当院は、アレルギーしか診ないと思っている患者さんがたまにいらっしゃいます。
いやいや、感染症などの一般診療も真面目に行なっています。アレルギーでなくても、他院で「大丈夫、大丈夫」などと根拠のない、いい加減なことを言われ、症状が改善せず困り果てて当院を受診される方もいます。よっぽど、まともな診療をしているつもりです。
アレルギーの時と一緒で、「原因は何だろう?」と考えながら診療を心掛けています。いつもアレルギーは診断が大事で、診断した上でそれに見合った治療をすることの重要性を訴えているつもりです。
ウィルス感染で、いわゆる特効薬があるのはインフルエンザと水痘くらいですので、もし高熱が続き、血液検査で炎症反応が陰性であれば、抗生剤は使う必要がなく、「気合いと根性と母の愛情で乗り切るしかない」と言っています。こんな“非科学”なことを言うのはおかしなことですが、熱が続いて不安な親御さんから笑顔が出たらしめたものです。ちなみに、試しに「気合いと根性と母の愛情」と言ってみて下さい。結構、ゴロがいいです(笑)。
子どもの皮膚疾患と言えば、当院ではアトピー性皮膚炎を多く診ていますが、一般的にはあせもや虫さされのほか、皮膚の感染症としてはとびひや水イボがあると思います。とは言え、アトピー性皮膚炎があり、掻きむしると傷口から菌やウィルスが入ると、とびひや水イボになりやすいようです。
まずは添付画像をご覧下さい。お子さんの二の腕で、向かって左が脇の下になります。ブツブツがたくさん見られます。
これ何だと思いますか?。
水イボです。こんなにたくさんの水イボは珍しいと思います。この部分だけで100個弱あります。
水イボも医師の言うことが違ったりするので、患者さんが困惑する病気のひとつです。小児科に行くと、「どうせ消えるから、様子を見て」と言われることが多いように思いますし、皮膚科に行くと、押さえつけられてピンセットで取ることが多いようです。ちなみに、地元にはステロイド軟膏を出す皮膚科もいて、逆に塗り広げられて、病気が拡大したりしています。患者さんは、何も知らずせっせと塗って、悪化したりしています。
この患者さんは、市外からわざわざ受診されています。皮膚科で処置してもらったこともあるようですが、広がり過ぎて見放されたようです。周囲の方から当院の受診を強く薦められたそうです。真面目に取り組んでいるためと思われ、もちろん悪い気はしません(笑)。
実は、画像のこの部分だけではありません。腕の内側にあると、往々にして脇の下から胸に掛けても多数水イボが広がってしまいます。しかもこれは左腕ですが、右側にも多数存在しています。全部で300個はあるでしょう。
昨年の小児皮膚科学会で、水イボの最新治療を勉強してきました。痛くないようにして取るようです。
少し前にも水イボの記事を書きました。確か1回目に40個ほど取って、数ヶ月後に2回目として30個ほど取って、その2~3か月後にはなくなっていたという経験をしました。
この患者さんを目の前にしても、「取る」という方針は揺らぎませんでした。ただ、処置をしても、動かないようにして押さえて除去する訳ですから、お子さんにとっては怖く、少しは痛いものと思います。隣街の皮膚科から見放されたと言いましたが、放置すればもっと広がり、処置が困難になると考えました。もう心を鬼にして頑張るしかないと思いました。
いざ、始めてみると、体を動かすし、1個1個丁寧に取っていったところで、一向に減らないのです(泣)。取った跡から少し血がにじむこともあり、ピンセットが滑って、水イボを取れなくなります。これだけ多数の水イボの処置をしたことのある医師は少ないと思いますが、本当に根気のいる作業です。
ただ、お子さんのため、隣街から来てくれた親御さんのために前に進みたいという気持ちだけでした。
結局、この日は150個くらいは取ったと思います。それでも体の右側半分を取っただけで、左側半分は手つかずのままです。後日、また同様の苦労をすることになりそうです。
患者さんには、放置すればどんどん増える一方なので、減らす努力をしなければいけないことを説明しています。小児科や皮膚科はあっという間に診察が終わってしまうことが多いでしょう。時間を掛けることを極端に嫌がる医師は多いと感じています。
こんな状態を「様子を見てくれ」というのは、責任ある医療だとは思いません。場合によっては時間を掛けなければ、正しい医療はできないことをご理解頂けると思います。
お子さんも嫌がるため、正直心が痛いですが、もう左半分を頑張れば、増えるスピードを極端に減らすことができると思います。精神的にも“重荷”ではありますが、もう一度奮起しようと思っています。



