小児科 すこやかアレルギークリニック

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2年後に負荷!?
2014年02月07日 更新

先日、初めて当院を受診した患者さんがいました。

食物アレルギーがあるようなのですが、かかりつけの医師の言うことが訳が分からず、当院に相談に来られた格好です。

医師の言っていることが分からないと言うのは、患者さんの理解が悪いということでは決してなく、プロであるはずの医師がよく分かっていないという残念な話です。当院にかかっている親御さんの方が、普通の小児科医よりはよく分かっているという逆転現象が起きており、食物アレルギーではよくある話だと思います。

そのお子さんは、目玉焼きを何度か食べて何ともなかったそうですが、少し前に食べて、しばらくしてアレルギーかもしれない症状が出たのだそうです。

ある小児科医に相談をしに行ったそうです。もちろん、その時点では医師を信用していました。

その医師によると、ビスケット程度は食べていいけれど、カステラや卵料理はダメだと言うのです。2年後に採血でアレルギー検査をして、負荷試験をやるのだそうです。

親御さんは「目玉焼きを何度か食べているのに、またこれまで何の不自由もなく食べていたカステラまでも何故除去する必要があるのか?」と疑問に思ったそうです。親としては当然でしょう。

質問しようにもうやむやにされて、診療を切り上げられたようです。人間誰でも都合が悪くなると、逃げ出したくなるもので、その気持ちも分からなくもありません。親御さんからこれまでの経過を聞いていて、「無理もないな」と思いました。食物アレルギーが得意でない先生だからです。

食物アレルギーの基本は、これまで食べて何も起こらなければ、食べ続けていいということだと思います。確かに体調によっては何らかの症状が出てしまうことも有り得ると思います。普段食べていた卵がなぜ食べられなかったかを考える必要があるでしょう。

ましてや、目玉焼きよりももっと卵成分を少なくしか含まない食品は、よほどの理由がない限り食べ続けてもいいと考えます。それがカステラはダメで、ビスケットが良いという根拠を示す必要がありましたが、敢えて言えば本人もよく分かっていないのでしょう。

申し訳ないけれど、2年後にアレルギー採血をした上で負荷なんて言っているようですが、2年も待つ必要なんてないと思うし、“2年”という期間の根拠も聞いてみたいものです。

私なら、本当に卵料理がダメなのか、逆にすぐにでも負荷試験を行ないたいと考えます。先ほど述べたように目玉焼きは食べていた訳ですが、十分量を食べて症状が誘発されるかどうかを確認したいと思います。

最近は“食べられる範囲”が重んじられていますから、これまで食べていた加工品は食べてもよいと思われ、卵料理が十分食べられれば、今回出た症状は卵によるものではない可能性が強まると思っています。

もし負荷試験で症状が出るようなら、一定期間除去の必要があるでしょうが、カステラがダメ、食べていた目玉焼きもダメというのは、“食べられる範囲”という概念を無視するものだと感じますし、2年後にアレルギー採血をして負荷というのも、残念ながらこの状況では専門医は行なわない指導だと思います。

お母さんが冷静に判断されているのを聞いて、「ただ者じゃないな」と思ったら、何と看護師さんでした。医者の言うことを妄信する親御さんなら素直に受け入れたかもしれませんが、さすがに医療関係者の目はあざむけなかったといったところでしょうか?。

私は専門外でよく分からなければ、専門医に紹介するようにしています。患者さんが期待して私を頼ってくれても、期待に応えられないと思えば、紹介するしか期待に応える方法がないと思うからです。小児科は子どもの病気全般に対応しないといけませんが、すべて何でも分かる小児科医なんていないと思います。

当院が専門的にやっていることを知っていて紹介しない訳ですから、たちが悪いと言われても反論できないと思っています。地域医療は、各医師が自分達の得意分野を分け合って、地元の患者さんの様々な病気に対処するのが本当だと思うのですが、これが地元の医療の現状でしょう。

最近は連日のように咳や湿疹の患者さんが、地元の小児科や皮膚科に通っても改善しないと言って当院に相談に来られていますが、ほとんどが“誤診”されています。残念ながら、特にアレルギーの患者さんは良心的な医療にお目にかかれない方が少なくないようです。

私の経験では、私の力不足でよく分からずに他の医師に紹介した場合、他の病気の時は真っ先に当院に相談に来て下さるようです。自分で言うのも何ですが、我が子のために一生懸命やっているということが伝わってくれているのだと思っています。

今回の親御さんのように、これまで信用していても、明らかにおかしいと思う医療をやっていると逆に信用を失うことにつながります。取って付けたようなことを言っていては、「二度と行かない」と思う親御さんもいると思います。

今回、親御さんが食物アレルギーで専門的にやっている医療機関を調べて当院を受診して下さったようですが、私の説明を良く理解して下さり、専門医と非専門医の診療レベルの差を思い知らされた形だと思っています。

当院は開業医なので、経営のことも考えないといけないのでしょうが、目先にこだわっては医院の評判を落とすだけですし、経営に偏った見苦しい医療をやるつもりもありません。

地元の患者さんを救うには、こういった食物アレルギーにまつわる現状にも時には触れる必要があります。今回の親御さんが素直に最初の医師の言うことを受け入れていたら、2年後には負荷試験時に卵を食べるのを嫌がったかもしれません。「除去、除去」と言っているうちに、どんどん知恵がついて、気持ちで卵を食べられなくなるお子さんを何人も見てきています。

お母さんは、当院を受診することにより、地元の食物アレルギー事情をよく把握して下さったと思います。近々負荷試験でシロクロを付けたいと思っています。