小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

医師の診断書
2014年03月14日 更新

昨年12月に公表されたデータによると、学校に提出される食物アレルギーの診断書の多くが医師によって書かれたものではないのだそうです。

具体的には、医師による診断書が提出されているのは、小学校で30.5%、中学校で13.6%、高校では5.0%と年齢が上がるにつれ低下しており、全体で21.4%なのだそうです。

当院の場合、食物負荷試験をした上で“これくらいは食べられる”ということを証明して、診断書を書いていますので、これを聞いて驚きました。もはや、高校生の95%は親や自己申告ということで、いかになあなあで行なわれているかということになります。

医師の診断書も皆が正しいかというと、それもどうかと思います。食物アレルギーの診療に食物負荷試験は不可欠とされます。小児科医で食物負荷試験をやっている医師はかなり少なく、大きくなってくると内科医がかかりつけになる場合もあります。となると負荷試験をやっている割合はほとんどなくなります。

よくこの場で、アレルギー検査の数値だけで除去の指示が出されていたり、例えばエビにアレルギーがありそうだと魚介類全般、ピーナッツアレルギーがあるとナッツ全体が除去されることが多いことを指摘しています。必要のない除去までが混ざる可能性が高いと思っています。

今回のデータを見ると、逆にこういった判断はまだかわいいもので、本人や親の思い込みなどで、場合によっては全く根拠のない除去が全国津々浦々で行なわれているのでは?と考えてしまいます。

学校側からすれば、調布の死亡事故以来、食物アレルギー対策は急務で、神経をすり減らしながら除去食を提供したり、エピペンの研修を受けたりしているのに、肝腎の診断書が曖昧では、しなくてもいい除去につき合わされて、誤食がないかヒヤヒヤしたりすることになってしまいます。

こういった状況を改めようと、今後は医師による診断書を義務づける方向に進んでいます。それは正しいことだと思っていますが、弊害が出ているようです。

先日、学校の養護の先生からメールがありました。医師の診断が前年のものとコロリをかわって戸惑っているという内容でした。

これまでの指示は「自己除去」だったそうです。エビなら、給食に中華丼やエビフライが出たら、他児と同じメニューを出して、本人がエビを食べないようにするという方法のようです。

私から言わせれば、有り得ない。重症ならば、間違って口にすればアナフィラキシーショックを起こしてしまいます。

そんなやり方から急に完全除去という指示が出れば、学校側が手間をかけて除去食を提供しなければならなくなる訳です。これまでは実質何もしていないので、面倒になります。

診断書としては、安全な方向に進んでいるはずですが、本当なら負荷試験をして食べられるか食べられないかシロクロをつける必要があります。最近は、養護の先生も負荷試験をご存知のようで,親御さんに負荷試験という検査があることを説明して下さったようです。

人間いろいろ事情があることは承知してはいますが、当院まで遠くて受診できないのだそうです。その土地から受診される患者さんは結構いるのにです。

もちろん曖昧にしてきたかかりつけ医にも責任はありますが、うやむやにしてきた親御さんにも責任はあると思います。親御さんも、お子さんが一生食べられないことを望まないはずです。負荷試験という検査の存在を知れば、検査を受ける努力をして頂きたいと思っています。

除去することに慣れてしまったのか、モチベーションの高くない親御さんもいらっしゃいます。その場合、私としてはどうしてあげようもないのです。結局、メールで受診できないようなことを言われ、虚しさだけが残りました。

当院に養護の先生などが相談のメールを送って下さるのは有り難いのですが、もう少し建設的な対応につなげられたらいいなと思っています。

医師の診断書を義務づけたところで、医師の食物アレルギー診療を学ぶことを義務づけるくらいでないと大して変わらないのではないかと思っています。また、多数アレルゲンがある場合、専門医に紹介を義務づけるようにすることも必要かと思いますが、除去しておけば何も起きない、誰が診ても同じと思っている医師も多いようで、紹介は期待できないというのが私のこれまでの経験から言えることです。

医師の診断書が必須となることで、当院の相談のメールも増えるものと思っていますが、私の知識や技術が活かされるケースも増えて欲しいと思っています。