アトピー性皮膚炎はとても痒い湿疹で、慢性に経過するため、とても厄介です。
最近は、軟膏治療をキッチリやりましょうと言われており、そうやって皮膚の痒い状況を落ち着かせていくという戦略をとります。
口で言うのは簡単で、実際皮膚炎のコントロールは簡単ではありません。特に小さいお子さんは、痒いと思ったら力任せに掻き壊すため、傷からいろんな病原体が入り込みます。よくあるものとして、とびひ、ヘルペスウィルス、水イボが挙げられます。
この場で時々書いているように、アトピー性皮膚炎は結構誤診されています。普通、子どもに湿疹があれば小児科か皮膚科に行きます。残念ながら、自分が誤診していることに気付いておらず、永年に渡って診断を誤っているケースをかなりみてきています。
とびひやヘルペスウィルス、水イボの相談に来られて、アトピー性皮膚炎が見逃されていたことを指摘せざるを得ないこともあります。逆にとびひやこれらの皮膚感染症を繰り返せば、「何かおかしい」というところから考えないといけないと思います。
患者さんは「プロ」と慕って小児科や皮膚科を訪れている訳ですから、患者さんの期待を平気で裏切るような真似は極力避けるようにしなければいけないはずです。
アトピー性皮膚炎がベースにある、ないに関わらず、夏場になると何かと話題に上がりやすいのが水イボでしょう。
以前は、「プールで他児にうつるので取ってきてもらうように言われました」という親御さんもいましたが、最近はプールの水ではうつらないことが明らかになり、そう言う患者さんは減りました。黙認というか、スルーしているのだろうと思います。
水イボの治療は、ピンセットでつまみ取るのが基本治療です。他にもイボコロリ的な薬で対応することもあります。平均6.5か月で消失するということも言われているため、最近は「様子をみてくれ」という小児科医、皮膚科医が増えたと思います。
当院はアトピーの患者さんも多いため、他の小児科よりは水イボを診る確率も高いのかもしれません。顔に広がったり、体に何十個も分布するようなものは、やむを得ず「取りきれないので、様子をみて下さい」と言っていました。
ところが、7月の日本小児皮膚科学会で水イボの話を聞いた途端、方針を変えました。日本の第一人者の先生方にならい、なるべく取るように方向転換したのです。
そのまま取ってはとても痛いので、もちろん痛み対策も講じた上で取っています。7月中旬にあった学会以降、すぐに方針転換した訳ですが、処置した患者さんが別件で再診された時に「水イボはどうなった?」と聞くようにしており、その後の経過が分かってきました。
いきなり私の感じている結論ですが、「全然違う」という印象を持っています。どんどん治っていくお子さんが多いのです。
水イボは、人にうつすことが問題視されていますが、自分にもうつします。例えば、脇腹に水イボがあると、「気をつけ」した時に腕に水イボが接し、腕にも広がってきます。
放置すれば減っていくのも事実でしょうが、減る前にかなり増えることもあります。減らす努力をして、初めて減少に転じさせることができるのだと思います。
例えば、来年から水痘とおたふく風邪のワクチンが公費化されるというウワサを聞きました。現時点で、これらのワクチンを自費で接種しているお子さんが少ないため、園で流行を繰り返しています。気の毒なことに、濃厚に接触するためか、ワクチンを打っていてももらってしまうことすらあります。
これらのワクチンが公費になれば、接種者がかなり増えるでしょうから、水痘やおたふく風邪は今よりははやらない病氣になると思います。
水イボもこれと同じだと思うのです。つまり、水イボを取って、減らす努力をしていて初めて根絶させられるのではないかということです。「どうせ治るから」と減らす努力をしなければ、広がってしまうと考えられます。
なるべく取るようにしてからは、「きれいに治りました」という方も結構います。やはり日本の第一人者の先生方のやり方を真似て良かったと思っています。
これも敢えて言いますが、アレルギーでかかったお子さんを診察した時に皮膚に水イボを発見したため、聞いてみたら皮膚科にかかっているお子さんも見かけます。
ある皮膚科では「2か月くらいで治りますよ」と言われたようですし、別の皮膚科では親御さんが「水イボを取って下さい」とお願いしたら「傷口が化膿するから取らない」と言われたり、ステロイド軟膏と痒み止めの抗アレルギー薬を延々と処方している開業医もいました。
どれも先日の学会では全く言われていなかった“治療方針”です。食物アレルギーの診療しかりで、いろんな医師が自由きままな診療をやっていると、こんな状況になるのでしょうか?。正直、水イボに関してと信じたいですが、「当てにならねーな」と思ってしまいました。
日頃、アレルギーのガイドラインのことを触れていますが、ガイドラインがあっても守らない医師もおり、水イボはガイドラインは存在しなさそうですが、勝手気ままな方針で診療が行なわれているようです。
私は恥ずかしながら政治には無頓着です。TTPで日本の医療は変わるなどと言われますが、既に「日本の医療はどこへ行く」という危機感を持っています。


