小児科 すこやかアレルギークリニック

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2013年12月26日 更新

昨日は、上越市内の中学校に行ってきました。

少し前に触れましたが、カシューナッツで立てないくらいの腹痛のみしか症状が出ないお子さんにエピペンを処方したため、その子の通う学校にエピペンの取り扱いの説明に行ってきました。

この子の難しかったところは、原因として予想していたカシューナッツの特異的IgE抗体と呼ばれるアレルギー検査がクラス0と陰性だったことでした。更にアナフィラキシーを起こすくらいだと腫れも大きくなるプリックテストも全く腫れませんでした。私の知識では、「アレルゲンではない」と判断してしまいそうですが、それでも問診上原因食品として疑える状況でしたので、負荷試験をして証明した格好です。

しかも、食物アレルギーでよく見られるのはじんましんなどの皮膚症状で、つぎが咳、喘鳴などの呼吸器症状、さらに嘔吐、腹痛などの消化器症状と続きます。この子の場合、じんましんや咳などの症状は一切出ず、ただ立ち上がれないほどの強い腹痛のみでした。私の知識の中では、レアなケースだと思っています。

過去のカシューナッツを食べた状況では、いずれも我慢できないほどの腹痛でした。咳や血圧低下などの症状を来すお子さんもいるでしょうが、この患者さんでは腹痛しか症状が出ませんでした。

昨日の講演では、その辺の話も当然する必要がありました。原因検索の検査をし、最終的に「食物負荷試験」で診断した訳ですが、その辺のことは主治医である私しか話はできません。

話によるとカシューナッツは給食では、1年を通してほとんど出ない食材のようですが、どれだけ細心の注意を払って対応しても、ミスはつきものです。誤食した場合、多分また我慢できないほどの腹痛が出ると予想されます。

しかも、この患者さんの場合、負荷試験の時にも激しい腹痛が出て、エピペンを使ったら速やかに消失した経験もあるため、学校で似た状況の際にためらわずエピペンを使って頂きたいと思いました。

この辺のことをひと通りお話ししたのですが、最後に質問が出ました。かかっている医師が専門でない場合、専門医への受診を勧めた方がいいか?というものでした。

多分、専門でない医師がこの子を診た場合、大した根拠を示されることもなく「カシューナッツを除去するように」と言われたり、アレルギー検査が陰性のため「原因ではない」と言われたりしただろうと思います。

エピペンを打つ適応である我慢できないほどの強い腹痛がみられており、エピペンを処方すべき患者さんなのですが、多分エピペンも処方されなかったと思います。

もちろん、専門医への受診を勧めた方がいいと答えました。当院は周囲の小児科などから紹介はほとんどないため、医師経由ではこれだけ重症であっても適切な医療を受けることは期待薄です。親御さんも「かかりつけ医の言うことは正しい」と言わば洗脳されてしまっているため、冷静で適切なアドバイスをできるのは学校の先生くらいなのです。

重症者がエピペンという武器を持っていなければ、逆に学校側も有効な対処法を持てないことになります。子どもも救えないことになります。学校側もエピペンを「預かりません」なんて言えない状況になってきており、しかも研修を受けている訳ですから、エピペンがあった方が対処できると前向きに捉えて下さるようになってきています。

ということで、医師同士の連携が期待できないし、適切な医療を受けられる食物アレルギーの患者さんを増やすためには、園や学校側に専門医への受診を勧めて下さるようお願いし続ける必要がありそうです。