小児科 すこやかアレルギークリニック

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迷える子羊
2013年10月11日 更新

先日、「食物負荷試験」を4件やりました。

上越市内だけでなく、長岡市、柏崎市から来られた患者さんもいらっしゃいました。まあ、当院の場合は、毎日のように上越市外からの患者さんの負荷試験をやっています。

長岡市と柏崎市の名前を出したのは、今週ご紹介した通り、長岡市には「長岡にこっとくらぶ」、柏崎市には「ぱくぱくクラブ柏崎」という患者会が発足したためです。

これらの市には負荷試験をやっている施設がほとんどないため、患者さん達は当院を受診せざるを得ない状況です。それぞれ当院からは70キロ、40キロほど離れています。この距離を遠いと考えるか近いと考えるかは、親御さんによりけりでしょう。

遠いと考える方にとっては、負荷試験を受けれず、除去を続ける、もしくは医師の言うように家で食べさせることになると思います。私としては、漫然とした除去はかえって食べられない方向に作用する可能性があることや、どう食べさせるか分からない親御さんが自宅で食べさせることのリスクを考えると、負荷試験を受けて欲しいと思っています。

ただ、現実問題として遠いと捉える患者さんは、食物負荷試験の存在を知らされていないため、負荷試験が受けられないことになります。私としては、困っている患者さんの全てに負荷試験を受けて欲しいのですが、当院まで来られる患者さんは、ほんのごく一部でしょう。

長岡市から来られた患者さんは、前医から卵と小麦の除去を指示されており、この春に当院を受診されました。

うどんを使った小麦の負荷試験は済ませていますし、卵は症状を起こさないように加工品から負荷試験を行ない、つい先日は卵焼きに挑戦することになっていました。つまり、今回の検査をクリアすれば、晴れて卵と小麦の除去から解放されるという状況でした。

負荷試験の前に親御さんには「長岡にこっとくらぶ」という患者会ができましたよと先日この場で掲載したパンフレットのコピーも差し上げていました。

肝腎の負荷試験の結果ですが、わずかに細かい蕁麻疹が出たものの、卵焼き1個を完食できました。食物アレルギーの原則は、食べて症状が出るものは除去するということだと思いますが、軽い症状であれば敢えて家で食べて頂くようにしています。

家で何度食べても症状が出ないようなら、園でも卵の除去は解除にしようと考えています。このお子さんの場合、小麦は食べられることは確認していますし、卵も“ほぼ卒業”という状況まできています。当院での負荷試験はラストになるかもしれません。

これまでの卵と小麦の除去は大変だったと思いますが、親御さんも努力されましたし、除去する必要のない、夢のような日々が目前にまで迫っていると言ってもいいと思います。

ということは、食物アレルギーという病気自体からの“卒業”を意味するため、患者会に関わったり、情報をもらったりする必要はないのかもしれません。

患者さんの住む街は、食物アレルギーの患者さんは多いのですが、食物負荷試験を受けている患者さんは極めて少ないのが現実です。となると、70キロという距離はあったかもしれませんが、食物負荷試験という検査を受けて、これまで除去するように言われてきた卵と小麦を食べられるようになっている「経験」はとても貴重なものでしょう。

「長岡にこっとくらぶ」は発足したばかりで、まだまだ知名度が低く、この13日に初回のおしゃべり会が開催されます。どれだけ参加があるか分かりませんが、当院での負荷試験の経験を話してもらうことは、負荷試験という存在を知らない患者さんにとって大きな意味を持つと思っています。

迷える子羊じゃないが、困っている患者さんはとても多く、そういう患者さんのためにも時間的余裕があれば「長岡にこっとくらぶ」の集まりに参加して頂けませんかとお願いしました。

食物負荷試験の存在が広まれば、もしかしたらこの街にも食物負荷試験をやってくれる小児科が増えてくることも期待できます。患者会は親御さん同士で情報を共有したり、励まし合うこともできると思いますが、こういう副産物的な効果も期待しています。