最近、診療が忙しい状況が続いています。
院外活動である講演やテレビ取材などもありますが、“本業”あっての活動ですから、あまりヒマでも困ります(笑)。
初めて当院を受診される患者さんも連日いらっしゃいます。市外からの受診が多いことも、当院の特徴かもしれません。
当院の電子カルテで、次の患者さんのカルテを開ことうとした時に「新患」、「県外」と書いてあると、文字通り新規の患者さんで、県外から受診されたことを意味しています。確かに富山県や長野県から受診される患者さんも稀にいますが、よくあるのは実家が上越市で、こちらに戻ってきている時に、日頃から困っている症状を相談にくるというパターンです。
こういう場合、私の印象ではアトピー性皮膚炎が多いと感じています。顔や身体に湿疹があり、他県の小児科や皮膚科に通ってもよくならず困っているという患者さんです。
今回の患者さんである赤ちゃんは、住所は東京都でした。顔をみると、アトピー性皮膚炎を思わせる皮疹が出ていました。とてもひどいという訳ではありませんが、顔のところどころに痒い湿疹が認められました。
親御さんからすれば、いつも目の行く顔に湿疹があり、痒がるため、とても気になっていたはずです。
「赤ちゃんは『痒い』とは言えないので、掻いていればそれは『ママ、痒い。助けて。』ということを表しているのでしょう」と親御さんに言っています。赤ちゃんであれば、まだ大して効かない手で、それでも湿疹のあるところに手を持っていっているので、相当痒いのだろうと想像するのです。
この子の普段のかかりつけ医からは、保湿剤を塗るように言われていたそうです。私から言わせれば、そんなに重くないがアトピー性皮膚炎があり、痒みは皮膚の炎症に起因しているため、ステロイド軟膏の適応だと思います。ガイドラインに則り、キチンと診断し治療することが、今回の場合は、ものを言えない赤ちゃんへの「誠意」だと思っています。
ところが、お母さんが湿疹について相談しても、主治医からは「私は気にならないけどな」と言われたそうです。「おい、おい」と思ってしまいました。医師がそう思った時点で、医療は成立しなくなります。
いや、そもそも親御さんが、気にならないはずがない、痒がる皮疹を何とかして欲しくて受診している訳ですから、「私は気にならない」ではお話しにならないと思います。ものを言えない赤ちゃんからのSOSを医師が分かってあげられないのは、困りものです。
中には「医師がそう言うんだから、そう考えるようにしよう」という親御さんもいるかもしれません。そうした時点で、赤ちゃんの“意向”が無視されたことになりはしないでしょうか?。
乳児のアトピー性皮膚炎はこんな感じで“封印”されてしまう可能性があることを感じ、今回は指摘させて頂きました。
くれぐれも、赤ちゃんのSOSを見逃さないようにしたいものだと思っています。


