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火中の栗
2014年05月14日 更新

「火中の栗を拾う」ということわざがあります。

よく政治家が言いますよね?。選挙でボロ負けした党が、責任を取って代表が辞任すると、次の代表を決めないといけません。

大きく勢いを失った党の立て直しには時間も労力も必要です。こんな時に、「火中の栗を拾う」つもりで頑張ると代表選に名乗りを上げた議員さんが過去にいた記憶があります。

私のイメージでは、損な役回りを敢えてするという意味合いなのかと思っています。

この土日に京都で日本アレルギー学会があり、興味ある話を沢山聞いてきて、私も自身の活動を発表してきて、同じ志の先生方から共感を頂き、夢のような時間を過ごさせて頂きました。

昨日も触れたように、「天国から地獄」という訳ではないですが、現実に引き戻されました。どういう訳か月曜は負荷試験の予約が入っておらず、火曜は4件負荷試験を行ないました。

お一人は、N市から受診された患者さんでした。少し前に当院を初診されました。1歳前のことですが、卵でアナフィラキシーショックを起こしたことがあるそうです。

誰でもそうでしょうが、離乳食に卵を食べさせて、愛する子どもがぐったりしてしまうなんて予想すらしていないでしょうし、相当動揺されたと思います。この地域は専門医がほとんどいないこともあり、誰に相談できる訳でもなく、とにかく卵を食べさせないという気持ちで頑張ってこられたようです。

ただ、そんなことが起こっても時間が解決してくれる部分はあると思われ、約5年経って、卵をあげてみたいという気持ちも湧いてきたようです。負荷試験が普及していないため、お決まりの対応ではありますが、自宅で卵を少し食べさせたこともあったそうです。

来年、小学校入学予定となり、「このままではいけない」、「卵を食べられるかどうか、きちんと評価しないといけない」と思われたようです。

どうして当院に来られたか聞き忘れましたが、口コミか、園から教えてもらったかのどちらかだろうと思っています。

初診の時に問診してみて、「アナフィラキシーショックを起こしたんだ」と悟りました。ただ、最近は少しは食べており、結構イケるのかもと感じました。正直、アナフィラキシーショックを起こしたことのあるお子さんの負荷試験は、さすがの私も不安があります。

それこそ「火中の栗を拾う」ような感じです。「負荷試験をやろう」と言わなければ、私がリスクを負うこともないのです。しかし、その一方で「私がやらねば誰がやる」という気持ちがフツフツと湧いてきました。

最近は、“保身”の医師が多いようです。私だって医師であり続けるために、自分の身を守らねばなりません。ただ、自分の都合を必要以上に強く患者さんに押し付けては、いい医療はできないと思っています。

過去に多くの負荷試験を行なってきており、私の“本能”が「これはイケる」と言ってくれています。ということで、卵焼きを持参して頂き、負荷試験を行ないました。

あっさり結果を提示しますが、無事に完食できました。

もう5歳なので、本人も食べるのが少し怖かったと思います。親御さんも知識はあり、負荷試験を受けながらドキドキしていたのだろうと思っています。私も“本能”を信じてよかったと思っています。

この患者さんは、当院の存在を知り、このままダラダラ除去していてもよくないことに気付いて受診して下さいました。もう少し負荷試験のタイミングが遅ければ、場合によっては本人が「卵は食べられないもの」と信じ込んでしまうこともあります。卵を忌み嫌ってしまうこともあるのです。

よく「遠いから(当院には)受診できない」という親御さんがいます。物理的な距離はいかんともし難いことは承知しているつもりですが、それを言い訳にして負荷試験のタイミングが遅れてしまい、本人を更に食べられなくしては、それはどうかと思っています。

私自身は県内の患者さんのために、もっと「火中の栗」を拾う覚悟は持っているつもりです。