小児科 すこやかアレルギークリニック

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れんこんアレルギー?
2013年11月20日 更新

先日、ある養護の先生からメールがありました。

学校にれんこんアレルギーを疑われているお子さんがおり、その相談でした。

れんこんを食べると口がイガイガする症状が出るのだそうです。最初は口腔アレルギー症候群なのかなと思いました。これは果物や野菜を食べると、唇が腫れたり、口の中がイガイガしたり、口に違和感を覚える症状の見られるアレルギーの病気です。

他院に相談に行ったそうですが、れんこんはアレルギー検査の項目にはないため、結局れんこんの除去と指導されたそうです。

結局、その診断に一抹の不安を覚え、養護の先生が「食物アレルギーなら食物負荷試験もあるはず」とご存知だったため、当院への受診を勧めて下さったようです。親御さんも医師から言われると、「そうするしかないのかな」と思い込んでしまいますが、養護の先生が食物負荷試験も含め、当院を受診すれば「もうちょっと何とかしてくれるはず」と思って下さったのです。

先ほど述べた口腔アレルギー症候群は、食物アレルギーに詳しくない方なら果物や野菜がアレルギーを起こすなんて信じられないと感じると思います。いや、実際そう言う患者さんは増えていますし、現実です。

私は経験がありませんが、れんこんもアレルギーは起こさないという根拠はないので、れんこんがこの子にとって本当に除去すべきかどうかを考えないといけません。

確かに、前医で言われたように、れんこんはアレルギー検査の項目にないため、こういうケースでは困ると思います。ただ、専門医は何もできない訳ではありません。

まず皮膚テストを行ないました。れんこんを買ってきてもらい、小針でれんこんを刺し、針先にれんこんの汁をつけて、それで皮膚を少し傷つけて、アレルギーがあれば腫れてくるという方法です。

結果は陰性。口腔アレルギー症候群の場合、アレルギー検査が陰性であっても、皮膚テストが陽性のことがあります。あと、この方法を取れば、アレルギー検査の項目のない食材であっても、アレルギーがありそうかどうかをみることができます。

ここまで来たら、ファイナルアンサーを得るため、「食物負荷試験」しかありません。日を改めて、れんこんで負荷試験をやることにしました。

負荷試験当日、本人は「怖い」と感じているようで、緊張していました。ただ、無駄な除去をなくすためには、頑張ってもらわないといけません。

最初、わずかな量でしたが、口の中に違和感を覚えたようです。この辺は、精神的なものかどうかはよく分かりません。少し増やして食べさせてみましたが、あまり気が進まないようです。彼の気持ちを考えると、怖くて当然でしょうが、このままれんこんが原因と決めつけ、ずっと除去し続けるのも問題です。もうちょっと頑張ってもらいたいところです。

この日は、以前症状が出た時のように、れんこんの入った野菜サラダを作ってきてもらいました。その後、本人の予想とは裏腹に、食べても何ともないことに気付き、食べ進めることができました。結局、サラダを完食しました。後半は、美味しく食べていたようです。

食物負荷試験はシロクロつけるための検査なので、れんこんはシロなのだろうと思っています。以前、症状が見られた時も、明らかにじんましんや咳など客観的な症状が出た訳ではないため、れんこんは除去の必要がないという結論に至りました。

親御さんも、れんこんは“濡れ衣”だった可能性が高く、除去する必要がなさそうと分かり、ホッとしていました。私も、れんこんの除去を指示されると聞いた時に「本当だろうか」と感じました。今後、れんこんアレルギーのお子さんを診ることがあるのかもしれませんが、多分かなり少ないと思われ、今回は違うであろうことを証明できてホッとしています。

患者さんからすれば医師の言うことは“絶対”なので、こういう血液検査で項目がないからとアバウトな感じで診断してしまうと、多分れんこんにアレルギーがあると一生除去することになると思っています。医師は軽い感じで「除去した方がいいよ」と思ったのかもしれませんが、患者さんにしてみれば“一生もの”のお言葉になってしまいます。

これは十分専門医に紹介すべき状況だったと思われ、敢えて言いますが、食物アレルギーを軽く診断してしまう医師が少なくないと感じています。医師ならばもっと根拠のある診断をし、“濡れ衣”を減らす努力をすべきであろうと思っています。