めしたいと思っています。


