昨日も触れた通り、忙しくさせて頂いています。
ただ、“自分で忙しくしている”部分も結構あると思っています。
学会なんて参加しなくても、増してや発表しなくても開業医としてやっていけます。その代わり、新しいことを学ぶ向上心がないと、旧い医療を患者さんに提供してしまい、それを間違いであることにも気付かず、独りよがりの医療になってしまうリスクはあります。
アレルギーで困り果てて当院に藁をもつかむ思いで受診される方も多く、少なくともこの分野では、そうはなりたくないと思っています。
今回、「うーん」と考えさせられたケースがありました。M市から受診された患者さんです。上越市の南に位置するM市ではなく、数十キロ離れた街からお出でになりました。
この街には専門医はおらず、いつも言っているようなアレルギー検査のみで食べるなという指示が出されており、親御さんはそれを忠実に守っていました。
それに疑問を感じるに至り、当院を遥々受診された訳ですが、いろいろ話を聞いて、「小麦は除去する必要がないのではないか」と思い、うどんを用い負荷試験を行なっています。当然のようにクリアし、小麦が除去する必要がないことが分かりました。
卵も数値が高かったのですが、卵の加工品を使い、先日負荷試験を行ないました。当院では、卵を完全除去するケースはほとんどいません。何故なら、食べられる食材を選び、食べさせているから。この患者さんも問題なく食べられることが分かり、ご両親で受診されているのですが、とても嬉しそうでした。
このお子さん、現在2歳1か月でした。前医から「卵アレルギーがあるから、卵を含むワクチンは打つことができない」と言われていました。通常1歳になったら打つべきMRワクチンをこの年齢で打っていなかったのです。
新潟県内で風疹が流行っているという話が以前ありましたが、前医では卵の入っていない“風疹ワクチン”だけ打ちましょうということで、風疹ワクチンを単独で打っていました。しかし、これで問題が解決された訳ではなく、時として死亡することもある麻疹という怖い病気のワクチンをすべきなのです。
それが放置されたままになっていました。そして2歳を越えました。
行政によって差異はあるのかもしれませんが、この子の住むM市ではMRワクチンは2歳を1日でも過ぎれば、公費では打てないのだそうです。M市の市役所に電話して確認しています。
卵の加工品の負荷試験をして、食べられることは分かっています。であれば、MRワクチンも問題なく打てるはずだと考えました。そういう話が出たので、「じゃあ、打ちますか」という話になりました。問題なく接種が完了しました。
ただ、2歳を過ぎていたため、市は公費で打つことを認めず、親御さんは自腹を切って打つことになってしまいました。
その市の医師が打てないと言って2歳過ぎまでMRワクチンが接種できませんでした。確かに風疹ワクチンを打ったりと、それなりに努力してくれたことは認めます。しかし、私から言わせれば、「なぜ専門医に紹介しないのか?」とそれが不思議でなりません。
“卵入り”のワクチンに関しては、尻込みする小児科医は結構多いのが現実です。何かあったら困るという、言わば医師の保身も理由としてあるのだろうと思います。ところが、当院はアレルギー体質の重い患者さんも含め、断ったことはまずありません。
麻疹やインフルエンザは怖い病気なので、「もしかかって、亡くなったり、後遺症を残したらオレの責任だ」と思い、打つ努力をしています。アレルギーのない子よりは当然リスクはあります。ただ、そこで保身に走っては、お子さんを感染症のリスクから解放できません。
今回のケースは、医師も悪いが行政も悪いと思っています。医師は専門医の紹介してでも接種の努力をすべきだったと思いますし、親御さんが地元の医師の言う通りにしていて、たまたま2歳を過ぎて、ようやく接種できた訳ですが、2歳を1日でも過ぎたゆえに「ハイ、自費になります」と言っています。
ちなみに、市の取り決めに病気で打てなかった場合、例外として認めることがあるという記載があるそうで、今回はまさにそれに当たると思いますが、市側に確認しましたが、自費なのだそうです。
これでは患者さんが報われません。前医は同じミスを繰り返すし、行政は市民の寄り添った配慮ができていないことになりやしないかと思っています。責任の所在を明らかにしたいけれど、どうしたらいいのかと思っています。
アレルギーは、予防接種においても敬遠されたり、サービスが行き届かなかったりして、子どもの生活に影を落としていると感じずにいられませんでした。


