昨日は、診療後に160キロ離れた街に行きました。
いつもの通り、エピペンの取り扱いに関する説明をするためです。たまには遠いところの方が、ドライブ気分で行けるので良かったりします(笑)。
先日の日本アレルギー学会も京都で開催されたのですが、家から440キロでした。私は長距離運転はさほど苦にしないので、160キロは“近く”という感覚です。ただし、多くの方にとっては、これだけの距離は“遠い”と感じますよね?。
先日、新潟市から患者さんが来られました。
距離で言えば、120キロ離れています。多くの方、しかも女性にとってはとてつもなく遠い距離なのだろうと思っています。
食物アレルギーの相談だったのですが、湿疹もあるようです。まず近くの小児科にかかっていて良くならず、現在は皮膚科にかかっているそうです。
ちなみに、診断は「乳児湿疹」と言われているようでしたが、治療に通ってもなかなか良くならなかったそうです。この展開ではいつものパターンですが、アトピー性皮膚炎と診断できる状況でした。医師が診断できない→つまりは治療できないという話で、県内各地でこういう不誠実な医療が繰り広げられているようです。
私は自分の実力がまだまだ足りないと思っているからこそ、「もっと知りたい」と考え、他の専門医の先生から引き離されないようにしているつもりです。それが学会参加の目的です。
ハッキリ言って、こういう“誤診”を繰り返す医師こそ、学会に参加すべきだと思っています。しかしながら、自分のやっていることに不満を感じていない、勉強しようとも思っていない医師があまりにも多いのが現状だと思っています。患者さんに多大な迷惑を掛けていることを気付いていないので、患者さんにとってはとても不幸なことです。
肝腎の食物アレルギーの方は、小児科で検査をされたようです。卵と小麦の数値が少し高いという状況でした。
お母さんなりに調べたようですが、「食物負荷試験」という検査があることを知ったそうです。かかりつけの小児科に「食物負荷試験を受けたいのだけれど、受けられるところはないか」と聞いてみたのだそうです。
日本の第一人者の先生がおっしゃるには、負荷試験は年間100件以上やっている医療機関が望ましいということらしいです。私もそれには同意見です。年間100件やっていれば、知識も技術も情熱も持っているのだろうと思っています。
現時点でどうかは分かりませんが、私の知る限り、新潟県内で年間100件以上の負荷試験をやっているのは、当院と新潟市民病院さんだろうと思っています。名前の通り、新潟市内にある大病院です。私も県内で負荷試験を任せられる数少ない病院の一つです。
先程の続きですが、親御さんがかかりつけ医に「新潟市内で負荷試験を受けられるところはないか?」と聞いてみたところ、「受けられるところはない」と断言されたそうです。お母さんには、愛知県に医療関係者の知り合いがいて、負荷試験なら上越市にやっているところがあるという情報を入手したため、120キロ離れた当院を受診されたのです。
新潟市内の小児科医であれば、新潟市民病院で負荷試験をやっていることはご存知のことだと思っています。それを「やっているところはない」と断言した訳ですが、これはウソでしょうね。
私は患者さんにはウソをついてはいけない、誠実に対応しなければいけないと思っていますが、残念ながら、このようにウソをつく医師はいるのだろうと思います。
患者さんが負荷試験を受けたいと希望された訳ですから、それに対し、負荷試験を受けられる医療機関を調べて教えてあげるべきですが、それすらしていませんでした。開業医には、患者さんではなく自分のことを中心に考えている医師もして、「新潟市内にはない」と言えば、患者さんを手元においておけると安易に考えたのかもしれません。紹介すれば、医院の減益につながりかねません。
医師が、(私から言えば)見え透いたウソをついた結果、親御さんは120キロ離れた当院を受診することになりました。患者さんからすれば大迷惑でしょう。世間がこれだけ食物アレルギーを心配し、正しい情報を知りたいと思っても、こんな医師が少なくないため、正しい知識が広まらないと思っています。
こういう不誠実な態度を取る医師は、患者さんの敵であると思っています。医療は細分化しており、負荷試験をできない小児科医がいても、それは恥ずかしいことでも何でもありません。できる医師に紹介すれば、それで責任は十分果たしたことになります。
逆に、目先の利益を考えたかどうか定かではありませんが、ウソをつき、患者さんを正しい方向に導かなかったことは、恥じるべきでしょう。
ウソをついてはいけない医師が、恥ずかしいようなウソをついても何らペナルティはないことはおかしいことだと思っています。多くの方は「お医者さんがそういうのなら、新潟市内に負荷試験をやっているところはないのだろう」と信じてしまうことでしょう。こんなことから考えると、新潟市内は同業者が多いため、少子化も相まって患者の奪い合いになっているのかもしれません。
私はこんなくだらないことに興味はありません。自分の利益が下がろうが、自分よりも正しいことをやってくれる医師に治療を委ねたと思っています。その代わり、自分の専門分野は責任を持って対応する。当たり前のことができていない県内の現状は、やはり異常と言えます。
患者さんも医師の言うことを鵜呑みにせず、ウソを見極める必要があるのだろうと思っています。


