昨日も水曜日でした。
水曜の午後は県内各地に出没しているのですが、昨日は私の姿は当院の待合室にありました。
昨日は滅多にないことですが、来客があり、待合室でマイプロジェクターを使い、たっぷり話すという形式でした。N市から遥々来られたのですが、学童保育の指導員の方でした。
患者さんは園児で、当初はN市の小児科に食物アレルギーでかかっていたのですが、専門的な医療を求めて当院を受診されています。過去にアナフィラキシーの既往があるにもかかわらず、エピペンすら処方されていませんでした。エピペンを処方し、その子の通う園に取り扱いについて説明に行っています。
今回、そのお子さんが小学校に上がるため、学校と学童保育側に主治医として説明する必要があると考えていました。学校側からは何のリアクションもありませんが、学童保育側からは、“いきなり当事者”になってしまったため、何とかしなければという気持ちが強く、当院に相談に来られた格好です。
もともとは、柏崎市で学童保育中に誤食事故があり、アナフィラキシーショックに陥ったケースがあり、担当者も人ごとでないというお気持ちだったようです。いざという時にエピペン対応が求められるのは、学校の先生の他に、園の先生、そして学童保育の指導員も含まれるようになってしまっています。
私自身、各地で講演を行っていますが、学童保育の事故以来、学童保育の指導員もその対象に加わえて頂いています。学童保育は放課後を遊んだり、勉強したり、おやつを食べたりして過ごすため、これまで軽視されていた感もありますが、アナフィラキシーショックは起こり得るのです。
私はフットワークの軽さも持っていますので、当初はN市に伺うつもりでした。学童保育の指導員の方々を集めて頂ければ、食物アレルギーの対処法についてお話しさせて頂くつもりはありました。
上層部にも話が行ったようですが、年度末で研修会はできそうもないようなお話でした。それはそれで仕方なく、ただ、私の患者さんの通うことになる学童保育の担当者(当事者ということになります)はキチンと把握しておく必要があり、「私だけでも聞きたい」ということでしたので、昨日はお一人だけの参加となりました。
敢えて言えば、当事者は緊張感に満ち溢れているものの、上層部は伺った限りでは緊張感が感じられませんでした。こんなことで良いのだろうかと思ってしまいます。
話を聞いて下さるのが一人であろうが、手を抜くつもりは更々なく、いつも通り話をしました。
エピペンの使い方だけ学ぶ研修会は各地で行なわれているでしょうが、折角やるのなら、食物アレルギーの基礎知識やアナフィラキシーの病態とか、軽い症状の対処法などなどセットで学ぶべきだと思っています。エピペンの打ち方だけ知っても、じきに忘れてしまうだろうし、エピペンとは何か、なぜ太ももに打つのか、有効性、副作用の発現頻度など知れば、頭に定着しやすいと思っています。
いつも通りの私の話を聞いて頂きましたので、あとはN市の学童保育の組織として、どうして行くべきかと言うことを考えて頂きたいと思っています。同じ指導員でも「エピペンって何ですか?」とおっしゃる方も周囲にいるようで、このレベルをどうやって上げていくか、真剣に考えていかなければならないと思います。
これはN市に限らず、多くの行政に課せられた課題だと思っており、正直、N市をしてこのレベルと感じてしまいました。園や学校では、私が「話に行きますよ」と提案するとすぐさまレスポンスがあるのですが、学童保育では当事者以外はその責任の重さを感じるまでに至っていないようです。学童保育においても、新潟県内のレベルを上げていかなければ、食物アレルギーの患者さんは常にアナフィラキシーに晒されていることになります。
私の話を受け、N市がどう対応していくかについて個人的には注目しています。また、今回のお子さんの通う予定の小学校は、養護の先生が中心になって研修をやったそうですが、それでは心許なく、私の話を聞いて頂く機会を持って欲しいと思っています。
調布での死亡事故以来、食物アレルギーの対応を進める園や学校は増えていますが、表面的な理解だけでこれを一時の“ブーム”にしてはならないと思っています。
私も学会の準備などは直前にならないとエンジンがかからないタイプです。人間、エピペンに限らず、当事者になって慌てて対策を取るなんてことはよくあることですが、「備えあれば憂いなし」の言葉通り、子ども達の健康がかかっており、子どもを守る努力は常に払っておかなければならない、そう思っています。


