小児科 すこやかアレルギークリニック

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命を預かる
2014年05月01日 更新

昨日は、新潟市内の小学校に行ってきました。

最近はゴールデンウィーク後半の4連休に備えてか、受診される患者さんがとても多いのです。昨日も、いつもの水曜日よりも2倍近くの患者さんが来られ、13時半過ぎまでかかってしまいました。

新潟市まで120キロあるため、講演に遅刻するかと思いました。やや飛ばし気味で運転を頑張りました。到着が約束の5分前で、まさにギリギリでした(汗)。

当初、私のエピペンの指導は不要と判断されていたようですが、主治医として知っておいて頂きたいことがあり、昨日の研修会が実現しました。親御さんもホッとされていたようです。

全国各地でエピペンの研修会が行われていますが、中には医師でない人が話すこともあると思います。私が誰が何と言おうと主治医が話すのがベストと考えています。

何故なら、主治医は患者さんを守るために診療しています。学校給食において、誤食があり、アナフィラキシーに陥った場合、初期対応できるのは学校の先生しかいません。結局、救急隊員や親御さんも、症状悪化の連絡があって駆けつける訳ですから、到着前は学校の先生しか対処しようがないのです。

ですから、私は自分の患者さんを守るために、学校の先生方にいざという時にエピペンを使って頂けるようお願いに行っているつもりです。それは主治医の責任の一環だと思っています。

また、主治医が患者さんの病状を知っている訳で、どれだけ重症か、なぜエピペンが必要と判断したかも説明できます。過去にどういうものを食べて、どういう症状が起きたかを説明すると、重症度が明確になったりすると思っています。

最近、国が昨年12月中旬に公表した調査結果についても話として取り入れています。エピペンを処方されているケースであっても、食物アレルギーの診断書が3割程度しか学校側に提出されていないのだそうです。

それぞれに事情があるのかもしれませんが、この話を聞いた時に愕然としてしまいました。エピペンは医師しか処方できませんから、エピペンを処方はしているけれど、診断書は提出していないことになります。これでは、医師が主治医としての責任を果たしていないと思っています。

私の感覚からすると、全く理解できず、アレルギー専門医ならばこんな無責任なことはしないだろうと思っています。となると、専門でない医師がこういうことをしているのかと思わざるを得ません。

昨日、新潟市内の小学校で1時間半に渡り、食物アレルギーと誤食時の対応の話をさせて頂いた訳ですが、最後に教頭先生が「私たちは子どもの命を預かっているんだという自覚を持ちたい」という趣旨のことをお話しされていました。

学校では給食が出ますし、仮に弁当であっても校内で食べ物を食べることによって、食物アレルギーは起きるし、最悪アナフィラキシーショックも起こし得ます。先ほど述べたように、本当に初期の段階では学校の先生が矢面に立って対応せざるを得ないシチュエーションはあると思います。

子ども達の憩いの場であるはずの給食で、「命を預かる」という表現はいささか大袈裟に聞こえる方もいるかもしれませんが、学校給食の現場で死亡事故が起きている以上、大袈裟とは言い切れないと考えています。

逆に、教頭先生のお話を聞いて、医者がしっかりしないといけないと思いました。学校や園の先生方が食物アレルギーのことを知ろうと一生懸命勉強しているのに、いつも言っているようにアレルギー検査の数値だけで食べられる・食べられないの判断をしていたり、「家で食べさせてみなさい」と無責任に言ったり、エピペンを必要な患者さんに処方すらしていなかったりと、医師の食物アレルギーに関する無関心がとても目立っています。

アレルギー検査の数値だけで除去を指示している限りは、何も起きません。本当は食べられるのに、食べないように言われているので、アナフィラキシーショックは起きようがないと思います。

それとは逆に、家でどのように食べさせるか、どういう症状が出ればどうしなければならないかも説明せずに、家で食べさせるのは、自宅でアナフィラキシーショックを起こす可能性があります。それから救急車を呼んで病院を受診することになると、タイムロスもありますし、患者さんを必要以上に危険な目にさらすことになり兼ねません。

また、エピペンを必要な人に処方していないのは、患者さんからすれば緊急時の“武器”を持っていないことを表します。親御さんにしてみれば、例えば家でアナフィラキシーショックを起こした際、救急車を呼ぶしか術はなく、ショックでぐったりしているお子さんを指をくわえて見ているしかないことにつながります。

重症な患者さんにエピペンの話をすると、「そういう“武器”はいざという時に備えて持っておきたい」とおっしゃる方の方が多いのです。一度でもアナフィラキシーで怖い思いをされた親御さんの気持ちは、こういうことだと思うのです。

学校の先生ですら「子ども達の命を預かる」という意識を持っているのに、子どもの健康を守るはずの医師が、食物アレルギーのことを積極的に理解しようともせずに、かえって危険にさらすような指導をしているケースをよく見かけます。敢えて言えば、知ったかぶりをして、専門医の紹介もしないことすら結構見掛けます。

食物アレルギーは命に関わる問題であり、「子どもの命を預かる」という意味をよく考えて頂きたいと思っています。