小児科 すこやかアレルギークリニック

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20%
2014年01月30日 更新

昨日は水曜でした。

よって、講演の日でした。市内の学校に行ったので、近くて良かったです。

調布の死亡事故があって以来、第二の死亡事故を防ぐべく、いろいろなことが動き出しています。そんな中、先月、文科省があるデータを公表しました。

平成19年に発表された全国の小学生、中学生、高校生を対象にしたアレルギー疾患がどれだけいるかという研究の第二弾が出されました。以前のものは全国の小、中、高校生が対象でしたが、今回は多分緊急に調べたいと言うことだったのでしょう、50分の1の規模で全国調査がなされたようです。

このデータが元になっているのですが、先月ネットでも話題になったのは、除去食の診断書で医師の書いたものがわずか20%程度しかなかったというものでした。要は、8割は“なあなあ”で対処されているということでしょうか。

滅多にあることではありませんが、食物アレルギーで死亡し得ることが明らかになりました。誤って食べてしまえば命に関わるため、除去すべきは除去して下さいと学校側にお願いしなければなりません。患者さんを守るために、学校側に伝えるツールがアレルギー診断書であり、それを提出するのは主治医として当たり前のことだと思っていました。

周囲をみると、アレルギー検査の数値のみで「除去、除去」と言っている医師が多いのですが、これだといつも言っているように数値が高くても食べられることがありますので、「過剰」な除去の可能性が高いと思います。

専門医は、この「過剰」な除去も避けるよう負荷試験を行なっている訳ですが、「過剰」である限りは、誤って食べても症状が出ないことはあっても、アナフィラキシーショックなどの強い症状は起こしにくいと思います。

私は、新潟県内のことしかよく知りませんが、多くの患者さんが「食物負荷試験」を受けておらず、主治医からこういう試験の存在すら知らされていない現実を、多くの人に知って頂きたいと思っています。

食物アレルギーを疑えば、医師ならアレルギー検査くらいはやるだろうと思っていました。となると、「数値が高い」=「除去」という判断になってしまいますが、それでも目安にはなると思っていました。今回のデータをみると、8割も書かれていないということは、“それ以前の問題”ということでしょうか?。

診断書の提出されていない8割の理由を知りたいと思っています。

私もこんな結果を予想していなかったため、推測でしかものを言えない状況です。まず医師側の問題ですが、面倒くさがって書かないということはあるでしょう。時間がかかる、お金が取れない、責任を負いたくないなど、そういうこともあるのかなと思っています。あと、検査項目がなくて調べられないこともあるかもしれません。

先ほど述べたようにアレルギー検査の数値が高いから除去するというやり方は、ある意味「当たらずとも遠からず」的な判断ですので、おおまかには子どもを守れることになると思います。食物アレルギーを疑っても検査もしない医師が結構いるのでしょうか??。

あとは、親側の問題もあるかもしれません。親が食物アレルギーだと思って、医師に相談せずに学校側に除去を求めるというパターンです。例えば、あるものを食べて顔が赤くなったため、それが原因を捉えてしまい、「うちの子は〇〇にアレルギーがある」と思い込んでしまうケースです。本来なら、その食品に対して本当にアレルギーがあるのか医師が精査を行なうべきですが、医師に相談するまでもないとか、医師に掛け合っても応対してもらえなかったなどの理由があるのかもしれません。

他にも様々な理由があるのでしょうが、私の頭ではなかなか思いつきません。ただ、とりあえず診断書があるならまだ良くて、診断書すらないケースがほとんどとなると、国や行政が学校側に「食物アレルギーの体制をしっかりやりなさい」と言われても、できないのは当たり前でしょう。

地元の多くの園や学校が、かかりつけから“よく分からない”診断書が提出されると、当院の受診を勧めて下さっています。対応に苦慮しているので、なるべく正しい診断書があれば、園や学校も対応が楽になります。診断書がなくても、当院に相談に行くようアドバイスをして下さいます。本来は医師から紹介状を持って受診するべきなのですが、地元では連携はまず期待できないのを、園•学校関係者もその辺の大人の事情を理解しているようです。

いずれにしても、自分で言うのも何ですが、“受け皿”があればその地域は何とかなるでしょうが、“受け皿”がなければ、どうしようもありません。

診断書が100%提出されるのが理想ですが、仮にそうであっても人間はミスする動物なので、誤食は起きます。100%提出されていても対応が難しく、提出率が仮に50%であったとしても大変なのに、それが20%ととなるともはや「どうしていいか分からない」と途方に暮れるしかないとなってしまいます。

国は死亡事故をなくすために、今回の研究を始めたのでしょうが、悲惨ともいえる結果に学校側には「心中お察し致します」という気持ちです。

日本の食物アレルギー対応の現状を目の当たりにした気分です。