小児科 すこやかアレルギークリニック

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掲げた手前
2014年05月20日 更新

当院のホームページのお知らせのところに「乳児湿疹の治らない方へ」と掲げてあります。

そのほとんどがアトピー性皮膚炎なのに、多くの小児科医、皮膚科医が「乳児湿疹」と“誤診”して対応しているようです。片や一時的で治ってしまう病態、片や慢性の経過を辿る厄介な病気です。

そもそも診断できないのは、病気に詳しくないからで、そういう人は治療できないと言えば、患者さんも「ああ、そうか」と気付くことだと思います。

患者さんも、病気で困れば「お医者さんに相談すればいい」と気軽に近くの医療機関を受診するものですから、なかなか“誤診”に気付きません。何度も通い、「この医師の元では改善しないんだ」と半ば裏切られて、ようやく「医者を代えてみよう」となります。

ただし、乳児湿疹という診断が頭から離れず、別の小児科、皮膚科に行くだけで、当院には足が向きづらいように感じています。

先日、長岡市から“湿疹”の赤ちゃんが初めて当院を受診されました。住所を見てみると、東北の某県と書いてありました。ご実家が長岡のようです。

一見して、しかも重症なアトピー性皮膚炎でした。医療機関を回っても改善しない。ネットで当院のホームページをご覧になって、期待を胸に70キロの距離を受診して下さったようです。

親御さんのおっしゃるには、いくつかの小児科、皮膚科に通ったそうですが、ステロイドを塗るとやや改善するものの、じきに悪化して、ステロイド軟膏に対する先入観もあって、ステロイドを使いたくはないと考えていました。

午前中の最後の方に受診されました。一瞬で、時間を掛けて説明しなければならないと感じました。当院の午後一番の専門外来の枠なら、余裕を持たせているので、30分でもお話しできます。ただ、出直してくれとも言えませんし、それよりも何も全身のほとんどを覆う皮疹の状態が悪く、体中を掻きまくっています。

まず診断ですが、いくつもの小児科、皮膚科を回ったものの、どう見てもアトピー性皮膚炎なのに、アトピー性皮膚炎とは診断されていませんでした。これにはいつも驚かされますが、もう呆れるしかありません。

専門医が診れば、病院であれば入院治療を薦めるドクターもいるかもしれません。しかし、入院の上、責任を持って治療してくれる医師が思いつかなかったので、しかも以前もひどいアトピーを外来で治療した経験もあるため、外来で治療させて頂こうと思いました。

アトピーの治療は、基本はステロイド軟膏を使うのですが、キッチリ、ガッチリ使うというのがポイントです。皮膚を一気にキレイにしてしまい、それをなるべく維持するやり方が推奨されています。

診断名をアトピー性皮膚炎と伝えただけで、ビックリされていました。最初からボタンを掛け違えては、どれも上手くいくはずはありません。

ただ、それからがすんなりいきません。ステロイド軟膏に否定的な考えをお持ちだからです。

以前よりはマシになりましたが、ステロイド軟膏を拒否する患者さんはいらっしゃいます。それも我々医師が悪いのですが、誤解を解こうともせずに「うちじゃ診れないから、帰ってくれ」と言ったり、子どもだけ奥に引っ張っていって、軟膏を塗ったくった皮膚科医の話を聞いたことがあります。

「北風と太陽」という有名な話がありますが、先のやり方は力任せに旅人の服を吹き飛ばそうとした北風のやり方と一緒です。本来の医療は太陽であるべきでしょう。

ホームページに「乳児湿疹が治らない方へ」なんて書いた手前、しかもしれを読んで受診して下さった方へは、真正面から誠実に説明していくしかありません。時間もかかりそうだと覚悟しました。

いつもならガイドラインを片手に、アトピーと診断した根拠、母乳などの注意点、治療におけるステロイド軟膏の位置づけなどを一通り説明しています。更に診察室においてあるiPadで当院の治療のビフォーアフターを提示しています。みな1週間で驚くほど改善していますが、それでも不安は払拭できないようです。これまでの多くの患者さんよりは、心配が強いようです。

ここで確認しておきたいことは、東北の某県の方ですので、いずれ自宅に帰ることになります。物理的に、何度も当院を訪れることはないと思います。利益の観点から見れば、時間を掛けるメリットが当院には少ないと言えると思います。

私がここまでガイドライン通りの適切な治療を薦めるのは、アトピー性皮膚炎を診断できない小児科、皮膚科が多く、ステロイドの使い方もガイドラインに沿っていないことがほとんどです。しかもステロイド軟膏嫌いの患者にキチンと向かい合おうとする医師は99%くらいいないだろうと思っています。

この件では「オレがやらなきゃ誰がやる」という思いがありました。患者さんは適切な医療を受ける権利があるのに、心ある医師でなければ巡り会えない部分があるのです。

かれこれ1時間くらいは説明し、「こちらにいるうちは責任を持って対応する」と約束し、最終的には「こんなに時間を掛けて話してもらったことはない」、「治療をお願いします」となりました。

最近は、「経皮感作」といって早く皮膚をキレイにしなければ、食物アレルギーも悪化してしまう可能性が指摘されています。そちらにも影響するのであれば、より一気に皮膚症状を改善させてしまう必要があります。

ご実家に帰るまでの“つなぎ”程度の役割ですが、責任は果たしたいと思っています。