「会いたかった~」と言ってもAKB48にではありません。
先週末の小児アレルギー学会で、ある皮膚科の先生の講演を常々聞いてみたいと思っていたのですが、ついにそれが実現しました。
その先生とは、ある大学の皮膚科の教授なのですが、ご高名な先生なため、話を聞くチャンスはなかった訳ではないのですが、ようやく願いが叶いました。
なぜそんなに一方的に“思いをよせていた”と言いますと、話は茶のしずく石鹸の事件にまで遡ります。私の学んだ福岡の病院にも、成人女性でこれまで小麦を食べても何ともなかった人達が、小麦を摂って運動するとアナフィラキシーを起こすという食物依存性運動誘発アナフィラキシーの症状を呈し、受診されるケースが増加していました。
当時、なぜそういうことが起きているか分からなかったそうで、恩師の先生が全国のアレルギー専門病院に連絡を取ってみると、同様の傾向が見られていたそうです。恩師の話では、冒頭の教授が既に原因を突き止めていたそうで、それを聞いて以来、「なんて凄い先生なんだろう」、「一度話を聞いてみたい」と思い、思いは募る一方でした(笑)。
今回、その先生が小児アレルギー学会で講演されると知り、話を伺うチャンスだと思っていました。その先生自体に興味があったため、講演内容は何でも良かったのですが、食物アレルギーの合併する乳児アトピー性皮膚炎のお話でした。どんな話をされるのか、とても楽しみでした。
これは今回の学会会長の海老澤先生の話にもあったのですが、以前は小児科医と皮膚科医の間で、食物アレルギーがアトピー性皮膚炎の湿疹を悪化させるかどうかで意見が分かれ、よくケンカになっていたそうでした。今は、アレルギーの学会で講演されるような日本の第一人者の皮膚科の先生方は、食物アレルギーは皮疹の悪化要因であるとおっしゃっています。
今回楽しみにしていた講演でも、食物アレルギーが悪化要因の場合があることが示されていました。また、アトピー性皮膚炎のお子さんにアレルギー検査をやってみると卵や乳、小麦など場合によっては様々な食品が検査陽性となるのですが、必ずしもそれらが原因食品になっている訳ではないことも話されていました。治療としては、ステロイド軟膏をしっかりと使い、皮膚症状を安定させるという話もあり、まさにガイドラインそのものの話をされていました。
正直、目新しいものはなかったのですが、優秀な先生なため、話が上手でつい話に引き込まれてしまいました。話の端々に人柄がにじみ出ていて、とても良かったと思っています。
そうそう、先程アレルギー検査が陽性であっても食物アレルギーの原因とは限らないと言いました。要は、食物負荷試験をやって判断したのだと思いますが、やはりそういうプロセスは必要だということでしょう。
食物負荷試験については、もともと小児科医がやるべきことでしょうから、この辺は「よく分かりません」とハッキリおっしゃっていました。餅は餅屋なので、分からないことは小児科に相談するというスタンスのようです。
大学教授になるには、人並みの努力ではなれないし、いろいろな深い知識が必要だと思います。この先生に限りませんが、偉い先生ほど「分からないことは分からない」とおっしゃるようです。
ひるがえって、地元の目を転じてみると、敢えて言いますが、ガッカリさせられます。アトピー性皮膚炎に食物アレルギーが関与しているという皮膚科医はほとんどいませんし、そもそも一見してアトピー性皮膚炎なのに“乳児湿疹”などと診断されているケースがほとんどです。
診断できない医者は、病気に詳しくないから診断できないのであって、治療もできないと言われても反論できないはずです。実際、私の憧れの先生は、講演の中でステロイドをしっかり使い、皮膚の炎症を抑えるとおっしゃっていましたが、中途半端に使われ、皮膚症状が改善していないような患者さんが多いようです。
当然、アレルギー検査の採血もされることなく、当院に紹介などあるはずもありません。申し訳ないけれど、このレベルの低さに目を覆いたくなります。
学会自体に新潟県から参加された先生を見かけました。下越からが中心で、地元の先生は見かけませんでした。小児科も皮膚科のことは言えないのかもしれませんが、これが現実であるということを患者さん達は知っておいて損はないと思います。
いや、自分のお子さんを守りたいのなら、知るべきでしょう。分かっている先生は「分からないことは分からない」と言ってくれます。分かっていない先生は、場合によっては「分からないことすら分かっていない」こともあるのです。
こんな環境下で、ガイドラインを広めていくのは至難の業と言えるのかもしれませんが、私の恩師の先生や今回の先生のためにも、這ってでも進んでいくしかないと思っています。


