小児科 すこやかアレルギークリニック

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いつもとは違う話
2013年12月18日 更新

今日もまた水曜日になりました。

今日は、隣街の小学校に出向きます。山間部の方なので、ここ最近降った雪の影響がちょっと心配…。

いつもは食物アレルギーの一般的な話と誤食時の対応について話しています。ところが、今日はいつもとは違う話をしなければなりません。

病気が違うかと言えば、確かに違います。ただ、アナフィラキシーショックを起こしたため、エピペンを処方しているお子さんが通う学校に行くというのは同じです。

アナフィラキシーショックは、もともとハチ毒により起こりやすく、食物や薬物でも起こります。そもそも、林業に携わる大人が山奥で作業中にハチに刺され、アナフィラキシーショックを起こし、間に合わず死亡するケースが多かったため、エピペンが輸入され始めたという経緯があります。

だいぶ前の日本アレルギー学会で、林野庁の方だったような気がするのですが、エピペンが導入されてから死亡例が減ったことを報告していました。その当時は、こんなに食物アレルギーで注目されるとは思っていませんでしたが、「エピペンってすげーな」と思って聞いていました。

そう、実は今回の患者さんは、ハチ毒によるアナフィラキシーショックの経験者でして、エピペンを処方しているのです。

テレビでも、夏から秋にかけて死亡したケースを報道することがありますが、中高年が多いと思います。あまりこういうお子さんは、当院でもいないのですが、この夏にアナフィラキシーショックを起こしているのですから、しかも周囲は自然豊かなところなので、また刺されてしまうことも考えておかないといけません。

このハチ毒によるアナフィラキシーショック、食物でもショックは起こし得ますが、ある意味“似て非なるもの”なのかもしれません。

ショック症状は、ハチに刺されてから15分以内に起こりやすく、ほとんどのようです。たったの「15分」なのです。

しかも、山間部で刺されることが多いため、ショック状態になり、慌てて救急車を呼んでも間に合わないのです。自分の身は自分で守るということなのでしょうが、刺されたらエピペンを打つ方向に国が動いたということなのだと理解しています。

確かに、刺されてもその箇所が腫れるだけの人もいます。アレルギーの体質があると、強めのアレルギー反応を来すようです。短期間に2回、特に1、2年の間にハチに刺されるとアナフィラキシーショックを起こしやすいというデータがあります。

今回の患者さんは、これに当てはめれば、この1~2年に刺されてしまえば、命が危ないと言えるかもしれません。どうしても命を守るために、学校の先生にもエピペンの打ち方の他、打つタイミングなどについても知っておいて頂く必要があります。

食物アレルギーだと、まずは誤食させないことが大切で、万が一誤食してしまえば、蕁麻疹やアナフィラキシーショックの対応が求められます。ハチ毒も同じで、ハチに刺されないことが重要です。と言っても、ハチに近づかない、巣に近づかない、ハチや巣に触れないことが基本になります。

調べてみると、よく言われるように黒い色の服はよくないようですし、甘い香りのする香水や整髪料、エーテルやシンナーなどの揮発性の薬品、ジュースを飲む時にも注意が必要だそうです。

ハチが向かってきた時は、顔を下向きにして身を低くする、走らないようにその場から離れるということも推奨されています。

ハチ毒という「抗原」とそれに対する「抗体」が反応する訳ですが、その抗体はいわゆる採血によるアレルギー検査で調べることができます。製薬会社のハチ毒のパンフレットを見ると、刺された直後は正しい結果が得られないと言うことで、1か月後の検査を勧めています。検査が陽性であれば、ハチ対策が必要としています。

食物アレルギーなら検査が陽性であっても、必ずしも対策が必要でないこともあります。この場でよく繰り返している「食物負荷試験」でシロクロ付ければいいのです。さすがにハチ毒の場合は、“負荷”はしないし、それこそ命取りになりかねず、検査が陽性の時点で何らかの対策を取った方がいいということなのでしょう。

この辺も食物アレルギーとの違いでしょうが、ハチに刺されたり、刺される可能性のある仕事をされている方でエピペンを持っている人はそんなに多くないと思われ、食物アレルギー同様、対策が遅れていると感じています。つまり、エピペンを携帯してショック症状に備えるべき人がそうされていないのではないかということです。

エピペン自体が2年前に健康保険による一部負担で処方できるようになったため、食物アレルギーのことがテレビで取り沙汰されることも多いように、ハチ毒についてももっと中高年を対象にキャンペーンをやってもいいと思っています。

エピペンの打ち方も、刺されたらすぐに打つというやり方を聞いたことがあります。食物アレルギーよりも早いタイミングでショックになるので、意識のあるうちに、ということなのでしょう。

ただ、エピペンは注射すると体内で切れるのも早く、早めに打ってショック症状を軽くはできたけれど、15分ほどで薬効が切れて、再び悪化したなんてことも起こり得るのではないかと思っています。そう、食物アレルギーよりは難しいと考えています。

この辺の話もせざるを得ず、いろいろなことを理解して頂けるよう、頑張って来ようと思っています。